倒された庚申塔を、また起こす。
2026年8月17日(月)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
地元にある浅間社。
そこの石碑が、倒されてしまいました。
よく見ると、この石碑は庚申塔。
元禄4年(1691年)の造立とされ、
浅間社そのものより古いもののようです。
自然に倒れたというより、
おそらく人の手で倒されたのだと思います。
近くの人たちが大切に守っているお社なのに、
残念なことをするものです。
そのままにもしておけないので、
今日、起こして据え直してきました。

建物に当たり、
庚申塔は先端が少し欠けたものの、
大きな破損はありませんでした。
倒れた先が土の上だったことも
幸いしたのだと思います。
昔のお墓では、土の上に石塔や石仏が
並んでいることが珍しくありませんでした。
土葬が多かった時代のお墓では、
こうした姿もよく見られました。
倒れれば、また起こす。
そんなふうにして使われてきたのです。
ただ、今のお墓では、
なかなかそうはいきませんね。
外柵があり、石塔が倒れれば、
周りの石まで壊してしまうことがあります。
ですから、芯棒を入れたり、接着したり、
倒れにくくする工夫が必要になります。
ただ、今回の庚申塔も同じように
強固にするのが最善かというと、
実は私はそうとも思えません。
例えば、芯棒を入れれば、
倒れにくくはなるでしょう。
けれど、もし今回のように
誰かがいたずらで倒そうとしたのなら、
倒れないことに腹を立てて、
今度は石そのものを壊されるかもしれません。
また、古い石ゆえに、
見えないクラックなどがあるかもしれない。
そこに振動ドリルで穴をあければ
石が割れる可能性もあります。
それならば、無理に強固に固定せず、
倒れたときにはまた起こせる方がいい。
建っている場所が土の上で、
しかも低い位置にある。
そんな条件を考えてのことです。
転倒で二次災害につながる可能性も
あまり高くはない。
そんなことも考えました。
なので、今回は
できるだけ以前に近い形で据え直しました。

石工事は丈夫にすれば、
すべてOKとは限りません。
石の状態や場所、周囲の状況を見ながら、
その石にとって、
どんな直し方が一番いいのかを考える。
こんな考え方もアリなのではないでしょうか。
では。
※今回とは逆に、通常のお墓では倒れにくくするための施工が必要になります。接着剤の使い分けや補強については、こちらの記事で紹介しています。
【関連記事】
狛江市の寺院墓地で外柵リフォーム⑧|外柵完成と接着剤を使い分けた施工
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