川崎市内の寺院墓地で犬島石の五輪塔(国内加工品)を建立しました。

2025年1月22日(水)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

昨日に引き続いての更新ですが、久しぶりに五輪塔を建てさせていただいてちょっぴり気持ちが盛り上がっているからです(笑)

昨年末に入荷していた国内加工の五輪塔、青空のもと無事に建立することができました。(芝台の据付けと羽目石の墓誌穴加工は以前に施工済みでした)

使用した石は岡山県産の犬島石。よく弊社で使用する石ですが、今回はサビ石を使った五輪塔です。(芝台と拝石は中国産白御影石)

サビの場合は独特の色合いと縞模様が出たりします。それが好みが分かれるところですが、実際に石塔になってみると動きがあってなかなか味わい深いものですね。

五輪塔といえば水輪(すいりん=球状の部材)の上下に石のホゾが出ていることが多いのですが、今回は五輪塔の大きさなども考慮。各部材をぶち抜きの極太ステンレス無垢材の芯棒を配することにしました。

当然、接着にはいつものように2種類の接着剤を使用して施工です。

磨き仕上げなので目地もしっかりと施工できますね。

今回の五輪塔は梵字(ぼんじ)を薬研彫りにて彫刻。薬研とは薬材などをすりつぶす伝統的な道具、これを断面で見るとV字形をしているのが特徴です。その形に彫刻する手法を薬研彫りといいます。

やっぱり五輪塔には薬研彫りがよく似合います。日差しを浴び、影ができると薬研に刻んだ文字が引き立ちます。

古式にのっとり下の部材に行くほどその大きさを増す梵字は、年を経るごとに味わいを増していくことでしょう。

既存の外柵の上に立ち上がった五輪塔。後ろからのたたずまいも絵になります。

物理的な大きさはそれほど大きなわけではありませんが、とても存在感がある五輪塔になったと思います。

地輪の背面には建立年とお施主様名の文字彫刻。そして囲いの羽目石にはインド産黒御影石の墓誌を据付けました。無事に完成することができてほっとしています。

今回は花立と水鉢が組み合わさった関東でよく見かける切出水鉢(きりだしみずばち)を選択。そのため五輪塔の台座石は若干背丈を伸ばして調整してみました。腰高感が強くなりすぎないか気になりましたが、作製元と綿密に打ち合わせたこともあってまったく気になることはありませんでした。

お墓で時折見かける五輪塔ですが、各部材の寸法やバランスって実は結構大事なところ。少しの伸びで違和感が出たりすることもありますね。

ただ、ご先祖の冥福を祈って建てるお墓ですから、形が少し変わったからといって込める気持ちの尊さや大切さが失われてしまうなんていうことは断じてありません。どんな形のお墓にも、みな同じようにお施主様の尊い気持ちに溢れた存在であると私は信じます。

それでもなお、細かい部分までこだわり目にして美しいと感じられる石塔を建てていきたいと願うのも、私の石材人としての思いやこだわりでもあるんです。

実はこちらのお墓、最初は洋型の石塔のお見積りを作成していました。お施主様にご来店いただきお話をすすめる中、たまたま五輪塔の話題になり展示品の五輪塔をご覧いただいたことで洋型石塔→五輪塔へとお気持ちが変わっていきました。

私自身が五輪塔がとても好きなのでとても嬉しく、そして想い出にのこるお仕事になりました。

今回は五輪塔の建立を任せていただきまして、本当にありがとうございました。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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