真壁石は、なぜ関東のお墓に多く使われてきたのか

2026年7月30日(木)


こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

東京や神奈川の少し古い墓地を歩くと、
白御影石のお墓を数多く見かけます。

その中でも特に目につくのが、
茨城県桜川市周辺で採れる真壁石です。

真壁小目石を使った洋型石塔。細かな石目が特徴です

もちろん、茨城産の稲田石や羽黒青糠目など、
ほかにも優れた国産材があります。

それでも関東では、真壁石が使われた
お墓が本当に多く残っています。

私は、その理由は一つではないと思っています。

まず大きいのは、産地です。

今のように高速道路が整備され、
大型トラックで全国へ石を運べる時代とは違い、
昔は石を遠くまで運ぶこと自体が大変でした。

墓石に使う石材は、
まとまれば何トンもの重量になります。

そのため、関東で採れる真壁石には、
一大消費地である東京が近いという、
大きな利点がありました。

さらに、良質な石が安定して産出されたことも
大きかったのでしょう。

石材店にとって、長く安定して供給される石は、
お客様にも勧めやすいものです。

建てた後についても、
すでに数多くのお墓に使われており、
年月を経た姿を実際の墓地で確認できます。

お客様にとっても、そうした豊富な建立例が
安心につながっていたのだと思います。

次に、価格と品質のバランスです。

同じ茨城県の石材である
羽黒青糠目は非常に美しい石ですが、
やはり高級石材です。

稲田石も人気のある石です。
ただ、石目は真壁小目石より少し大きく、
石塔にも使われますが、
むしろ外柵材として馴染みやすい石です。

その中で真壁小目石は、
細かな石目と落ち着いた白さを持ち、
和型石塔にも洋型石塔にもよく合う石です。

真壁小目石。細かな石目が特徴です

真壁中目石。小目石と比べると石目がやや大きく見えます

品質が良く、価格とのバランスも取れている。

そうしたことから、
多くの方に選ばれてきたのだと思います。

私が若いころには、
真壁中目石の外柵に真壁小目石の石塔という
組み合わせは、ごく普通に見られました。

真壁中目石を使った外柵。石塔は別の石種です

また、それ以前の建立例でも、
白河石や大谷石の外柵に真壁小目石の石塔を
組み合わせたお墓が数多くありました。

今でも少し古い墓地へ行けば、
そうしたお墓を目にします。

そして私は、
真壁石が長く選ばれてきた理由は、
もう一つあると思っています。

石の耐用年数は長いです。
建てて終わりではありません。

建てられてから何十年も墓地に立ち続け、
その姿が次にお墓を建てる人の目に映ります。

親や祖父母のお墓参りに行けば、
周囲にも真壁石のお墓が建っている。

そんな墓地は珍しくありません。

人は意識していなくても、
その景色を見ています。

その積み重ねによって、
「お墓とはこういうもの」という印象が
自然と育っていきます。

そして、お墓を建てるときには、
また自然と真壁石が選ばれる。

建てられた真壁石は、
さらにそこから何十年も墓地に残ります。

その繰り返しによって、真壁石は
関東のお墓の風景になっていったのでは
ないでしょうか。

だから私は、
真壁石は単に品質の良い国産材というだけでは
ないと思っています。

長い年月をかけて、
東京や神奈川の墓地の景色を
つくってきた石でもあります。

最近は採石や国内加工にかかる費用も上がり、
以前と比べ、真壁石のお墓を建てる機会は
少なくなりました。

それでも今秋にかけて、
吉澤石材店では真壁石のお墓を
二件建立させていただく予定です。

吉澤石材店で使う真壁小目石や真壁中目石は、
いずれも国内加工品です。

一部には、原石を海外へ送って加工する事例も
ありますが、やはり国産の石は、
産地に近い工場で加工してもらうのが
一番だと考えています。

長い間、多くの人に選ばれ、
今もなお建て続けられている。

そんな真壁石には、
これからも関東のお墓に似合う石で
あり続けてほしいと思っています。

では。


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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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