石材店が語る、お墓の見積もりの読み解き方

2025年9月18日(木)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

秋のお彼岸が近づいてきましたね。皆さんもぜひ、お墓参りに行ってみてください。

さて、今日はこんなことを書いてみます。

お墓の見積もりをもらったとき、「9寸角和型石塔 一式〇〇円」とだけ書かれていて、「内訳が分からないと比べにくいな」「本当に適正・適切なのかな」と思った経験はありませんか。

今日は、なぜお墓の見積もりは「一式いくら」なのか、そして見積もりを比べるときに何を見ればいいのかについて書いてみます。

「一式いくら」にはちゃんと理由がある

実はお墓は石の代金だけが価格ではありません。

その石代に加えて、文字彫刻代、据付け代、基礎工事代、そして運搬や副資材などの雑費まで含んでの数字なんです。

つまり最終的にお参りできる状態でお引き渡しするための総額。

お墓の見積もり金額の内訳。石材・加工文字彫刻・基礎工事・据付・運搬が含まれていることを示すイラスト

お墓の見積もり金額は、石材・加工・基礎工事・据付・運搬など複数の要素で構成されています。

身近なものを例にしてみれば…スマホとかも同じですよね。「筐体代いくら、プロセッサ代いくら、電池代いくら…」なんて表示はしない。完成品として使える状態での価格です。

お墓も同じで、「石だけ買うから文字彫刻は自分でやる」とか「据付けだけ自分でやるから」なんてことはまずありません。一基ごとにサイズも違えば建てる墓地の条件も違う。だから一つひとつを切り離すのではなく、「お参りできる状態になるまで」の総額でお出しするんです。

例えば基礎工事ひとつとっても、地盤の状態や墓地の立地によって必要な工事が変わります。平坦な場所と傾斜地では全然違うし、車で現場まで入れるかどうかでも作業の大変さが変わる。

だから石材業界では「この仕様・この条件で完成まで」の総額を「一式」として出すのが一般的になっています。

もちろん、石材費や工事費のおおよその内訳については説明できます。ただ切り分けた部分ごとの金額だけを見ても、どんな基礎を作るのか、どんな工法で建てる、あるいは全体の仕上がりがどうなるのかまでは、なかなか見えてこないのではないでしょうか。

見積もりを比べるときのポイント

他の石材店さんと比べることもあるでしょうし、それは自然なことだと思います。ただ、複数の見積もりを並べて金額だけで決めると、後から「思っていたのと違った」ってことが起こりがちです。

比べるときは、ぜひこんなところを確認してみてください。

  • 何が含まれているか 基礎工事、運搬費、彫刻代は入っているか。時に「彫刻は別料金」というケースもあります。
  • 追加費用はどんな場合に発生するか 現場の条件が特殊だったとき、イラスト彫刻などを行う場合など、どんなときに追加費用が発生するのか事前に確認しておきましょう。
  • どんな工事をするのか 基礎はどの程度の仕様なのか、どんな施工方法なのか、保証やアフターケアはどうなっているか。

同じ9寸角の石塔でも、使う石の種類、基礎の仕様、現場の条件によって値段は変わります。大切なのは「なぜその金額なのか」を聞くこと。「どういう条件での価格なのか」を確認することです。

ここまで聞くと、数字だけでは見えない「安心感」や「施工の質」にも目が向くはずです。

見積書に書ききれない、でも大事な部分

見積書には金額や仕様が書いてありますが、実は書ききれない大事な部分もあります。

どんな接着剤を使うのか、石の厚みはどれくらいか、施工方法はどんな工夫をしているか。こういった部分は仕上がりや耐久性に直結するのに、見積書だけではうかがい知ることができません。

だからこそ、見積書をもらったら、一度きちんと石材店に話を聞いて確認してみることをおすすめします。

うちの見積書の作り方

うちも見積書に「一式」って書くことがあります。でも、ただ「一式です」で終わらせるのは、お客さんに対してやはり不親切だと思うんです。

例えば基礎工事なら「鉄筋コンクリート」だけじゃなくて、「D13異型鉄筋をピッチ○○mm間隔で配筋し、改良マス設置後に全面コンクリート打設(残土処分代含む)」って具体的に書きます。

石材についても、石種名・産地・加工場所はもちろん、「笠付香炉・切出し水鉢付き」といった付属品まで記載します。彫刻も「○○家之墓」「建立者名・建立年月」「家紋の位置」など、細かく説明します。

現場に特殊な条件がある場合も同じです。「右側が低地のため不同沈下対策が必要」なんて状況があれば、その対処法も見積書で説明します。

それは、お客さんには内容を正しく理解して選んでもらいたいから。そして私たちも、どんな工事をするのかお互い確認した上で仕事に取りかかりたいからです。

見積もりは対話のきっかけ

「一式いくら」という見積もりは、お宅のお墓をお参りできる形にするまでの総額を示す方法です。決して手抜きでも不親切でもなくて、ひとつの責任ある商品として価格をお出ししているんです。

そして、見積もりを出す以上、できるだけきちんと説明する時間をいただきたいと思っています。見積もりを頼むというのは、値段を見るだけでなく、どんな工事をするのか理解し、納得して選ぶための大切な時間だと思います。

大切なお墓を建てる、いわば一大事業なわけですから、説明を受け納得して決めるのが一番自然な流れじゃないでしょうか。

金額だけで比べるんじゃなく、内容や工事の進め方までしっかり聞いた上で選んでもらえれば、きっと納得いくお墓づくりにつながると思うんです。

おわりに

お墓は、建てて終わりではありません。だからこそ、建てた後も気軽に声をかけてもらえる関係をつくるために、最初にしっかり話し合っておきたいと思っています。

見積もりでわからないことがあったら、遠慮なく聞いてください。「なぜこの金額なのか」「どんな工事をするのか」「何年くらい持つのか」。どんな質問でも大丈夫です。

これからも、ただ数字を並べるだけではなく、どういう工事で、どんな思いでお墓を作るのかを、お客様にはしっかりお伝えしていきたいと思います。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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