お墓の汚れは「時間」で変わる――石屋が教える、シミを防ぐ3か条
2026年2月26日(木)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
お墓や石のまわりの「汚れ」の相談は、
思っている以上に多いです。
飲み物をこぼした、缶を置いていたら
サビがついた、線香やロウソクの跡が残った。
すべて供養の気持ちのあらわれなので、
やめなさいとは言えません。
ただ、石は思うよりずっと繊細です。
そこを頭に入れておくと、汚れでの困りごとは
ぐっと減ります。
石は水を吸う。シミが残る理由
石には細孔という小さな穴があります。
そこから水を吸いあげます。
つまり、水に溶けた汚れの成分ごと、
ゆっくり中に入っていきます。
そして水分が抜けたあとも成分が残り、
周りが乾いてもそこだけ濡れ色のように見える
――そんなシミになることがあります。
中に入ってしまうから取れづらい。
汚れがやっかいになる理由です。
また、汚れは時間の経過で、
より落としづらくなります。
付いた直後なら、水で流すだけで
きれいになることもあります。
逆に、数日〜数週間と時間が経って、
奥まで入ってしまうと、簡単には戻りません。
市販の洗剤で何とかしようとして、
かえって石の表面を傷めたり、
広げてしまうケースもあります。
汚れを定着させない3か条
だから気を付けたいことは、
まず「付けない」こと。
次に「付いたら早めに掃除する」こと。
最後に「原因が分かるうちに相談する」こと。
付けない、の代表例を挙げるなら――
- 飲物(お酒やジュース):成分が染み込みやすい
- 金属の缶や道具:サビが石に移る
- タバコ、線香、ロウ:アクや油分が残ることがある
などでしょうか。
いずれも、お参りの中で起きやすい汚れです。
また、落ち葉が湿ったまま長く石の上に乗って
いたり、生木などから雨で成分が流れ出たり
すると、石に茶色く汚れが入ることがあります。
以前、うちでも
木のアクで石を変色させてしまった現場が
ありました。

木アクがついて石にシミができた状態
このシミも最初は「水で洗えばなんとか…」
と思っていました。
ところが、時間を置いたことでシミが定着し、
水洗いでは全く落ちない。
洗剤を使い洗って、また大量の水で流す。
それを何度も繰り返す作業になりました。

洗浄途中。シミが抜けきらず残っている状態
強い洗剤を使えばとも考えがちですが、
石を傷めるリスクがあります。
据えてある石を交換するようになれば大変です。
結局は、石を守りながら少しずつ抜いていく。
これしかありません。
「落とす」よりも「石を傷めない」を優先すると、
時間が必要になります。
このケースでは、養生のつもりで使った材料や、
雨水の溜まり方が影響して、
かえってシミを作ってしまいました。
念のため、と思った処置が
裏目に出てしまい、慌てました。
ただ、最終的には時間をかけて抜けたので、
ひとまず安心できました。

時間をかけてシミを抜いた後の状態(一部水洗いした水が残っています)
3か条:なぜ「原因が分かるうちに」なのか
そしてもう一つ。
石の汚れ落としは、シミ・汚れの
見極めが大切だということです。
先日も、都内の公園でこんな経験をしました。
ブロンズ像の台座石に油ジミが付いていて、
立地的にも「機械油のようなものだろう」と
見立てました。
その前提で洗剤を選び、三度ほど試しました。
湿布して、数日置いて、水洗い。
ところが乾いてくると、どうしてもシミが目立つ。
通常、一度で変化が少なくとも、二度目になると
何かしらの反応が見えてきても不思議ではない。
どうもおかしいと思い、
洗剤メーカーの方とも相談しました。
アドバイスをいただき、
機械油(鉱物系)ではない可能性も疑い、
食用油(動植物系)の洗剤のサンプルを
送ってもらいました。

メーカーより提供いただいたサンプル剤
それを試したところ、明らかな反応が。
結果、目立っていた油ジミが、ほとんど気に
ならない程度まで落とすことができました。
正直、屋外の現場で食用油系が原因とは、
まったく思っていませんでした。
完全に想定外です。
この一件で、あらためて腑に落ちました。
「こうだろう」という思い込みで
決め打ちすると、的を外すことがあるなと。
結局は、汚れに合った洗剤でなければ、
効果は望めないのです。
大事なのは、思い込みではなく、汚れの原因の
見立てと確認ですね。
汚れが一度定着すると、落とすには
時間と手間がかかります。
だから結局、いちばん大事なのは、
汚れを「定着させない」ことです。
付けない、付いたら早めに。
そして、迷ったら早めに専門家に相談しましょう。
お墓は、長く残るものです。
日々のちょっとした扱いの不注意が、そのまま
汚れやシミの原因になることがあります。
お墓参りの際、供養の気持ちはそのままに、
石という素材の性質も、少しだけ意識してみてください。
ビールやジュースは缶を開けずにお供えする。
そして、帰るときには持ち帰る。
これはお供え物も同じです。
また、花用のはさみや、さびやすいものは
そのまま石の上に置き続けない。
線香やたばこも石の上に放置しない。
たったそれだけのことで、汚れの付き方も、
後々の手間も、大きく変わります。
どうか、ご参考ください。
では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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