黒御影石の墓石は、簡単には割れません──墓じまいのその後の話
2026年7月2日(木)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
墓じまいについてのご相談を受けることが
多くなりました。
一口に墓じまいといっても、
抱えている事情はそれぞれのお宅で違います。
お墓の継承者の心配、これから先の管理の心配。
そして費用面での心配など。
簡単に良い悪いで言える話ではありません。
それでも、いろいろな事情の中で、
お墓を解体して返還せざるを得ないケースが
多くなっているのだと思います。
では、実際の解体作業はどうなのでしょう。
ここは、お客さんにはなかなか見えない部分です。
お墓の解体工事は、今あるお墓を壊して
運び出し、更地に戻す作業です。
ただ、実際には言葉で書くほど
簡単に済むわけではありません。
解体作業には、
いろいろなハードルが付きまといます。
今回取り掛かっていた現場は、
比較的広い墓所です。
石塔本体だけではなく、
小石碑10数基や墓誌、灯籠などもあり、
あわせて外柵、納骨室、基礎コンクリート
の撤去など、作業量が多めな現場でした。

解体して石材を運び出すだけでも
6日ほどかかっています。
お墓はもともと、
長く残ることを前提としています。
雨や風に耐え、できるだけ強くなるようにと
考えながら建てるものです。
それを解体して取り出すわけですから、
なかなかに骨の折れる作業になります。
また、
どう外せば周囲を傷めずに済むかを考えながら、
慎重に進めていくことも大事です。
今回の現場では、基礎コンクリートの一部が、
隣と後ろ側のお墓に、
少し食い込んでいる状態でした。
大きく割れば早いのですが、食い込んだ基礎は、
大きな塊のままでは外せません。
無理に引き抜こうとすれば、
隣のお墓を傷めてしまいます。
こうした場合、ブレーカーで細かく砕きながら、
少しずつ壊して取り外す以外ありません。

廃棄する石材やコンクリートそのものは、
欠けても割れても構いません。
けれど、隣のお墓や墓地の通路を
傷めることは避けたいところ。
割る大きさ、動かす向き、持ち上げる順番。
そうしたことを考えながら、
少しずつ取り出していきます。
つまり、壊す仕事であっても、
雑に壊せる仕事ではないのです。
そして、現場から石材を運び出しても、
そこで終わりではありません。
持ち帰った墓石材は、大きな塊のまま
処分場へ持ち込めるわけではありません。
処分できる大きさに割る必要があります。
今回割っているのは、
墓石本体に使われていた黒御影石です。

処分場で受け入れてもらえる大きさに、
小割する作業です。
黒御影石系の石は、白御影石に比べて硬く、
穴をあけるだけでも
ドリルのキリにかなり負担がかかります。
そのため、キリを二本用意しておき、
熱を持ってきたら取り替えながら作業を進めます。
無理に続けると摩耗が早くなり、
キリそのものを傷めてしまうからです。
石に穴をあけた後は、そこにセリ矢を入れ、
ハンマーで叩きながら割っていきます。

廃材として処分する石であっても、
そこまでには手間がかかります。
硬い石を割れば、当然、道具も傷みます。
お墓の解体工事は、
思うほどたやすい作業ではありません。
周囲のお墓に気を配りながら解体し、
重い石を運び出し、
持ち帰ったあとも処分できる形にしていく。

そこまで含めての、負荷のかかる作業です。
ただ壊せば終わり、
という仕事ではありません。
お墓をしまうというのは、
そういう仕事なのです。
では。
【あわせてお読みください】
・お墓じまいは、墓地を更地にして終わりではありません
・その墓じまい、本当に今でいいの?──流されない墓じまいのすすめ
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