晴れ、雨、雨上がり。石の吸水について川崎登戸の町石屋が思うこと。


川崎市多摩区の吉澤石材店です。

昨日の午前中、戒名彫刻の事前準備の石ずりという作業に行ってきました。要は石に紙を当てて拓本をとる作業とイメージしてください。

現在刻んである戒名や物故者名の大きさ・配置に合わせ、新たな戒名を刻むために欠かせない作業です。

夜中の雨で墓誌や石塔の平らな部分には水が溜まっていました。この水を乾かさないと仕事が進みません。しっかり拭き取って乾燥させてから作業してきました。

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ちょうど先日据え付けた石塔の近くだったので目にしてみると、もちろん雨水が。

でも、この石は思ったよりも水がしみ込んでいない印象を受けました。(水を吸うとその部分が一時的に色濃くなります。)

新しいからというのも影響あるかもしれませんが、この石種は今まで何度か使用する機会があり、いつもそのように感じています。個人的に好きな石の一つです。

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もっとも、ここでは印象が変わらないから良い石とか好きな石だと、短絡的に言いたいわけではありません。

平らに見える石でも、実は目に見えないくらいの細かい穴(細孔)が無数にあいています。これは天然石ではごく当たり前の性質で、そこから水分を吸い込むのも当たり前のことですから。

では何が言いたいのかと言えば、それはここから先の部分。

よく吸水率とか、水の吸い上がりやすい・にくいとかで石の性質を推し量ろうとすることがありますが、この部分だけで石のことを評価しようというのは少し無理があるのではないか・・・私はこんなふうに考えます。

もちろん数値が低いことや、水を吸い上げにくいということは一つの評価にはなるわけですが、水を吸い上げたときの様子はどうなのか、逆に水の捌けはどうなのか。

そんなことも注目してみたいものです。

この石とは全く別の一般的な話として、同じ程度に水を吸っても石によって目立ちにくい、目立ちやすいの差はあるわけです。

雨の日のお墓でわかること。そして雨上がりのお墓でわかること。サンプル材を眺めたり、展示品を眺めるだけでは想像できないことが、それぞれたくさんあるはずです。

そう考えると、吸水という一つの尺度だけで石を評価してしまうのは、本当は石にとって失礼なことではないのか。時々こんなことを思ったりもしています。

また、よろしくお願いします。


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