五輪塔は、特別な家だけのお墓ではありません

2026年8月5日(水)


こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

お墓の商談をしていると、
店に飾ってある五輪塔の写真をご覧になった
お客様から、
「こういうお墓もあるんですね。」
と、言われることがあります。

そこから少し説明をさせていただくと

「でも、うちはそんな立派な家じゃないから。」
「由緒ある家が建てるものですよね。」

そんな言葉が出てくることがあります。

私は、そのたびに、
「とくに、建ててはいけない家はありませんよ。」
とお答えしています。

そう。五輪塔は、由緒ある家や本家筋だけが
建てられるお墓ではありません。

ただ、そう思ってしまうのも無理はありません。

一般の方がお墓の形を知る機会は、
それほど多くありませんから。

お墓といえば、墓地でよく見かける和型や、
最近多くなった洋型を思い浮かべる方が
ほとんどのはずです。

五輪塔や宝塔のような形は、
普段あまり目にすることがありません。

見慣れないからこそ、
「特別な家でなければ建てられないのでは。」
「古くから続く家のお墓なのでは。」

そう思ってしまうのでしょう。

けれども、五輪塔を建てるのに、
家柄や先祖の古さは関係ありません。

もちろん、宗派によって五輪塔に対する
考え方の違いはあります。

今の宗派の教えに照らして、あえて五輪塔を
おすすめしないこともありますし、
ご本人に興味がなければ、
無理におすすめすることもありません。

しかし、「うちはそんな家ではないから。」
という理由だけで、最初から五輪塔を
選択肢から外す必要はありません。

五輪塔は、最高の仏塔の一つです。

和型のお墓も、洋型のお墓も、
在来仏教のお墓であれば仏塔です。

だから私は、普段から「墓石」ではなく
「石塔」と呼んでいるくらいです。

その中でも、
五輪塔は、仏教的な意味を持つ形として、
とても価値のある石塔だと思っています。

私自身、古い五輪塔や石塔を数多く
見て歩いてきました。

五輪塔は、
形が完成されてから長い年月を経ても、
基本となる五つの部分を変えることなく、
今日まで受け継がれてきました。

日本で五輪塔がつくられるようになってから、
すでに800年以上が経ちました。

私は、そこに
「これ以上変える必要のない形」
になった五輪塔の良さを感じています。

その佇まいも含めて、私は五輪塔が大好きです。

五輪塔に興味を持ってくださった方には、
まず写真や叩き仕上げの見本を
ご覧いただきながらお話をします。

そして、
実際に建っている五輪塔をご案内します。

写真では分からない佇まいや、
墓所の中での見え方は、
やはり実物をご覧いただくのが一番だからです。

そうして意味を知り、
実物も見た上で五輪塔を選ばれた方からは、

「五輪塔にして本当に良かった。」

と言っていただくことが少なくありません。

お墓を建てるということ自体が、善行です。
亡くなった方やご先祖のために、
とても良いことをしていると私は思っています。

費用の面も含め、
今の時代、お墓を建てることは
大きな決断ではないでしょうか。

だからこそ、五輪塔のことを知り、

「せっかく建てるなら五輪塔にしたい。」

と思っていただけるのであれば、
それは最高の供養になると思っています。

もちろん、五輪塔を建てたからといって、
それだけで何かが変わるわけではありません。

けれども、
「亡くなった方のために、
自分たちなりにできる限りのことをした。」

その思いは、
建てた方の心に残るものだと思います。

うちのお墓も、父が建てた五輪塔です。
私の名前も、父の隣に刻まれています。

もし、いつか建て替えることが
あったとしても、私はまた五輪塔を選びます。

和型・洋型・デザイン型など、
今は様々な石塔が選択肢としてあります。

当然、それぞれに良さがあり、
それぞれに意味があります。

ただ、せっかくお墓を建てるのであれば、
自分たちが納得できるお墓を
選んでいただきたいと、私は思います。

五輪塔は、
由緒ある家や本家だけのお墓ではありません。

その意味や価値を知った上で、
それでも和型がいい、
洋型がいいということであれば、
それも良い一つの選択です。

ただ、よく知らないまま、
最初から五輪塔を選択肢から外してしまう必要は
ないと、私は思っています。

では。


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