古いお墓の汚れを落とすときに思うこと
2026年7月9日(木)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
今日は、多摩区の寺院墓地で、
古い石塔の高圧洗浄をしてきました。

洗浄前の墓所全体の様子
外柵も石塔も古いものです。
今のように磨いた仕上げの御影石ではなく、
表面がザラザラとした、昔ながらの石です。
だからこそ、経年の汚れや苔も、
その肌に入り込んで残ります。

洗浄前。苔や汚れが、古い石の表面に残っています
高圧洗浄をかければ、汚れはある程度落ちます。
読みにくかった文字も見えてきて、
お墓全体がすっきりします。
ただ、新品同様になるわけではありません。
汚れが落ちることで、
これまで隠れていたものも出てきます。
石の傷、穴、欠け、色のばらつき。
苔の跡が、まだらに残ることもあります。
一つの石塔でも、上と下で違う石種だった、
なんていうことが分かったりもします。
それが、その石の
『今』の姿なのではないでしょうか。

汚れは落ちても、石の傷や欠け、まだらな跡は残ります
実は、汚れがついていくのも、
石の自然なエイジングだと私は思います。
もちろん、苔がひどいとか、
文字が読めないとかは別ですが、
少しずつ付いた汚れは、
一概に悪いとは言い切れません。
その汚れが、お墓の味わいや重みに
なっていることもあるからです。
例えば、庭灯籠や古い五輪塔などで見られる
手仕上げの石。磨きではなく、叩いた表面には
表情と味わいがあります。
そこに強い水圧をかけると、汚れと一緒に、
その味わいが飛んでしまう気がします。
だからそれらの石造物には、高圧洗浄による
クリーニングはお勧めしていません。
一方で、洗って整えたほうがいいお墓も、
もちろんあります。
たとえば、お墓を作り替えたり、
据え直したりするとき。
石を一度外すので、
いろいろな方向から水を当てられます。
こういうときは、洗うのにいい機会です。
年忌法要など、何かの区切りに合わせて、
まとめて手を入れるのもいいと思います。
そうして汚れが落ちると、
石はどこか気持ち良さそうに見えます。

洗浄後の墓所全体の様子
欠けも傷もそのままだし、
まだらなところもある。
それでも、隠れていた文字が見えて、
お墓全体の色が明るくなると、
どこか重しが取れたような印象を受けます。
石屋の勝手な感覚かもしれませんが、
私はそう感じるのです。
では。
※古い石や、時間とともに変わる石の表情については、こちらの記事でも書いています。 また、自然な汚れや味わいとは別に、飲み物やサビなどのシミは早めに気をつけたいものです。
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