川崎市麻生区の寺院墓地 叩き仕上げの五輪塔が建ちました


2020年5月25日(月)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

前々回の記事(こちらです)にアップした基礎工事済みのお墓工事の続きを書いてみますね。

ちょうど据付けに入ろうとした日は霧のような雨降り。本当に微妙な天気でした。この日は基礎の枠板を外し、石材の確認と補強金具取付用の穴あけなどを。

お墓の工事の場合、昔の工法でも雨は大敵でした。といっても仕方ない場合にはシートを張り、雨をしのいでの作業などもないわけではありません。セメント系の作業の場合は多少は融通がきくんです。

石もカラカラに乾いているより、少し湿るくらいのほうがかえって良かったりすることもあるくらいなので。まあ、バシャバシャ降らない限りは何とか…という感じ。

でも接着剤を使った施工の場合はその少しの湿り気がアウト。接着剤を塗布してもまったく着かなくなってしまうんです。シートを張って石を乾かして作業すればあるいは…とも思いましたが、あえて無理せず据付け作業自体は雨の降らない日に行うことに決めました。

先週はちょうど雨予報が続いていましたが、一日待ったらなんとその日は曇り。なので一気に外柵据付けを行ってきました。

前の日にすべての下ごしらえを行っていたのでどんどん石が据わります。やはり下準備が大事なのを実感します。

このお墓は施主さんの希望で外柵高さを低めに抑えた設計。少し斜めの地盤にもぐらない程度の高さの根石を据え付けて行きます。下の写真は納骨室を据え付けているところですね。

まるまる一日かからずに外柵・納骨室の据付けが完了しました。

当然のことですが、低めの根石といってもいつもと同じように補強金具をしっかりと取り付け。今回のお墓からアンカーボルトもひと規格上のサイズのものを使っていきます。

ちなみに、金具を取り付け締め付けの作業は一日置いて行っています。接着剤・モルタルを問わず、石は据えたら動かさないことが大切なのです。据えたばかりの石に負担をかけたくないからですね。

そして作業は土入れをある程度まで行い、いよいよ五輪塔の据付けへ。写真は五輪塔の水輪まで据え付けた様子ですね。極太の石ダボが強い印象を与えてくれます。

丈夫なお墓になるよう、外柵同様にこのお墓から新たな材料を使って据え付けを行っています。特に五輪塔は部材がいくつかに分かれているため、施工方法がとても大事なところだと私は思っていますよ。

うっかり写真を撮り忘れましたが、その材料を使い塔全体を建て上げてきました。

無事に建ちあがった五輪塔を正面から。塔本体は叩いて仕上げた古代型五輪塔、石種は岡山産の犬島石です。

少し小ぶりで優しげな風合い。しかして風格を感じさせるたたずまいですね。

叩き仕上げは研磨面と違ってその表面は凸凹。

そのため汚れそのものは着きやすかったりします。でもそれがこの叩き仕上げの魅力のひとつでもあります。汚れを味わいへと昇華させてしまう力を、叩いた石肌は持っているんです。

例えばこの古い塔を見てください。

これは奈良県にある有名な古い五輪塔です。大きくて形も良くとても立派、凛としてとてつもないパワーを見るものに感じさせてくれます。

でもこの五輪塔、単に大きくて形が良いからこれだけのパワーを感じさせてくれる訳ではないと私は考えます。この地に建ち、幾星霜を過ごし深みを増し、味わい(誤解を恐れずに言えば汚れ)を纏ってきたからこその圧倒的な存在感なのではないでしょうか。

つまり何が言いたいかと言えば、叩いた石肌は出来た時ももちろんいい。でも経年とともに新しいものでは味わえない別の魅力を獲得していく力を持っている。そんなことを申し上げたいわけなのです。

むろん、本磨き仕上げとどちらが良いとかいうわけではありません。磨きとは全く別の方向性や魅力があるということですね。

さて、話が少々ずれてしまいましたね…。

この叩きの五輪塔に合わせるため、外柵や芝台・拝石はG623の水磨き仕上げにしました。本磨きよりツヤを抑えた仕上げです。また、細かい文字彫刻がある墓誌は犬島石の水磨き仕上げです。

塔婆立ては塔を引き立てるため、あえて石柱を使わずにステンレス柱のものを合わせ、反対側には銭形水鉢を納めて完成はこんな感じに。

うん、とてもシンプルでいい!納骨室手前に敷いたノミ切りの敷石も違和感なく納まっていますね。

前階段や後ろ根石も斜面に埋まらずきれいにまとまってくれました。ここも実は気にしていたところなんです。事前に高低差を計測したので収まらなくては困るのですがね(笑)

あとは施主様が緑を植えたいということなので、それが終われば本当の意味でこのお墓の完成になります。そこも待ち遠しいところですね。

6月初めの一周忌が天候に恵まれますことを、心から願いたいと思います。

このたびは素敵な仕事を請け負わせていただきまして、本当にありがとうございました。


さてさて、こちらのお墓も6月初めにご法事と納骨を無事に迎えることができました。

完成後にさっそく墓域内にタマリュウを植えられたということで、立ち合いに伺った時にはこんな雰囲気になっていました。これからタマリュウが生育すれば、本当に素敵な雰囲気のお墓になりそうですね。

やっぱりお墓は仏花が供えられると一段と雰囲気が良くなります。

集まった皆さんにも、とても喜んでいただけたようで何よりでした。

どのお墓もそのお家にとって大切な場所。だからこそ皆に気に入ってもらえることがとても大切です。これからこのお墓も年数を経て、今よりももっと味わい深くなっていくことでしょう。

施主様ご家族の幸せを心から願いたいと思います。ありがとうございました。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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