墓石に刻む文字──同じ文字でも形が違う。文字確認の難しさ

2026年8月19日(水)


こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

墓石に刻む文字には、
気をつけなければならないことがあります。

その一つが、異体字です。

たとえば、
「高」と「髙」
「崎」と「﨑」
「辺」と「邊」「邉」
など。

似ているけど、ちょっと違う。
そういう文字です。

こうした文字は比較的よく目にするので、
私たち石屋も注意して確認します。

以前、こんなことを書いたことがありました。

同じ共同墓地の中に、
同じ名字のお墓が並んでいる。

ところが、
よく見ると、片方は「富」、もう片方は「冨」。

家紋まで違っていたこともありました。

同じ墓地にある同じ名字だからといって、
同じ文字、同じ家紋とは限りません。

墓石の文字を扱うときには、
こういうところまで確認する必要があります。

それは石に刻むと修正ができないからです。

そうした中で今回、
もう少し分かりにくい文字に出会いました。

この二つの「嘉」の字です。

どちらも「嘉」と読みます。
ただ、よく見ると、少し違います。

片方は一般的な「嘉」。

もう片方は、
「加」のすぐ上の部分が
草かんむりのような形になっています。

この字形は、それほど頻繁に
目にするものではありません。

「髙」や「﨑」なら、
こちらも最初から注意して見る。

ところが今回の「嘉」は、
私にとっては想定外でした。

実際、普通の「嘉」で原稿を作り、
書家に筆耕をお願いし、
その原稿も確認していただきました。

そのうえで彫刻しましたが、あとになって、
こちらのお宅で使っている「嘉」は
別の字形だということが分かりました。

言われてみれば、確かに違います。

文字というのは難しいものです。
読めれば同じ、というわけには
いかないことがあります。

とくに墓石は、その家の名前を
長く石に刻んで残していくものです。

昔から使ってきた字があるなら、
その字を大切にすべきです。

今回のケースで、
改めて感じたことがあります。

よくある異体字に気を配るだけでなく、
墓石の文字には、思いがけない違いが
潜んでいることもある。

そんなことも念頭に置き、原稿を確認し、
色々なところに注意をして
進めることが大切なのだと思います。

墓石に刻む文字。

小さな違いに見えても、簡単に済ませては
いけないところがあるものです。

では。


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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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