芝生墓地と線香の火──「別の場所で」手を合わせる違和感に石屋が思うこと
2026年2月24日(火)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
乾燥する時期になると、
芝生型の墓地では、火の扱いが難しくなる
ことがあります。
とくに芝生型の墓地では、
風を遮るものも少ないです。
線香のような小さな火でも、条件が重なると
燃え広がってしまうことがあるのです。
実際に、そうした事例もあり、
私の知る範囲でも市営霊園などで同様の話を
耳にしたことがあります。
そのため、芝生型の墓地では「線香禁止」や
「合同の香炉をご利用ください」といった運用が
取られていることがあります。
安全を考えれば、当然の対応だと思います。
ただ、それでも少し引っかかる部分があります。
お墓参りというのは、本来、
・花を供え、
・手を合わせ、
・線香の煙を見ながら故人を偲ぶ。
そうした一連の行為が、目の前のお墓で
完結するものです。
それが「線香は別の場所で」という形になると、
どうしてもお参りの行為が分断されてしまう。
理屈としては理解できても、
感覚としてどこかしっくりこない。
そう思う方も少なくないのではないでしょうか。
芝生型墓地には、
統一感のある美しさがあります。
すっきりとした景観は確かに魅力的で、
近年はこうした形式を選ばれる方も増えています。

芝生墓地では、景観や防火の観点から線香の使用が制限されることもある
一方で、その美しさを優先するあまり、
供養の基本的な動作である
「線香を墓前であげる」という行為が
成立しにくくなっているとしたら、
設計として少し惜しいようにも感じます。
もちろん、火を扱う以上、
リスクはゼロにはできません。
だからこそ「禁止」で縛るだけでなく、
墓地の設計段階で
「どうすれば安全にできるか」を考える余地は
あるのではないでしょうか。(もちろん霊園の
規定を守ることは大前提ですが)
例えば、墓石の周囲だけを
インターロッキングなどの不燃材で囲む。
あるいは、通路を同様に整備しておく。

形式は異なるが、こうした舗装の工夫は芝生墓地でも応用可能である
こうすることで、墓前で線香をあげたとしても、
火が芝生に直接広がる可能性は抑えられます。
さらにこれは、
防火のためだけの工夫ではありません。
芝生の管理という面でも、
墓石の際はどうしても手入れが難しくなります。
草刈り機の刃が石に当たってしまうこともあり、
石にとっても決して良い環境とは言えません。
周囲をインターロッキングで納めておけば、
管理は格段にしやすくなりますし、
結果として芝生の状態も安定します。
また、通路をしっかり整備することで、
車椅子でのお参りもしやすくなります。
芝生の上を押して歩くのは、
思っている以上に負担が大きいものです。
つまり、同じ一つの工夫で、
- 供養のしやすさ
- 防火
- 維持管理
- バリアフリー
これらを同時に整えることができるわけです。
そしてこうした工夫は、
これからの墓地設計の中でこそ、
より活かされていくものだと思います。
芝生型墓地の美しさを
否定するつもりはありません。
むしろ、その良さはしっかりと
活かしていくべきだと思います。
ただ、その上で。
公共の墓地というのは、さまざまな人の
想いや習慣を受け止める場所でもあります。
だからこそ、
私たち石屋が建墓の設計をご提案する際にも、
「どうすれば安全に供養の形を守れるか」を
工夫し続けたいと思っています。
芝生の美しさと、供養のかたち。
その両方が無理なく成り立つ場所は、
まだ十分につくれるはずです。
石屋として、そんなことを考えた一日でした。
なお、乾燥する時期は、ほんの小さな火でも
思わぬ形で燃え広がることがあります。
お墓参りの際は、風の強い日は無理をせず、
火の始末だけはいつもより丁寧に
していただければと思います。
では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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