川崎市営緑ヶ丘霊園 一般墓所 1㎡の洋型石塔・外柵工事を行いました


2023年2月2日(木) 基礎工事編


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

前回のお墓ブログで書いたように、川崎市営の緑ヶ丘霊園の1㎡墓所の工事の様子をブログにしていきます。

ちなみに1月23日から工事に入りました。

この1㎡の区画は川崎市が昨年から募集を開始した小区画の墓所でサイズは1m四方です。既存の4㎡や6㎡に比べると小さいサイズのため、区画の使用料も割安。なかなか人気の高い区画となっています。

しかし小さめのサイズとはいえ、行う工事の工程は既存墓所と遜色ありません。まずは地盤の掘削、根切り作業から。既定の高さを掘り下げていきます。

その後は40-0砕石を敷き込んでからランマーで転圧。地盤の締固めを行います。ちょうど私がランマー転圧を行っていたので、経過の写真をその工程だけ写すことを忘れてしまいましたが、幾度かに分けて充分に転圧をしました。

通常ですとこの後は鉄筋の配筋→コンクリート打設と進んでいきますが、この1㎡区画はもともとは霊園内の緑地だった場所。造成はしてあるとはいえ、そこそこ大きな樹木も点在していたので、いくらランマーで土の上の部分を締め固めてもちょっぴり心配になります。

1㎡墓所は小さめのお墓とはいえ材料は石材、かなりの重量です。もともと樹木が植わっていた場所などでは、転圧した部分ごとお墓が不動沈下してしまうかもしれませんからね。もちろん地盤の状態にもよるのですが、広めの敷地に分散して荷重がかかる状態に比べ狭めの敷地に集中して荷重がかかることは好ましいことではありません。

そのため今回は地盤補強のために単管杭を打ち込んでみることにしました。

地盤調査をしていないため、どのくらい杭が入るのかはわかりませんが、とりあえずは5mを二つに切って2.5mの長さでトライ。打ち込み長さ2mを超えるとかなり入りが渋くなり、その後粘って2.5mすべてを打設完了しました。

石が載る真下あたりに合計で8ヵ所打設。これでまず不動沈下を起こす心配はないと思われますね。

実は今回、もともとは単管打設を想定していませんでした。たまたま知り合いの石屋さんに尋ねたところ、やはり地盤そのものは強固という状況ではなさそうだということなので、急きょこの工程をさしはさんだ次第です。施工したお墓がもし不動沈下でも起こせばお施主様に迷惑をかけてしまいますし、弊社としても困ってしまいますので。

今回は見通しも少し甘かった部分もあるため、この工程の実費は持ち出しになるでしょうが、次回以降へ備えた勉強と考えるようにしようと思います。


ここで少しの間だけ、工事過程の様子から離れた話になります。

弊社では一つ一つの工事に全力を注ぎ、しっかりとしたお墓づくりをしたいと考えています。時間をかけ、手間をかけてもそのお墓が良くなる方向でものを考えますので、安直に妥協をしたくありません。結果、ご提示する金額は安価を売りにする石材店さんと比べて高めの数字になると思います。

逆に言えば価格競争では絶対に勝負できませんし、生意気なようですが安易な値引き合戦にも乗れません。この工事をすると、このくらいの対価を頂戴したいと見積りを作成していますので、お見積りの金額が理由もなしに変動することもありません。

こんなスタンスでお墓づくりを行っていますので、弊社は金額面のみを最優先で追求される方のご期待には全く沿えない石材店です。むしろお声がけをいただいても無駄に時間を過ごさせてしまうことになるかもしれません。

小人数でやっている小さな石材店のため、やれることにはおのずから限りがあります。

だからこそ、単に金額面だけではない部分で弊社のお墓づくりの価値をご理解くださるお客様のため、請け負った仕事を全うしていきたいと考えています。

価格に見合った価値ではなく、価格以上の価値を提供できるように。

さて、ではここから工事のブログを続けたいと思います。


工程は鉄筋の配筋です。D13鉄筋を井桁に組んで、斜めにも鉄筋を配し結束してからのコンクリート打設の段階です。

時間的にはコンクリ打ちまで完遂できる状態でしたが、コンクリートの凍結が心配なため打設は日延べをしました。

そして翌24日、朝一番でコンクリート打ち。水が引くのを待ち、午後に金ゴテで押さえてコンクリート基礎までの工程を終了しました。このあとは凍結防止のため毛布やビニールで養生をして時間を置くことになります。

後日確認したところ、コンクリの凍結はしておらずまったく問題のない状態でした。10年に一度の大寒波と言われていたので一安心ですね。

下の写真はこの後の据付けに向け、養生と並行して会社内で納品済みの石材の検品と補強金具取付のための穴あけ作業を行っている様子です。石の下端の荒し方などが少し足りていないため、多少の手直しを行って準備をしております。

来週あたりから据付け工程に入っていきます。

また作業の様子をブログにしてみますね。では。(2/6分につづく)


2023年2月6日(月) 据付工事編①

さて、今日から据付け工事に入っていきます。

水を適切に入れ、よく練った樹脂モルタルを使い部材を据え付けていきます。もちろん石の下側は要所をザラザラにして、モルタルがよく噛むようにしてあります。

丈夫なお墓を作るにはここが大事なところ。バサバサ過ぎる水気のないモルタルは、据え付けそのものはしやすいですが、石を長くそこに留めておくには不向きです。

なので弊社では必ずよく練ったモルタルを使用して据え付けていきます。1㎡墓所は小さめのお墓ですが基礎工事と同じく、据付工事も作業内容としては広いお墓と何も変わりません。

部材一つひとつは小さめのため、取り扱いはしやすいですね。しかし、ちょっとの加減で据えた石が動いてしまったりすることも。そしてモルタルは水気を含んでよく練ってあるだけに、据付け中に必要以上に石の高さが下がり過ぎることもあります。

何が言いたいかというと、つまりは小ぶりな部材は大きな部材よりもかえって据えづらい点も部分があったりするということです。だからいい加減な作業は出来ません。

そんなこんなで下回りの石材の据付けが無事に完了。色が濃い目の石材なので擦り傷などが付かないように気を使いました。

ところで、今回のお墓は根石(ねいし)部分の石材の厚みは4.5寸(約13.6㎝)。この大きさの墓所にしてはしっかりと厚みを確保した仕様にしています。

石厚は厚ければ厚いほどいいというわけでもないと思います。重量も過剰になってきますし、何よりも敷地が狭めな場合、内側の面積が小さくなるために骨壷の収蔵数にも影響が出てきますので。

ただし、石厚が薄めでは接着剤の接地面積をしっかりと確保することができません。ここはお墓の強度にも影響してくる部分ではないかと私は考えます。良い性能の接着剤を多めに使うことが、お墓の強度を長い時間維持していくことにつながると信じるからです。

それはともかくとして、こちらのお墓では、お骨をこれ以降どのくらい納めていく予定があるのかをお施主様とも相談のうえ、ご希望をふまえてこの仕様にした次第です。

さて、明日は内側の敷石を据え、補強用金具を取り付けて屋根になる天板(てんいた)を据え付けていきます。

順調に進むといいですね。ではまた明日。


2023年2月7日(火) 据付工事編②

こんにちは。今日も同じ現場での作業を行ってきました。

納骨室は外柵と同じ石材で敷石施工。微妙な水勾配をつけて万が一、水が入ることが起きても中にたまらないような構造にしています。

そして補強金具の取付け。L型金具も立体的な構造をしており、単純な金具よりも強度が高い品物ですよ。

そんな丈夫なL型金具を、これも丈夫なステンレス製のアンカーボルトでがっちりと留めます。

ボルトも力任せに締めあげるのではなく、トルクレンチでしっかりとトルク管理。これも結構大事な部分。過ぎたるは及ばざるが如しと言いますが、無理に締め過ぎて強度が落ちることを避けます。

この後に天板の石材を3種の接着剤を使用して据付け。それぞれの接着剤が、その性能を発揮して長持ちしてもらえるようにとの併用です。

ここまでで今日の作業は終了。

少しずつの工程でもどかしい部分もありますが、据えたばかりの部材に必要以上の負荷はかけられません。モルタルも接着剤も据付けて効果が始まったら動かさないことが大事ですので。

あとは石塔の文字が彫れたら据付けに来ようと思います。


2023年2月14日(火) 据付工事編③

ご無沙汰してしまいました。本日石塔の据付けを行いこちらのお墓はすべて完成しました。

石塔・外柵ともにインド産のインド山崎石製。立派に仕上がったと思います。(曇天での写真撮影のため黒に見えますが、実際には濃いグレー系の御影石です)

花立に刻んだユリの花はお施主様のご希望で探したデザイン。石に刻んで判別でき、映えるものを探しました。誰でも何にでも使えるフリー画像ではなく、ネットのサイトから有料の特別ライセンスを取得したものです。

ところで、こちらの霊園ではお墓の高さ制限があります。制限内なら高さは自由なため、後ろ側のお墓は背が高くなっていますね。これはきっと、納骨室内に棚があってその上下に納骨できる仕様、つまりは『二階建て』ですね。

対して今回建立させていただいたお墓は『一階建て』

しかしそうは言っても大人の骨壷で8つ収納できます。もし先々骨壷が一杯になったとしても、お骨を『粉骨』することで『かさ』が劇的に減ります。なので納骨室内が満杯になって困ってしまうことはそう心配することがないと私は考えます。

もちろん『二階建て』にされるか『一階建て』にされるかはお施主様が決めることですが、同じ石塔が載るならば背が低めの方が安定度は上だということは間違いないでしょう。

出来上がった時の印象はとても大事。ただ緑ヶ丘霊園で1㎡墓所をお持ちの方は、先々お骨をどれくらい収蔵していくのか。そんなことも頭の中に入れてどちらのタイプを選択されるかを考えていくのが肝要だと思います。

今回はお施主様のご希望で低めのタイプのお墓を建立。

もちろん据付けは種類の異なる接着剤をそれぞれの工程で惜しみなく併用する、弊社の標準施工で行いました。長めの鋼管杭の打設も行ったので不同沈下は起きないでしょうし、お墓そのものも長く丈夫さを保ってくれるのではないかと思います。

これで今回の1㎡墓所の工事は終了です。

数ある石材店の中から弊社にお墓づくりをお任せいただきまして、本当にありがとうございました。

今後もお客様のご希望や状況をしっかりとうかがい、それぞれの方に合ったお墓づくりを丁寧に続けていきたいと思います。


2023年2月16日(木) 追記③

なお、今回は納骨室内に土の部分を残さずに敷石仕上げにしましたが、もちろん土の部分を残してのお墓づくりも可能です。

写真は緑ヶ丘霊園とは別の墓所ですが同じく1㎡のお墓の施工写真です。敷石上にお骨を納めていき、満杯になったら古いお骨から土に還していくことが可能になります。

本日たまたまお問い合わせがありましたので、ブログの方にも追記しておきます。

ありがとうございます。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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