叩きが映える瀬戸内の銘石 犬島石のふるさとへ


2020年11月25日(水)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。最近では珍しく連投です。

これも時々使用実績のある犬島石の丁場見学について。(犬島石製のお墓の記事はこちら

犬島のことを瀬戸内海の小島と何度か表現してきましたが、位置的にはこんな感じのところにあります。

港から20分程度の船旅。地図上でもわりと陸地に近いところにあることがわかりますね。

この犬島、採石以外には銅の精錬所跡を生かした「犬島精練所美術館」などもあり、最近ではアートの島としてもその名を高めているそう。ただ、そのあたりの説明は他の方にお任せしたいと思います。

犬島石の歴史はなかなか古く、大阪城の天下普請の石垣の材料として、また遠く江戸城の石垣などにも使われてきた実績を持ちます。

大阪城の石垣で一番大きな石、通称「蛸石」は犬島石なんですよ。また岡山県一宮の吉備津彦神社の鳥居や岡山藩主池田忠雄公のお墓にも使用されたりしています。

そんな犬島石の丁場には、港から歩きで山坂を越えて辿り着きます。

丁場自体も結構広く、一枚の写真にはなかなか収まり切りません。この写真はゴロタ状の石がたくさん写っていますね。土木材や建築材などになるのでしょうか。

一番低いところと木が茂っているあたりとの高低差は結構あり、なんだか山のように見えますがそうではありません。周囲は海の水位からわずかに上がったところ。なのですり鉢状に掘り下がっているという訳です。

雨が続くと周囲から水が集まってきて、すぐに池のようになってしまうそうなんですよ。普段でも水が集まってくるのでポンプアップして処理しているようでした。

そしてこちらは岩盤。

このあたりはお墓の石にもなりそうな部位ですね。

犬島石は比較的素直に割れる石だそうで、矢を使って割りだします。茶色っぽく見えていますが、丁場の職人さんによると犬島石でも白手の石が採れるという話だったような…。

あ、ちなみに犬島石は大きく分けて「白」と「サビ」の二種類。それを叩いて仕上げたサンプル材はこちらです。犬島石は研磨するより叩いて使ったほうがその味わいを最大限まで引き出せる、そんな石なんです。

まったく別の石に見えますがどちらも同じ正真正銘の犬島石。弊社では白手の石を叩き仕上げの五輪塔の素材として数度にわたって使ってきました。

「白」と言っても青みのある色合いではなくむしろ暖色系。仕上がりはとても柔らかい印象で素敵になります。

そして「サビ」は自然の生んだ芸術品。錆色の縞が入って均一でないところがまた面白みがあって良い。まさにオンリーワンの石でもありますね。

本当に何とも言えない佇まいです。

お墓や鳥居として、少なくとも戦国末期~江戸初期のころから長く使われてきたこと。そして、そういった大切なものの素材として選ばれたことを考えれば、さらに長く使用されてきた実績があるはず。

まさに超400年品質、いや500年品質なのかもしれません。

万成石(龍王)に比べると大きな石で採れることも魅力的な石ですよね。

いずれにしても、犬島石は長期での使用に耐えうる良材であるということがよくわかる思いがしました。改めて自信を持ってお客さんにもお勧めできる石です。

瀬戸内の気候に育まれた犬島石。庵治・大島・万成・北木などの名だたる銘石たちに比べればあまり知られていないかもしれませんが、隠れなき瀬戸内産の銘石のひとつですね。

これからも折にふれ採掘場(丁場)を訪れ勉強し、レポートしてみたいと思いますね。

※この犬島石(白)で出来た五輪塔、ただいま弊社に在庫として陳列しています。ご興味ある方は遠慮なくご連絡ください。(現場作業で不在が多く、シャッターを下ろしていることがあります)

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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