「今はこういう時代だから」が頭をよぎったときに――墓じまいについて考えること

2026年2月21日(土)


こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

ネットなどの記事や特集で、
「墓じまいは当たり前になった」
そんな言葉を見かけることが増えました。

件数が増えている。
それは事実だと思います。

改葬や整理の相談が増えている実感は
ありますし、実際に、長年ご家族の思いを
受け止めてきたお墓を、
この手で解体・撤去することもあります。

遠方で管理が難しい、後継ぎがいない。
そういった事情も、よく分かります。

だから、墓じまいという選択そのものを、
良いとか悪いとかで語るつもりはありません。

ただ、その一方で。

「今はこういう時代だから」
「これからは、そういう時代だから」

そんな言い方で話が片付いていく風潮をみると、
私はどうにも引っかかるものがあります。


昨日、大阪の石材店の方の講演を聞く
機会がありました。

そして、講演の終わり際に、講師の願望として
こんな趣旨の一節がありました。

正確な言葉までは覚えていませんが、
「昔、墓じまいという言葉があった」
――そんな時代が来てほしい、という話です。

とても印象に残っています。

それは、単なる墓じまいがなくなればいい、
という意味ではなく、
ご先祖のことを大事にしながら、
日々を過ごしていく。

そういう感覚が、人の心に当たり前に残っている、
ということなのだと思います。

私も、もともと同じような感覚を持っています。

「片付ける」が当たり前にならず、
先祖のことを家族で言葉にして、分かち合える。

そんな空気が残ってほしい、という願いです。

一方で現実には、これからも事情によって
お墓を整理する、という選択は
続いていくでしょう。

ただ、それをわざわざ「墓じまい」と
強く呼んで、時代の合言葉のように
扱う空気が、ずっと続くのかどうか。

そこには、前から疑問があります。

私が引っかかるのは、
墓じまいそのものではありません。

やむを得ない事情があって整理をする。
そういう方がいることも、
現実として分かっています。

ただ最近、どこかで

「今はこういう時代だから」
「どうせ面倒だから」

そんな勢いで、「片付けること」が正解みたいに
語られる場面を見かけます。


私は、その空気に、少し危うさを覚えます。

人の心は、そんなふうに簡単に
割り切れるものではないと思います。

手を合わせたい気持ちや、迷い、ためらい。
そういうものを抱えながら、
それでも事情によって、お墓を片付ける
決断をしなければならない人がいる。

とてもつらい決断です。

だからこそ、
「時代だから」という言葉だけで、
気持ちまで片付けてしまうことに、
私は違和感を覚えます。

順風満帆なときなら、
「合理的に」「冷静に」
それで片付くのかもしれません。

でも、人生はそんなに一定ではありません。

病気が出ることもある。
仕事が傾くこともあるかもしれない。
つまり、置かれた状況が
様変わりすることもある。

いざそのときに、
あのとき自分が下した決断を、
同じように見つめることができるのか。

私は、そこが一番気になります。

どこかで、こんな場面を思い浮かべる
ことがあります。


少し古びた居酒屋で、
仕事帰りの40代、50代の男たちが、
酒を飲みながら話をしている。

「え、お前んとこ、墓じまいしちゃってたの?」

「……そうなんだよ。
あの頃さ、『今はこういう時代だから』って
流れもあってさ。
自分なりに考えて、そうするしかないと
思ったんだけど…」

「……」

「でもさ、まだ残しといてもよかったかなって、
思うときもあるんだよ」

しばらく黙って、グラスを置く音だけがして、

「まあ、今さら言ってもしょうがねえけどな…」

そんなふうに、どこか引っかかりを残したまま、
話が流れていく――。

もしかしたら、こんな会話が交わされる時代が
来るのかもしれない。
そう、思うことがあります。

もちろん、あくまでも私の勝手な思いです。
それに、正しい正しくないという話では
ありません。

ただ、流れや言葉に押されて決めたことが、
あとになって違う重さを持つ。
そんなことも、あるのかもしれません。

そのことを、
少しだけ想像しておきたいと思っています。


墓じまいが増えている。それは事実です。

でも、その一つ一つの判断は、
決して軽いものではない。

だからこそ、
急がずに、一度立ち止まって、
家族の中で言葉を交わしてみる。

すべてをゼロにしてしまう前に、
「改葬」や「形を変えて残す」といった、
仕舞い直しの方法がないかを探ってみる。

それだけでも、違うかもしれません。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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