川崎市営緑ヶ丘霊園 一般墓所 6㎡の石塔・外柵を建立しました
2023年1月31日(火)
すっかりご無沙汰してしまいました。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
前回からずいぶんと間があいてしまいました。この間も順調にお墓や鳥居の建立などを行ってきましたが、書くことから一度遠ざかるとつい億劫になっていけません。以前は3年ほど毎日更新していたことがウソみたいです。またお請けしたお仕事の様子など、まめに書いていかないといけませんね。
さて、今日はつい最近完成した川崎市営緑ヶ丘霊園での建墓の様子をまとめてみます。こちらは返還墓所で更地の状態でした。
最初にお施主様からご相談をいただいたのがちょうど1年ほど前。少しずつ打ち合わせを重ねてきた案件でした。石塔(墓石)の形にこだわりをお持ちで、埼玉の霊園に御一緒したり、ご自身でも三浦半島の霊園をご見学されたりと、他所の建墓例を見学しながら選んでいただいたのは、いわゆるデザイン型と呼ばれるものです。
工事の様子を交えながら話を進めていきましょう。
ちょうど角地の区画のためすべての作業は比較的やりやすくて助かります。「根切り」と呼ぶ土を掘削する作業も小型のユンボから直接ダンプに残土を乗せることができますね。そして割栗石を敷き詰めてランマーで転圧。幾度も敷地内を回って締め固めていきます。
そして所定の位置に水抜き穴を設けてD13異形鉄筋を配筋。お墓の基礎ではD10と一回り細めの鉄筋を使用する業者さんもありますが、弊社では太目のD13を使い井桁に、そして角の部分には斜めにも組んでいきます。
ここで基礎コンクリート打設の工程ですが、冬の時期のコンクリ打設はその日の気温によっては凍結に注意。ちょうど年末の時期だったのでコンクリート打設は翌日の朝一番から行いました。下の写真はいくぶん水が引ひたところで金ゴテで均した状態ですが、気温が低めなので水引きがいまいちでコテ跡がけっこう残っていますね。
最終的には午後遅めの時刻にもう一度均してから凍結防止でビニールや毛布などを掛けて養生を行いました。
昨年末の作業としてはここまで。年末年始のお休みを養生期間に当て、充分に硬化してから据付作業を行いました。6㎡と広めの墓所なので各部材もなかなか大きなものを使います。それでもクレーン車が横付けなので助かりますね。
写真は据付け用モルタルを所定の位置に配している様子。基礎コンクリに地墨を打ち、確認しならがの作業です。
お墓の石ってただモルタルで高さを揃えて基礎ノンクリートの上に乗せているだけではありません。底の部分はこんなふうにギザギザに荒らしてあります。この窪んだ部分によく練った樹脂モルタルがしっかりと入りこむことで、石が容易に動き出さないようになるんです。
バサバサの水気の少ないモルタルなら高さを揃えるのも容易で作業もだいぶはかどるでしょう。だけどそれはお墓の耐久性を考えたら間違いなく禁じ手です。
弊社では基礎コンクリに据え付ける石材はこのような加工を施してお墓を建てています。
そして据え付けたら基本的には動かさない。これも大事な部分です。お墓の強度を高める補強金具も基本的にはボルト締めは据えたその日は行いません。それはもちろん石が動いて縁切れになることを防ぐため。
下の写真でもお墓の外柵(外周りの石)はボルトが入って締めてありますが、カロート(お骨が入る部分。写真では内側の石)はコンクリートとのつなぎ目にはボルトが見えませんね。
この写真を撮った次の日にドリルで基礎コンクリートに穴をあけ、それから取付→ボルト締めと行っています。(石側のアンカーボルトは据付前に配置。補強金具は取付のみで締めてはいません)
ごちゃごちゃと金具が配置されていますが、見えない部分も手を抜かずに作業です。
次の日にボルト締めを行ってから埋め土(と言っても砂利ですが)を入れてからワイヤーメッシュを入れてコンクリ打ち。また別の日に今度は敷石と羽目石(囲いの石)の据付です。
写真は上側の敷石を据え終わって目地まで終わったところですね。
そしてまたまた別の日に今度は石塔(墓石)の据付けに入っていきます。
性質の異なる接着剤を使い分け、それぞれの特徴・強みを発揮できるようにという思いを込めての施工です。
団子状に配した接着剤が、石が載ることでグチャッと広がり広い面積で石を接着します。良い接着剤だからといって使う量や使い方を誤ってはその性能を発揮するのは難しくなります。接着剤は量を適切に使うことでこそ、その性能をはじめてフルに発揮できるんです。
外柵に埋め込み式の墓誌も接着剤で圧着。
そんな作業を経ながら、ようやく完成したお墓がこちら。
外柵は吉林603という中国吉林省で採られた白御影石。墓所入口の両側に花壇を配して右側にはベンチを備えた形です。花壇にはお施主様がリュウノヒゲなどを植える予定と聞いていますが、緑があってステキなお墓になると思います。
そして中央に配置したデザイン型墓石は岡山県で産出される銘石、万成石で出来た石塔(墓石)です。
通常ならこのような加工の多いものは中国で加工することが多くなっていますが、こちらは日本の茨城県の工場で加工された正真正銘の国産品です。もちろん左側面に見える埋込型の墓誌も同様ですよ。
写真撮影した時間帯のためか、青っぽく写ってしまっていますが温かみのある桜色のデザイン型墓石はとっても存在感があります。日本の職人さんが心を込めて作った万成石のお墓は加工精度も良く最高ですね。
正面文字は書家さんの手による隷書体で書かれた文字をサライ仕上げで。コンピュータ文字にはない良さを醸し出します。
全体的に作り手としても満足のいくお墓が完成しました。
気候のいい時はベンチに腰掛け、お亡くなりのご家族との会話を楽しんでいただけると嬉しいですね。
このたびは吉澤石材店にお墓づくりをお願いしていただきまして、本当にありがとうございました。デザイン型墓石を国産銘石で作らせていただく機会に恵まれまして、心より感謝しています。
あ、下の画像はご提案時に提出した最終の完成予想図です。墓誌石種が黒御影石から万成石に変わったことと、敷石のブラスト仕上がなくなったところが変更点ですかね。
予想図の方が実際よりもデザイン墓石が小さめに見えていますかね。拙ブログをご覧いただけた皆さまは完成写真と比べてどうお感じになりますか?もしよろしければご感想などいただけますとありがたいです。
それから現在、この緑ヶ丘霊園で1㎡墓所の工事も一件進めているところです。今は基礎工事などを終え養生期間中ですが、施工が終わったら施工写真などと一緒にブログにアップしてみます。サボらずに頑張ろうと思っています。
2023年2月7日(火)
こちらのお墓、その後にお施主様が花壇にタマリュウ(リュウノヒゲ)を植えられたと聞いたので、撮影してきました。
これで形としてはすべて完成ですね。やっぱり緑があると映えますね。想像した以上に良いアクセントになっていると思います。
大きく成長してしまうケースもあるため、お墓に樹木は避けるべきではとよくお客さんにお話をしています。でもタマリュウなら根が悪さをすることはないですよね。
先日あげた写真に比べると、変に青みがなく写せたので万成石の優しい色調もわかりますかね。とっても良いお墓になりました。
3月にご納骨予定なので時々見に行ってみようと思います。では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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