墓碑銘(お墓に彫る文字)の選び方――迷ったときに考えてほしいこと

2026年1月25日(日)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

実際にご相談を受ける中で、「お墓に彫る文字」
つまり、「墓碑銘」で悩まれる方は
とても多いと感じます。

特に、洋型や縦洋型(位牌型)、デザイン墓石を
選ばれる方ほど、この悩みは深くなる印象です。

自由度が高い分、選択肢が広がり、
迷いも大きくなる。
それは当然のことだと思います。

今日は、これまで数多くの墓碑銘を
彫らせていただいた経験から、
文字選びで迷ったときに
考えていただきたいことをお話しします。

『無難』は悪いことなのか――石屋として思うこと

墓碑銘の話を書こうと思ったとき、
最初は私もつい
「無難な文字」「よく使われている文字」
といった言葉で書き始めてしまいました。

ところが、いざ書いて読み返してみると、
その言い方が自分で少し気になったんです。

「無難」って、言い方によっては
「つまらない」「逃げ」みたいに
聞こえてしまうことがある。

でも、墓碑銘での「無難」は、
必ずしも悪い意味ではありません。

むしろ逆のことが多い。

一見すると無難に見える墓碑銘の文字は、
良い文字・良い言葉だからこそ、
多くの家に選ばれている。

そういう側面も、確かにあります。

無難=つまらない。
私は、そうは思いません。

実際、こんなケースも少なくありません。

故人やご家族の名前に、
「その文字」が含まれているから墓碑銘に使う。
名前の一字を、そのまま墓碑銘にする。

一見すると平凡に見える文字でも、
その家にとっては大切で、
強い思い入れのある文字です。
多くの場合、名前には“願い”が込められています。

そう考えると、
「無難な文字=良い文字」という見方にも、
十分な理由があると思っています。

そして、もう一つ。

同じ一文字であっても、
楷書・行書・草書・隷書と書体を変えるだけで、
受ける印象は変わる。

文字の大きさや位置、余白の取り方でも、
雰囲気は大きく違ってきます。

さらに、文字にほんの少しイラストを
組み合わせるだけでも、
印象はいくらでも変わります。

そして、墓碑銘は言葉だけに限りません。
一文字+家名(○○家)という形で、
誰の家の墓かを示す方もいらっしゃいます。

そう考えると、
無理に「他にない言葉」をひねり出す
必要はないのかもしれません。

名前の一字や、
昔から家族の間で大切にしてきた言葉の中にも、
立派な墓碑銘の候補が隠れています。

ここは、
まず最初に申し上げておきたいところです。

実際の墓碑銘 ― 和・紡・結など

では、実際にどんな文字が
墓碑銘として使われているのか。

差しさわりのない範囲で、
いくつかご紹介してみます。

※誤解のないように言っておくと、
「これが正解」という話ではありません。
迷ったときの材料になれば、という意味です。

『和』

一番無難であり、多くの方にとって
馴染みのある文字だと思います。

この文字は横に広がりがあるため、
洋型の棹石への納まりがとてもいい。
ちなみに字体は、行楷書で彫ることが多いですね。

「和む」「平和」「調和」など、
受け手がいかようにも解釈できる
幅を持っていますし、
「和風」という言葉があるように、
日本を表す意味合いもあります。

実際によく使われている文字の
筆頭格ではないでしょうか。

また、棹石の一部に
デザインを刻むこともあります。

文字だけでなく、花や模様と組み合わせる
ことで、また違った表情が生まれます。

「文字だけ」で考えなくていい。
ここも、迷う方には一つのヒントに
なるはずです。

『紡』

以前に刻ませていただき、
個人的にとても印象に残っている文字です。

「紡ぐ(つむぐ)」という言葉で
知られていますが、意味を調べると
「綿や繭から繊維を引き出し、
縒りをかけて糸にする」
という説明が出てきます。

糸を紡ぐ、から転じて、
言葉を紡ぐ、という言い回しもありますよね。

この『紡』、墓碑銘として
多く使われている文字ではありません。

でも、お墓の墓碑銘にするには、
とても素敵な言葉だと私は感じます。

お墓を建て、年数が経ち、家族が亡くなる。
あるいは、家族が亡くなってお墓を建てる。
悲しいことですが、
そういう時は必ずやってきます。

もちろん、亡くなったとしても
家族であることに変わりはありません。

そして、
亡くなった家族が納骨されているお墓は、
故人、あるいはご先祖様たちの象徴。
家族そのものでもあります。

そのお墓を介して、
家族一人ひとりが一本の繊維となり、
やがて太く長い一本の糸になっていく。

『紡』という文字は、
そんなことを連想させてくれる気がします。

『結』

これも素敵な文字だな、と感じた墓碑銘です。

意味を調べると、
「糸すじを束ねて一つにまとめる」
「ばらばらであったものが
つながり合って固まる」
といった説明が出てきます。

家族がひとつに。
そんなイメージを持たせる文字
ではないでしょうか。

お墓は、先祖の冥福を祈る場所であると同時に、
家族の絆を確認し合い、
その家にとって大切なものを、
親から子へと伝えていく場でもあると
思っています。

個性を強調するのも一つですが、
形であれ文字であれ、
誰もが受け入れやすい許容性や汎用性を
持つものは、安心感にもつながります。

特に一文字の墓碑銘を勧めるわけでは
ありませんが、もし一文字にこだわるなら、
『結』も一つの選択肢になり得る文字だと
感じます。

『紡』とも、
どこか通じる部分があるかもしれませんね。

『よく見かける文字』

ほかにも『絆』や『想』、『感謝』
といった文字も、実際によく使われます。

どれも良い言葉ですし、よく選ばれています。

これらは広く共有されている言葉だからこそ、
その家にとっての意味が見えるかどうかで、
印象が大きく変わるかもしれません。


なお、ここまで書いてきたことが
「これが正解」だと言うつもりはありません。

この記事には、
私が石屋として多くのご相談を受けてきた中で
感じてきた、個人的な見解も多く含まれます。

ただ、墓碑銘選びで迷ったときに、
考える順番や視点として、何か一つでも
持ち帰っていただけたらと思っています。

迷ったときの判断基準(石屋のおすすめ順)

墓碑銘を考えるとき、
字面の良さや流行だけで決めることを、
私はあまりお勧めしません。

では、実際に迷ったときはどうするか。
私が石屋としてお勧めする判断は、
次の2点です。

①その家の言葉になっているか
家族の誰が見ても、
「うちの墓だ」と感じられるか。
故人やご家族の名前の一字、
家が大切にしてきた価値観。
そうした「つながり」があるかどうか。

②後々の世代が読んでも、胸を張れるか
今の自分だけが理解できればいい、
というものではありません。
10年後、20年後、次の世代がお参りに来たときに
「この言葉で良かった」と言えるか。

この2つを考えていけば、
大きく外してしまうことはないと思います。

ただし、あまりに個人の思いに
突っ走り過ぎても良くない。
墓碑銘には中庸が必要だとも思います。

実物を見ながら一緒に決めましょう

こうして文章で書いてはみたものの、
やはり実物を見ないとわからないことも
たくさんあります。

石の色、大きさ、形。
それに対してどんな文字が、どんな書体で、
どんな大きさで入るのか。

これは実際に見てみないと、
なかなかイメージしづらいものです。

もし墓碑銘で迷われているようでしたら、
遠慮なくご相談ください。

実際のお墓を一緒に見て回りながら、
「この文字だとこういう雰囲気になります」
とお話しすることもできます。

お墓を建てるということは、
簡単なことではありません。

色々な意味で重い。
費用もそれなりにかかります。

だからこそ、
「しょうがないからこれでいいや」ではなく、
「この文字で建てたい」
と思える選択をしていただきたいです。

さて、実は「言葉」以外にも、
墓碑銘としてふさわしい表現の仕方があります。

ただこれは、実際のご相談の場で
石塔を見ながらゆっくりお話しできればと
思っています。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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