いつか墓じまいするお墓なら、建てる意味はないのか
2026年8月10日(月)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
昨日は「黒いお墓はよくないのでしょうか」
というご相談について書きました。
石の色と家の吉凶に、
私は結びつきを認めません。
ただ、昨日のご相談には、
その先の話がありました。
今あるお墓は地方にあり、そこまでお参りに
行くことがだんだん大変になってきたそうです。
そこで、今後はこちらの方へ
お墓を移すことも考えているとのことでした。
まだ移転先の墓地が決まっているわけではなく、
こちらへ動かしてこようかな、という段階です。
あと何年、そのお墓を使うのか
昨日の相談で、私が大事だと思ったのは、
移転したあと、そのお墓をあと何年くらい
にわたって使うのか、ということでした。
その方のお話では、将来、ずっと先まで
お墓が継承されていくかどうかは、
まだ分からないようでした。
そこで、例えばあと5年ほどで
墓じまいするようであるならば、
費用を掛けて新しくお墓を建てることは、
私はあまりおすすめしません、とお伝えしました。
もちろん、
建てたいというご希望があれば話は別です。
ただ、数年で解体することが分かっていれば、
その費用も含めて
一度考えた方がよいと思います。
その話をしたところ、50年くらいは使うことに
なりそうだ、ということでした。
それだけ長く使うのであれば、
話はずいぶん変わってきます。
その間、ご家族のお骨を納めることができます。
お墓参りに行って、
手を合わせることができます。
何十年もの間、そこにお骨を納め、
家族が心の拠り所として使っていく。
それなら、お墓を建てる意味は
十分にあると思います。
いつか墓じまいする時が来るとしても、
そこまで長く使うのであれば、
それまでの時間が無駄になるとは私は思いません。
お墓は、永久に残るかどうかだけで
考えるものでもないと、私は思います。
これから誰が、何年にわたって使っていくのか。
そこを考えた上で、
お墓を建てるかどうかを決めればいいと
思います。
今ある石塔をどうするか
では、こちらへお墓を移すことになった場合、
今あるお墓をどうするのか。
そこも考えなければなりません。
今のお墓を解体するのであれば、
私は基本的に、その地域の石屋さんに
お願いする方がよいと思っています。
遠くから石屋が出向けば、
往復の交通費も掛かりますし、
移動する時間も必要になります。
解体した外柵や基礎コンクリートなどの
産業廃棄物の処分もあります。
その地域で仕事をしている石屋さんの方が、
そうした処分も含めて動きやすいはずです。
そのうえで、石塔をどうするかは
別に考えるべきことです。
外柵と一緒に現地で処分する方法もありますし、
思い入れのある石塔であれば、こちらへ運んで
新しい墓所で使うこともできます。
ただし、その場合は、石塔の大きさだけでなく、
今の据え付けに適した状態なのかも確認する
必要があります。
地方と首都圏とでは、
墓所の広さがかなり違います。

広い墓地では
それほど大きく見えなかった石塔でも、
狭い墓所へ移すと、
ずいぶん大きく感じることがあります。
そうした場合には、
再加工して小さくする方法もあります。
ただ、石を切り直すことで、
今まで見えていなかった黒玉や白玉、
内部の傷が表に出ることもあります。
そして、加工代も掛かります。
運搬して再加工し、もう一度据え付ける。
そこまで含めた費用と、
新しく石塔を建てる場合の費用を
比べて考える必要があります。
昨日のご相談では、今ある黒い石塔そのものを
心配されていました。
ですから私は、黒い石だから悪いという
心配はいりませんよ、とお話ししました。
ただ、こちらへお墓を移してくるのであれば、
石塔を建て直す必要が出てくるかもしれません。
その際、黒い石が気になるのであれば、
今度は別の色の石を選べばいいですよ、
とお伝えしました。
お墓の引っ越しをする場合、
お骨を納骨堂などへ改葬する方法もあれば、
今ある石塔を生かす方法、
また、新しくお墓を建てる方法もあります。
どれを選ぶにしても、
費用だけで決める話ではないと思います。
お墓を移す前に、家族や親戚とも話しておく
また、今ある地方のお墓を移すことについては、
親戚の方にもすでに話してあるとのことでした。
つい忘れがちになりますが、
お墓を移すときには、親戚への話も大事です。
特に、本家筋のお墓であれば、
長く親戚の方々も手を合わせてきています。
移転や墓じまいを考えるときには、
あらかじめ話をしておいた方がよいでしょう。
後になって、
「そんな話は聞いていなかった」
となっても困ります。
そして、今のお墓までお参りに行くことが
大変になってきたというお話でしたので、
もし可能なら、お子さんと年に一度くらいでも
お参りに行ってみてはどうでしょう、
とお伝えしました。
ご自身が年を重ねて行けなくなったとしても、
お子さんにお参りしてもらうだけで、
気持ちはずいぶん違うと思います。
お墓をこちらへ移すことまで考えると、
石の色だけを心配する話ではなくなります。
今ある石塔を生かすのか、新しく建てるのか。
そして、そのお墓をこれから誰が、
何年使っていくのか。
今回のお墓をこちらへ移す話は、
まだ考え始めたばかりのようです。
焦って決める必要はないでしょう。
もし50年使うのであれば、
その50年をどう使っていくのか。
そこまで含めて、
一度ご家族で話してみてください。
昨日は、そんなお話をしました。
では。
【関連記事】
※地方のお墓を片付けて、生活圏に近い場所へ移す「改葬」について、以前こんな記事を書いています。
・それ、墓じまいじゃなくて『改葬』です。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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