石に刻んだ文字を消す。川崎市の墓地での依頼。

2018年2月5日(月)


川崎登戸の町石屋、吉澤石材店の吉澤光宏です。

市内の墓地から石塔の棹石(さおいし)を引き上げてきました。棹石っていうのは「○○家之墓」などと文字を刻んである石のこと。

今回は棹石背面に刻んである文字を「一部分だけ」消してほしいというご依頼をいただきました。文字の追加彫刻だけでなく、時にはこうした引き合いをいただくこともあるんです。

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もちろん消すと言っても、そこは刻んだ文字。消しゴムで消すようなわけにはいきません。

こうした場合には、消したい文字を何かで埋めるか、あるいは一面全てを削り、新たに文字を刻み直すか。この二つの選択肢があります。

金額がかからないのは文字を埋める方法。こちらは現場での対応が可能です。パテのようなもの(たとえば樹脂など)で文字を埋め、着色します。

ただし着色するということは、当然褪色するということを頭に入れておかなくてはならないでしょう。お墓は外にあって太陽光にさらされてますから。施工直後はそこそこ良いのですが、数年経つうちにハッキリわかってしまうことだってあります。

では、削るやり方はどうか。

こちらは工場に持ち込んでの作業になります。石を外してまた戻す費用や、一面削って再研磨の費用、そして形によっては削る面につながる面を再加工する費用も発生します。

もちろん、文字を刻み直す費用も掛かりますね。

ただ、仕上がりはとてもいいです。まるっきり消した形跡は残りません。

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建立年などの文字は小さいため、彫りもそう深くはありません。なので実際に文字を削っても、棹石は数ミリ単位でしか小さくならず、見た目はほとんどわからないと思います。

今回は削る方法を採ることになっています。削り下ろす前には文字の拓本取り(石ずりと言います)をキッチリ行わなくてはいけません。

これを忘れたら文字の再現は永久にできなくなりますから。

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石ずりはこれで完了。ここからは文字を削り下ろして再研磨に入っていきます。

ほぼ間違いなく、今までと同じ文字・同じ表情でお墓に戻せます。この棹石は、きっと何事もなかったようにお墓に建ちつづけるはずです。


※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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