お墓の石選び。吸水率など「数字」だけで選ばないために
2026年5月1日(金)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
5月に入りました。
今日も建墓作業をしたかったのですが、
あいにくの雨。残念ながら日延べにしました。
石が湿ると接着作業に影響が出ますので。
さて、湿るというと
ひとつお伝えしておきたいことがあります。
それは石が水を吸うこと。
石には、目に見えない細かな隙間があります。
専門的には細孔と言いますが、
そこに水が入り込むことで、石は水を吸います。
ここで出てくるのが「吸水率」。
お墓の石を選ぶ時に、
この吸水率について聞かれることがあります。
「この石は水を吸いますか」
「吸水率が低い石の方が良いのでしょうか」
「ネットで吸水率という数字を見たのですが」
そういう時、
私はまず、よく調べていらっしゃいますね、
とお伝えすることがあります。
お墓づくりは、
一生に一度あるかないかの大きなことです。
できるだけ良い石を選びたい。
あとで後悔しないようにしたい。
そう考えて、いろいろ調べるのは、
とても自然なことだと思います。
ただ、そのうえで石屋として
お伝えしていることがあります。
吸水率という数字は、
まったく意味のないものではありません。
一つの目安にはなるでしょう。
けれども、石は工業製品ではありません。
天然の素材です。
同じ名前で呼ばれる石であっても、
大きな採石場の右の端と左の端。
同じ岩盤の上の方と下の方。
それらが、水の吸いやすさまで含めて、
すべて同じ数字になると考える方が、
むしろ無理があるように思います。
つまり、吸水率という数字は、あくまでも
試験に使ったサンプルに対する数字
だということを、知っておいてほしいのです。
別の原石を試験すれば、
まったく同じ数字になるとは限りません。
また、石のカタログには、吸水率だけでなく、
圧縮強度や引っ張り強度のような
「数字」が載っていることもあります。
もちろん、
そうした数字がまるで無意味だとは思いません。
ただ、数字だけで石全体を語れるほど、
単純なものではありません。
私は、お客さんに吸水率の話をする時も、
数字そのものより、実際にどう見えるかも
大切だとお話ししています。
実際に石を見ていると、
数字だけでは分からないことがあります。
数字の上では吸水率が低い石でも、
雨に濡れた時に、
思ったより色の変化が目立つことがあります。
反対に、数字だけを見ると
多少水を吸うように見える石でも、
実際にお墓として建っている姿では、
そこまで気にならないこともあります。
これは、
数字が間違っているという話ではありません。
水を吸いやすいか、吸いにくいかという
尺度とは別に、
水を吸った時に目立つか、目立たないか。
そういう見方もあるということです。
目の細かい石などは、傾向として、
水を含んだ時の色の変化が
分かりやすいことがあります。
雨に濡れれば、
石の色が濃く見えることもあります。
でも、それは石として自然なことでもあります。
お墓は屋外に建つもの。当然、雨にも濡れます。
そして、どんな石でも水は吸います。
高級石材として知られる
庵治石や大島石であっても、
水をまったく吸わないわけではありません。

庵治石と大島石のサンプル材。水を垂らして間もない状態ですが、乾いた時とは石の表情が変わって見えます。
時間が経つにつれて、
石の色が落ち着いて見えたり、
青みが増したように見えたりすることが
あります。
それも、石が屋外で雨や湿気に触れながら、
少しずつ表情を変えていくことと
関係している部分があります。
ですから、水を吸うこと自体を、
すぐに欠点と考える必要はありません。
もちろん、北海道など寒さの厳しい地域では、
吸った水が凍って、それを繰り返すことで、
石に影響が出ることも、
もしかしたらあるのかもしれません。
ただ、私が普段仕事をしている川崎市周辺で、
一般的なお墓に使われる御影石を考える場合、
そこまで過度に心配する必要は
少ないのではないかと思っています。
大切なのは、
数字だけを見て安心したり、
不安になったりしすぎないことです。
乾いている時の見え方。
雨に濡れた時の見え方。
実際にその石で建っているお墓を見た時に、
自分がどう感じるか。
そこも、とても大事な判断材料です。
お墓は、数字だけで建つものではありません。
長く手を合わせる場所として、
その石の姿をどう受け止められるか。
年月を経た時に、
どのような表情になっていくか。
また、建てる墓地の環境に合っているか。
そうしたことも含めて、石を選ぶ必要があります。
石屋がしなければならないのは、
スペックだけを並べて石を語ることではないと
私は思っています。
吸水率が低いから安心です。
この数字だから良い石です。
それだけでは、
お客様の不安に
本当の意味で答えたことにはなりません。
数字は参考になります。
ただ、それだけでは見えないこともある。
だからこそ、実物を見たり、
実際に建っているお墓を見たりしながら、
その石がどのように見えるのかを
一緒に考えていくことが大切です。
吸水率は、
不安になるための数字ではありません。
納得して石を選ぶための、一つの材料として
見ていただければと思います。
では。
【関連記事】
石の見え方については、以前こちらの記事でも書いています。
石選びは、小さいサンプルだけで決めない
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