一般墓は本当に人気がなくなったのか。霊園の応募倍率を見て考えてみた
2026年8月27日(木)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
このところ、
お墓についての記事やニュースを見ていると、
「墓じまいが増えている」
「一般のお墓は選ばれなくなっている」
「これからは合葬墓や樹木葬」
そんな話をよく目にします。
確かに、お墓を取り巻く状況は
変わってきました。
ただ、私は決して一般墓そのものが
選ばれなくなったとは思っていません。
そんなことを考えながら、今月発表された
都立霊園の応募倍率を見てみました。
東京都は8月6日、
令和8年度の都立霊園公募受付状況を
発表しています。
その資料を見ると、
一般埋蔵施設、芝生埋蔵施設、立体埋蔵施設を
合わせた倍率が2.4倍。
それに対して、合葬埋蔵施設は6.4倍です。
この数字だけを見ると、
「やっぱり一般のお墓より、合葬墓の方が
人気なんだ」
そう思うかもしれません。
ところが、
数字の中身をもう少し見ていくと、
話はそう単純でもありません。
そもそも、合葬墓といっても、都立霊園では
すべてが同じ仕組みではありません。
今年度の都立霊園の募集案内を見ると、
合葬埋蔵施設には以下の2つがあります。
・「直接共同埋蔵」
・「一定期間後共同埋蔵」
直接共同埋蔵は、
遺骨を納骨時に速やかに共同埋蔵するもの。
一定期間後共同埋蔵は、
しばらく個別に保管した後、
共同埋蔵するものです。
さらに、別の種別として、
樹林型合葬埋蔵施設も募集されています。
同じ「合葬」という言葉で括られていても、
埋蔵方法や募集区分は一様ではありません。
そして、8月に発表された応募状況を
細かく見てみると、
倍率にもかなりの違いがあります。
たとえば八柱霊園では、
同じ合葬埋蔵施設でも、遺骨申込区分で見ると、
一定期間後共同埋蔵が1.4倍、
直接共同埋蔵が1.0倍でした。
また、霊園ごとに見ても差はかなり大きく、
小平霊園の合葬埋蔵施設は19.4倍。
多磨霊園の合葬埋蔵施設は8.6倍。
一方で、
八柱霊園の合葬埋蔵施設全体では1.4倍でした。
同じ合葬墓でも、これだけ違うんですね。
また、一般のお墓でも霊園や区画によって
倍率には差があります。
青山霊園の一般埋蔵施設は8.9倍。
その一方で、
八柱霊園の一般埋蔵施設は0.9倍、
八王子霊園の芝生埋蔵施設は0.7倍でした。
同じ一般のお墓でも、ずいぶん違うものです。
もちろん、応募倍率をそのまま「人気」と
読み替えるのは少し乱暴かもしれません。
倍率は申込者の数だけではなく、
募集される区画数にも左右されます。
霊園により、立地や交通の便、墓所の広さ、
使用料などの条件も違います。
例えば、青山霊園と八王子霊園では、
そもそも立地がまったく違います。
だからこそ、
「一般墓は人気がない」
「合葬墓が人気だ」
と、墓の形と数字だけで一括りにすることには
無理があると思うのです。

小平霊園の一般埋蔵施設を見ると、
それがよく分かります。
同じ霊園の中でも、
5.50~6.00平方メートルの区画は0.7倍。
それに対して、
1.85~2.00平方メートルの区画は4.9倍でした。
同じ場所にある、同じ一般墓です。
それでも墓所の広さが違えば、
応募倍率はここまで変わります。
では、私の地元、川崎市ではどうなのでしょう。
直近の
令和7年度川崎市営霊園の募集結果を見ると、
一般墓所等の平均当選倍率は3.96倍。
そのうち緑ヶ丘霊園の一般墓所は3.78倍でした。
これに対して、同霊園の合葬型墓所は7.10倍。
川崎でも、全体の数字だけを見れば、
合葬型墓所の倍率の方が高くなっています。
ただ、こちらも中身を見ると
一様ではありません。
緑ヶ丘霊園の合葬型墓所では、
すでに遺骨を持っている方の申込みは1.88倍。
一方、お骨のない、
生前申込みは11.90倍でした。
同じ合葬型墓所でも、
申込みの条件によってこれだけ違います。
一般墓所についても、1平方メートル、
4平方メートル、6平方メートルと、
墓所の大きさによって応募状況は違います。
どの数字を取り出して見るかによって、
受ける印象はずいぶん変わるものなのです。
ですから、
「一般墓はもう人気がない」
「これからは合葬墓だ」
と、数字だけを使って
一方向に話をまとめてしまうのは、
少し違うように思います。
もちろん、今回見ているのは東京都と川崎市の
公営霊園の数字です。
これだけで全国のお墓の動きを
すべて説明できるものではありません。
そして、墓じまいが増えていることも、
承継を必要としないお墓を選ぶ人が
増えていることも、
今のお墓を取り巻く一つの流れでしょう。
ただ、
それと一般墓が選ばれなくなったということは、
同じ意味ではありません。
実際、当店でも、墓地の場所に関わらず、
新しくお墓を建てたいというご相談は、
普通にあります。

「今さら一般墓を建てるのは、
時代に合っていないのではないか」
そんなふうに思う必要はまったくないと、
私は考えています。
昔と同じような大きなお墓を、
誰もが求める時代ではなくなってきました。
でも、大きく立派なお墓だけが、
お墓というわけではありません。
家族の人数や暮らし方に合った広さを選ぶ。
自分たちがお参りしやすい場所を選ぶ。
条件に合致した中で一般墓を持つことも、
今も変わらないお墓の選び方の一つです。
亡くなった人のために、
お墓を建てて供養してあげたい。
手を合わせられる場所を残しておきたい。
そう思うのであれば、周りの傾向に影響されて、
その気持ちを引っ込める必要はないと思います。
一般墓が選ばれなくなったのではなく、
お墓の選び方そのものが変わってきた。
だからこそ、
自分たちに一般墓が合っていると思うなら、
安心して選んでいいのではないでしょうか。
私は、
今のお墓事情をそんなふうに見ています。
では。
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