真宗の一揆と『五輪塔の旗』──旗は何を語るのか

2026年2月25日(水)


こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

先日、千葉県佐倉にある国立歴史民俗博物館
を訪れたことを書きました。
→国立歴史民俗博物館でたどる「死」とお墓の歴史

その際、館内を見て回る中で、
ひとつ気になった展示がありました。

一向一揆に関するコーナーにあった、
「五輪塔の旗(複製)」です。

展示されていた五輪塔の旗(複製)

真宗の一揆なのに、五輪塔。

普段の仕事の感覚からすると、
少し引っかかるものがありました。

真宗では、一般に五輪塔は建てないとされます。
なので、真宗のお墓では、
五輪塔をお勧めすることは、まずありません。

それなのに、なぜ五輪塔の図柄なのか。

その場では答えが見つからず、
帰ってからも少し調べてみたのですが、
はっきりしたことは分かりませんでした。

実は、館内にいらしたスタッフの方にも
伺ってみたのですが、
「私たちは研究員ではないので、
よろしければメールでお問い合わせください」
とのことでした。

曖昧なままにしておくのも気持ちが悪いので、
さっそく、歴博のご担当の方に
メールで問い合わせてみました。

そして数日後、丁寧なお返事をいただきました。
ありがたいことです。

お返事の中ではまず、寺に伝わる話としては、
石山合戦の援軍のお礼に、顕如から贈られた旗と
されているそうです。

ただ、その旗そのものについては、一次史料で
確認できる記述は見当たらないとのことでした。

お返事の内容を私なりに整理すると、
こんな感じでした。

  • この旗は、東京・麻布の善福寺に
    伝わるもので、石山合戦の際、本願寺
    の顕如から贈られたという「寺伝」が
    あること
  • ただし、史料として確認できるのは
    援軍要請の文書までで、
    この旗そのものについての記述は確認
    されていないこと
  • 一向一揆でよく知られているのは、
    「南無阿弥陀仏」と書かれたムシロ旗
    であり、五輪塔の旗を掲げたという
    史料はないこと
  • 五輪塔は、石塔としてだけでなく、
    仏教の世界観(地・水・火・風・空)
    を表す象徴でもあるため、
    宗派を超えて用いられる可能性が
    あること

という感じです。

つまり、
「一向一揆が五輪塔の旗を掲げていた」と
言い切れるわけではないけれど、
そうした図像が、仏教的な象徴として
使われていた可能性はある、という整理です。

正直に言えば、
「なるほど、そうだったのか」と
すべてがはっきりしたわけではありません。

とはいえ、すべてが断定できる話ではないと
分かったのは、収穫だったのかもしれません。

そしてもう一つ。分かることと、
分からないことを分けて説明する。

学術の世界ではそういうものなのかも
しれませんが、その線引きが印象に残りました。

五輪塔と真宗の関係を考えてみると、
昔は今ほど、考え方が
整理されていなかったのかもしれません。

時代の変遷で、物事の捉え方や考え方は
変わっていくのだなと思いました。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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