日本の石を、これからも選べるように
2026年11月6日(金)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
昨日、取引先の石材問屋さんから、
日本の石の産地の話を聞きました。
日本国内で採掘される石は、
今後ますます厳しい状況になっていくようです。
私たち石屋は、石を採掘する場所を
俗に「山」と呼んでいます。
その山を維持し、石を採り続けるには、
相当な費用がかかるそうです。
採掘に使う重機や設備の維持管理はもちろん、
土地を借りている場合には、
その費用もかかります。
民有地の場合もあれば、
国有林を借りている場合もあります。

採掘を続けるためには、必要な許認可の
更新なども行わなければなりません。
そして、さらに大変なのが、
採掘を終えるときのこと。
山から石を採るのをやめる場合、
採掘した跡地を整えるための
費用が必要になります。
いわゆる「修景」と呼ばれるもので、
場所や条件によっては、埋め戻しや植林などの
作業が必要になるそうです。
つまり、石を採るにもお金がかかり、
採るのをやめるにもお金がかかる。
昨日はそんな話を聞きました。
少しずつ減っていく日本の石
採掘を続けることが難しくなり、
山の権利をほかの会社に譲るようなケースも
あると聞きます。
採掘する会社や体制が変われば、
それまでのような細かな対応が難しくなることも
考えられます。
また、採掘量が減れば、
希望する石を必要な量だけ確保することも、
次第に難しくなっていくでしょう。
希望する石で見積もりをお願いしても、
すぐには金額が出せなかったり、
注文してから石が入ってくるまでに
以前より時間がかかったり。
これからは、そんなことも
増えてくるのかもしれません。
昔は当たり前のように使われていたのに、
今では採掘されなくなってしまった日本の石も
いろいろとあります。
その原因はさまざまです。
採算が合わない場合もあれば、
採掘できる良質な原石が
少なくなった場合もあります。
また、福島県の青葉石のように、
まだ採掘できる石が残っていたにもかかわらず、
原発事故の影響で
採掘を終えたケースもあります。
一度採掘を終えた山を、
再び動かすのは容易なことではありません。

私自身、これまでいろいろな日本の石を
お客様に紹介してきました。
その中には、今では手に入れることが
難しくなった石もあります。
この先、そうした石がさらに増えていくのか‥。
そう考えると、やはり寂しいですね。
私たちの世代には当たり前に選べた石が、
これからお墓を建てる人たちには
選べなくなってしまうかもしれない。
外国産の石にも、良い石はたくさんある
現在、吉澤石材店で扱っている石材も、
実際には外国産が大半を占めています。
インド、中国、カンボジア、ベトナムなど、
さまざまな国の石を使っています。
外国産にも良い石はたくさんありますし、
私自身、石の産地だけにこだわる必要はないと
思っています。
石は石ですからね。
色や石目、性質、価格などを見ながら、
お客様のご希望に合うものを
選んでいただければよいと思います。
ただ、その一方で、
日本の石を大切にしたいという気持ちは
強くあります。
日本の山から採れた石を、
日本の職人が加工して仕上げる。
そうした純国産の石塔には、
また違った魅力を感じるのです。
ちょうど今、東京都豊島区の雑司ヶ谷霊園で、
国産石材を使ったお墓の工事を進めています。
石塔には茨城県産の真壁小目石、
外柵には同じく茨城県産の稲田石。
もちろん、どちらも国内で加工した製品です。
こうして日本の石を組み合わせて、
一つのお墓を建てる仕事もしています。
日本の石が高いのには理由がある
国産石材は、外国産の石材と比べると
どうしても価格が高くなることが多いです。
でも、それには理由があります。
石の採掘にも加工にも、
大きな設備と人の手が必要です。
そして何より、石の加工というのは
大変な仕事です。
私自身も石を加工しますから、
硬い石を切ったり、削ったり、
形を整えたりする苦労はよく分かります。
石を加工する際には粉じんも発生します。
じん肺など、健康への影響にも
十分な注意が必要な仕事です。
働く人の安全や健康を守りながら、
国内で石を採り、加工していく。
そこには当然、相応の費用がかかります。
石を加工する切削刃や研磨盤の費用も、
機械を動かす電気代も高くなっています。
高いか安いかという金額の評価は、
もちろん大切です。
ただ、同じ金額のものでも、
そこにどんな価値を感じるかによって、
受け止め方は変わってくると思います。
どこで採れ、誰の手を経て届くのか
日本の石には、産地を証明する書類を
用意できるものもあります。
日本石材産業協会が発行するものや、
採石元が発行するものなど、
その形はいろいろです。
さらに、ご希望があれば、日程などを調整して、
実際に石の産地へ一緒に足を運ぶことも
できるかもしれません。
日本の石なら、
採掘された山を知ることができます。
そこで石を採る人たちがいて、
採れた石を加工する職人がいる。

さらには、加工された石が
お客様のもとに届くまでの経路も
たどることができます。
国産石材の魅力の一つだと思います。
長く手を合わせていくお墓ですから、
その石の生まれた場所や、
携わった人たちのことを分かったうえで選ぶ。
そこに価値を感じる方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
これからも選べるように
昨日、問屋さんと話しながら考えたのは、
これから先のことでした。
今は選べる日本の石が、
10年後、20年後には手に入れることが
難しくなっているかもしれません。
産地が減り、石の種類が減っていけば、
これからお墓を建てる人たちの
選択肢も少なくなってしまいます。
私たち町の石屋が、
国産石材をお客様に紹介しなくなれば、
その石を知っていただく機会も
ますます減っていくでしょう。
もちろん、商売ですから、
採算や需要といった現実もあるでしょう。
私自身、これからも
外国産の石を扱っていきますし、
お客様にも紹介していくつもりです。
その一方で、日本の石についても、
できる限り紹介し続けたいと思っています。
どの石を選ぶかは、お客様それぞれ。
ただ、せっかく日本には魅力的な石が
まだまだあるのですから、
その存在を知ったうえで選んでいただきたい。
そして、これから先も、
日本の石を選べる時代が続いてほしい。
私はそんなふうに思うのです。
では。
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