「戒名いらない」をそのまま信じて急いで決めないで
2026年2月14日(土)
こんにちは。
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
「あ、もう戒名彫ってもらえてるよ。
よかったね、お父さん」
納骨のお手伝いをしていると、
こんな言葉を耳にすることがあります。
墓誌の文字を見て、ふっと表情がゆるむ。
ああ、ここは理屈じゃないんだなと思います。
私は石屋です。葬儀の専門家ではありません。
ただ、葬儀の「その先」である納骨の場には、
これまで何度も立ち会ってきました。
だから最近、ネットの終活記事を読むたびに、
少し気になることがあります。
ネットやニュースサイトでは、終活や葬儀に
関する記事で、こんな見出しが当たり前のように
流れてきます。
戒名は本当に必要? 省略しても問題ないケースとは
葬儀費用の平均は○○万円、直葬なら○○万円で済む
費用を抑えるための選択肢を知ることは、
決して悪いことではないですよね。
過剰な負担を避けるという視点は大切ですし、
こうした情報を整理してくれる
ファイナンシャル系のメディアにも意味があると思います。
ただし、記事で引用されている「平均○○万円」
といったデータには、サンプルに偏りがある
可能性があるのではと、私は考えます。
お墓のポータルサイトでもそうですが、
ネット経由で葬儀社を探した人のデータだけを
集めても、それは一部の層の傾向に過ぎません。
昔からの町の葬儀屋さんと付き合ってきた人たち
はきっと含まれていないはずです。
つまり、「平均」と書かれている数字を、
そのまま自分に当てはめるのは無理があると
思います。
費用という数字だけで
「弔い」の結論を急がないでほしいのです。

費用と手続きだけで「不要」と断言できるのか
ここで言いたいのは、
「戒名がないといけない」
という話ではありません。
家や宗教によって、
呼び方も形も違います。
物故者名のこともあるでしょう。
問題は、それを費用だけで
省略してしまうことです。
先般、目にしたとある記事の中では
「戒名は必ずしも必要なものではなく」
「省略しても問題ない」
という表現が使われています。
この「必要ではない」「問題ない」という
言葉は、突き詰めれば「法律上、手続き上、
なくても火葬や届け出は成立する」
という意味合いに過ぎません。
戒名は本来、亡くなった方が仏教の教えに
帰依し、仏の世界で生きていくための
新しい名前をいただく、
深く厳粛な宗教行為です。
その本質を、
「いくらかかるか」
「付けないことで何が省けるか」
といったコスト項目として扱うこと自体が、
故人の人生や文化的な側面から
離れてしまう気がしてなりません。
親の「安くね」の裏にある、言えない本音
親御さんが終活中に
「お葬式は安くしていいよ」
「戒名はいらない」
と言うとき、その裏には必ず
「子どもたちに金銭的な負担をかけたくない」
という思いと配慮があります。
しかし、その親の配慮をそのまま受け止めて、
費用を最優先した結果、
「本当はもう少しきちんと送りたかった」
「ちゃんとしてあげればよかった」
と、遺族の側が後から深く後悔するケースも
あるのではないでしょうか。
費用は抑えたのに、どこかに後悔が
残ってしまう。そんな「心のひっかかり」を
抱えたままでは、本末転倒です。
葬儀は、故人との別れを受け止め、
残された人たちが悲しみと向き合うための
大切な時間です。
納骨の現場から見える「数字では測れない大切なもの」

戒名の有無は、葬儀費用だけでなく、
その後の納骨や年回忌などの弔いの実務に
大きく影響することがあります。
お墓に納める際、「〇〇家之墓」
とだけ刻まれた石塔に、お骨を納めるとき、
その場にいるご家族の気持ちがどんなふうに動くか—。
私たち石材店は、
そういった数字では測れない大切なものが、
故人を送る上でいかに重要かを知っています。
冒頭に書いたような
「よかったね」という言葉が出るのは、
単に作業が終わったからではないと思います。
墓誌に刻まれた名前を見て、
「これで一区切りついた」と感じる。
残された人の心が、
ようやく納まる瞬間があるのだと思います。
「そのまま信じて、急いで決めない」ことのすすめ
情報収集は大切ですが、「省略しても問題ない」
という言葉を見たときこそ、
一度立ち止まって考えてみてください。
-
その問題ないは、法律やお金の話ですか?
それとも心や後悔の話ですか? -
自分たちの家には、
宗派やお寺とのつながりがあるか? -
親の言葉の裏にある思いと遠慮を、
どこまで汲み取って形にしたいか?
費用を抑えることも大事です。
しかし、故人への感謝と、残された自分たちの
「心の納得感」まで削ってしまわないように、
バランスを考えていただけたらと思います。
では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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