墓碑銘の文字彫刻。どんな彫り方があるの?
以前に墓碑銘シリーズでとりあげた『結』の文字。石に彫刻後はこんな感じになりました。文字の底もサラっていい感じだと思います。いかがですか?
最近は文字彫刻でも縁部分を深く彫り、それ以外の部分はサッとブラスト吹きするような彫り方(縁彫りなどと呼んでいます)も人気のようです。この縁彫り、特にフラットな洋型墓石の場合には文字に水や汚れがたまりにくいといった側面もあります。
でも、やっぱり石塔の正面文字は通常通りに彫りこむのが私は好きです。彫り下げることで奥行き感だって際立ちますから。
また、サンドブラストで彫りこむだけでは文字の底が凸凹になったりぼやけ気味に。そこでひと手間かけてサライ(浚い)を施す。サライ仕上げにすることで、字底が整いノミ痕が刻まれて文字がより映えてきます。
文字の部分がへこむので、確かに汚れやホコリもつきやすくなるかもしれません。でも外にあるものはある程度の汚れは不可避。それに適度なエイジングは決して悪いものじゃなく、むしろ味わい深くなるように思います。
墓碑銘の文字彫刻。縁彫りがいけないとかいうことではなく、それぞれの長所があるということをお知らせしたいですね。壁面型墓所の名板などのような薄い石に文字彫刻するには縁彫りは向いている技法ですし。
いずれにしても『人の書いた文字』を使って『サライ仕上げ』まで。石の種類や産地に関わらず、弊社では今後もここにこだわっていきたいと思います。(サライは一般的な彫りこみの彫刻の場合です)
また、よろしくお願いします。
※この記事は2016年に書いたものです。
文字彫刻へのこだわりは今も変わりませんので、参考になればと思い再公開しました。