取材を受けた戦時中の話が、一冊の本になって届きました
2026年9月26日(土)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
先日、一冊の本が届きました。
送ってくださったのは、
大学でも教鞭をとっている
歴史研究者の小野美里さん。
以前、うちのことで
取材を受けたことがある方です。
きっかけは、このブログでした。
小野先生が戦時中の石材業界について
調べている中で、うちのブログに書いた
店に残る狛犬の記事を
見つけてくださったそうです。
その後、ご連絡をいただき、
吉澤石材店まで取材に来てくださいました。
今回送っていただいたのは、
歴史書で知られる吉川弘文館から出たばかりの
『狛犬と歩く近現代』という本です。

小野美里さんの新刊『狛犬と歩く近現代』(吉川弘文館)
本に添えられていたお手紙には、
執筆中の協力へのお礼として、
この本を送ってくださったことが記されていました。
ページをめくってみると、
「石工の出征」という項の中で、
吉澤石材店のことを数ページにわたって
取り上げてくださっています。
巻末の「取材協力・画像提供等」の欄にも、
私の名前と吉澤石材店の名前を
載せていただきました。
いや、ありがたいですね。
戦争に行った石屋
本の中で取り上げられているのは、
戦時中の吉澤石材店のことです。
当時の当主だった私の祖父、吉澤藤三は、
昭和19年(1944年)に出征し、戦死しました。
藤三の弟にあたる耕二と安も、
戦争に行っています。
耕二は上海近郊での戦闘に加わり、
藤三に宛てて送った手紙が
今も店に残っています。
店に残っている狛犬のこと。
そして、鎌倉の光明寺に建つ忠魂碑のこと。
昔から店に残っていたものや、
私がこれまで知ってきたこと、
小野先生にお話しした内容が、
戦時中の石工や石屋のことを知る
一つの資料として本の中で紹介されています。

店に残る一対の狛犬のうちの一体。祖父・吉澤藤三が手がけたものです。

もう一体の狛犬。こちらは脚部が失われています。
家に残っていたものが、本の中に
藤三のことも、耕二や安のことも、
私にとっては吉澤家の歴史です。
父から聞いた話や、郷土史を調べている方々から
いただいた資料などを通じて、
少しずつ知ってきたことでもあります。
耕二や安は藤三の弟で、
同じ吉澤家の人間として
戦争の時代を生きた人たちです。
二人のことを思い出す機会は
そう多くありません。
それでも、私が知っている間くらいは、
その名前も大事にしておきたいと思っています。
今回、小野先生の本の中に
藤三だけでなく、耕二や安のことまで
名前とともに残していただきました。
家に残っていた狛犬や古い手紙、
そして以前このブログに書いたことが、
こういう形で一冊の本につながるとは
当時は思ってもいませんでした。
ブログに書いたことが小野先生の目に留まり、
取材を受け、その一部がこうして
本の中に残りました。
そう考えると、書いて残しておくことにも
何らかの意味があるように思います。
見慣れた狛犬も、本の中であらためて見ると
少し違って見えました。
小野先生、
このたびは本をお送りいただき、
ありがとうございました。
では。
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