ニュースにはならない普通のお墓──『今どきお墓なんて』と迷っている方へ
2026年9月15日(火)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
いつもネットで、お墓関連の記事を拾うことが
多いのですが、そうした記事には
決まってこういう声が並びます。
「墓なんていらない」
「散骨で十分」
「墓なんて時代遅れだ」
自分の家には必要がなかった、
という話であれば、そのとおりだと思います。
お墓を建てないという選択はありますし、
費用のこと、継ぐ人のこと、家ごとの事情は
それぞれです。
今日は、そんなことを踏まえたうえで
書いておきます。
石屋の店先から見えている景色は、
ネットに並ぶ声とはずいぶん違います。
お墓を建てる人は、確かに減りました。
誰もが当たり前にお墓を建てる、
という時代ではなくなっています。
理由はいくつも重なっています。
子や孫の世代の人数そのものが減っている。
きょうだいが何人もいて、
そのうちの誰かが家を継いでいく、
という形も少なくなりました。
そこにおそらくは景気の話が重なります。
お墓を建てるにも、
まとまった費用が掛かります。
つまり、暮らしに余裕がなければ
後回しになるものです。
建てたい気持ちはあっても、
今は無理だという家は現にあることでしょう。
ただ、そこから「もう誰も墓など建てない」まで
行ってしまうのは、ずいぶん飛んだ話だと思います。
そういう空気になる理由は、
はっきりしています。
変わった話でなければ
ニュースにならないからです。
墓を持たない。墓じまいをする。散骨を選ぶ。
こういう話は、時代が変わったという形で
取り上げられます。
一方で、普通にお墓を建てて、お参りをして、
そこで手を合わせる時間を重ねながら、
気持ちが落ち着いていく。
そうした家のことは、ほぼ記事になりません。

しかも見出しは、強いほうが読まれます。
中を読めばそこまで言っていない記事でも、
題だけは「お墓はもういらない」になる。
そういうものを毎日目にしていると、
世の中がそちらへ動いたように見えてきます。
けれど、よく見かけることと、
世の中の多数派であることは、別のことです。
私は石材店主ですから、
その「記事にならないほう」を毎日見ています。
親を見送って、お墓を建てたいと
相談に来られる方。
遠方のお墓を近くへ移したいという方。
古くなったお墓を直して、まだ使うと決める方。
そしてお墓が完成し、最初の納骨のあと、
「ありがとうございました、これで安心です」
そう言ってくださる方がいます。
そうそう、こんなことも覚えています。
奥さんを亡くされたお父さんが、
息子さんと一緒に
建墓の相談にいらっしゃいました。
奥さんのご法事と納骨が終わったあと、
年老いたお父さんに向かって、
息子さんが、「よかったね」と労わるように
声をかけていました。
お父さんのうなずいていた様子を見て、
ああ、安心していただけたのだな、と。
この安心は、記事にも数字にもなりません。
けれど、石屋はそれを見ています。
お墓を建てる人の数は減りました。
けれど、いなくなったわけではありません。
気になるのは、その空気が、
建てたいと思っている人にまで
届いてしまうことです。
お墓を建てようかと考えている人が、
「今どきお墓なんて」という言葉を
何度も目にしたとする。
自分の考えのほうが古いのだろうかと思う。
家族に切り出すのを、ためらうようになる。
「今どきお墓なんて」と思う必要はありません。
お墓を建てて供養をしたいと思う人は、
今も普通にいます。
お墓を建てるかどうかを決めるのは、
記事を書いた人でも、
コメントを書いた人でもありません。
「あなた」がどう考えるのか。
最後は、そこなのだと思います。
では。
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