崩れた石垣より、崩れなかった石垣の話――熊本城の職人たちの記事を読んで

2026年9月7日(月)


こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

今年7月に発生した熊本県の地震で、
熊本城の石垣がまた崩れたという話は
耳にしていました。

これまでの石垣の復旧には、相当な時間も、
そして、費用も労力もかかっているはずです。

それを考えると、
「せっかくここまで復旧を進めてきたのに‥」
と、やりきれないような気持ちになりました。

そんな中で、熊本朝日放送が9月5日に掲載した
熊本城の復旧に携わる職人さんたちの
記事を読みました。

今回、石垣は40か所で崩落や変形が
確認されているそうです。

その一方で、すでに積み直してあった石垣には
大きな被害が見られなかった。

葺き直した天守閣の瓦も落ちず、
耐震補強を終えた建物にも被害はなかった。

「また崩れた」
その言葉だけを見ていた私には、
そこがとても印象に残りました。

記事を読み進めると、それぞれの職人さんたちが
どんな仕事をしてきたのかも
紹介されていました。

天守閣の屋根は、
土を使った昔ながらの葺き方から、
木の下地を使う乾式工法に変え、
瓦を釘や針金で固定しています。

屋根を軽くし、
揺れにも強くするための工夫だそうです。

大工さんは、できるだけ元の木材を残しながら、
傷んだところには新しい材を継ぎ、
そこへ耐震補強も加えています。

石垣では、昔から受け継がれてきた積み方を
大切にしながら、場所によっては
崩落を防ぐための新しい技術も使われています。

職種は違っても、やっていることには
通じるものがあるように感じました。

これまでの仕事を受け継ぎながら、
過去の被害から学び、
次はもっと良くしようと工夫をする。

この記事を読みながら、
これまで被災地で見てきた
お墓のことを思い出しました。

東日本大震災のあとも、能登半島地震のあとも、
倒れた墓石や灯籠、崩れた外柵を
実際に目にしています。

※過去の被災地で実際に目にした墓所の様子をもとに、水彩画風に表現したイメージです。

亡くなった方がいて、家を失った方がいて、
それまでの暮らしを
続けられなくなった方もいます。

そうした被害の中で、
お墓まで倒れたり崩れたりしている。

被災された方にとっては、
それもまたつらい出来事の一つだと思います。

だからこそ石屋として、そこで目にしたことから
学んでいかなければと思っています。

倒れたお墓を見ると、どこに力がかかったのか、
どこが外れたのか、接着はよくできていたのか、
など、いろいろと見えてくることがあります。

そうした経験をもとに、アンカーや補強金具、
接着剤、モルタルの使い方など、
うちの施工も少しずつ見直してきました。

昔に造られたお墓にも、
今もしっかりしているものはたくさんあります。

そこには、その時代の職人たちが考え、
工夫しながら積み重ねてきた仕事があります。

私たちが今やっている施工も、
その続きにあります。

昔の仕事から学ぶ。地震の被害から学ぶ。
修理や解体からも学ぶ。

そこへ今の材料や技術を加えて、
次の仕事につないでいく。

そうやってお墓の施工も、
少しずつ変わっていかなければなりません。

革新の積み重ねが、やがて伝統になっていく。

非公開: 崩れた石垣より、崩れなかった石垣の話――熊本城の職人たちの記事を読んで

2026年9月7日(月)


こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

今年7月に発生した熊本県の地震で、
熊本城の石垣がまた崩れたという話は
耳にしていました。

これまでの石垣の復旧には、相当な時間も、
そして、費用も労力もかかっているはずです。

それを考えると、
「せっかくここまで復旧を進めてきたのに‥」
と、やりきれないような気持ちになりました。

そんな中で、熊本朝日放送が9月5日に掲載した
熊本城の復旧に携わる職人さんたちの
記事を読みました。

今回、石垣は40か所で崩落や変形が
確認されているそうです。

その一方で、すでに積み直してあった石垣には
大きな被害が見られなかった。

葺き直した天守閣の瓦も落ちず、
耐震補強を終えた建物にも被害はなかった。

「また崩れた」
その言葉だけを見ていた私には、
そこがとても印象に残りました。

記事を読み進めると、それぞれの職人さんたちが
どんな仕事をしてきたのかも
紹介されていました。

天守閣の屋根は、
土を使った昔ながらの葺き方から、
木の下地を使う乾式工法に変え、
瓦を釘や針金で固定しています。

屋根を軽くし、
揺れにも強くするための工夫だそうです。

大工さんは、できるだけ元の木材を残しながら、
傷んだところには新しい材を継ぎ、
そこへ耐震補強も加えています。

石垣では、昔から受け継がれてきた積み方を
大切にしながら、場所によっては
崩落を防ぐための新しい技術も使われています。

職種は違っても、やっていることには
通じるものがあるように感じました。

これまでの仕事を受け継ぎながら、
過去の被害から学び、
次はもっと良くしようと工夫をする。

この記事を読みながら、
これまで被災地で見てきた
お墓のことを思い出しました。

東日本大震災のあとも、能登半島地震のあとも、
倒れた墓石や灯籠、崩れた外柵を
実際に目にしています。

※過去の被災地で実際に目にした墓所の様子をもとに、水彩画風に表現したイメージです。

亡くなった方がいて、家を失った方がいて、
それまでの暮らしを
続けられなくなった方もいます。

そうした被害の中で、
お墓まで倒れたり崩れたりしている。

被災された方にとっては、
それもまたつらい出来事の一つだと思います。

だからこそ石屋として、そこで目にしたことから
学んでいかなければと思っています。

倒れたお墓を見ると、どこに力がかかったのか、
どこが外れたのか、接着はよくできていたのか、
など、いろいろと見えてくることがあります。

そうした経験をもとに、アンカーや補強金具、
接着剤、モルタルの使い方など、
うちの施工も少しずつ見直してきました。

昔に造られたお墓にも、
今もしっかりしているものはたくさんあります。

そこには、その時代の職人たちが考え、
工夫しながら積み重ねてきた仕事があります。

私たちが今やっている施工も、
その続きにあります。

昔の仕事から学ぶ。地震の被害から学ぶ。
修理や解体からも学ぶ。

そこへ今の材料や技術を加えて、
次の仕事につないでいく。

そうやってお墓の施工も、
少しずつ変わっていかなければなりません。

革新の積み重ねが、やがて伝統になっていく。

熊本城の記事に登場した瓦職人さんは、
今回、施工した瓦が落ちなかったことについて、
これからの施工の進化につながるという趣旨の
話をされていました。

一人の職人が自分の現場で確かめたことが、
その現場だけで終わらず、
次の施工へつながっていく。

お墓の施工についても、
一軒一軒の石屋が考えるだけでなく、
業界として経験を積み重ね、
共有していくことが大切だと思っています。

どんな施工が持ちこたえたのか。
どこに弱いところがあったのか。

今の材料や技術で、
さらに良くできるところはないか。

そういうことを考え続けることで、
次の仕事は少しずつ良くしていけるはずです。

「また崩れた」という結果だけを見ていたら、
その裏側で積み重ねられてきた仕事には
気づけませんでした。

一基でも多くのお墓が、
大きな揺れに耐えられるように。

石屋として、
まだできることはあると思っています。

では。

どこに弱いところがあったのか。

今の材料や技術で、
さらに良くできるところはないか。

そういうことを考え続けることで、
次の仕事は少しずつ良くしていけるはずです。

「また崩れた」という結果だけを見ていたら、
その裏側で積み重ねられてきた仕事には
気づけませんでした。

一基でも多くのお墓が、
大きな揺れに耐えられるように。

石屋として、
まだできることはあると思っています。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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