狛江市の寺院墓地で外柵リフォーム④|丈夫なお墓づくりは下ごしらえから

2025年11月21日(金)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

狛江市の寺院墓地で進めている外柵リフォーム工事。
約10日の養生期間を経て、基礎コンクリートは十分に硬化しました。

先日は基礎表面をサンダーで整え、ハイフレックス希釈液を塗布。
カニクレーンを搬入して、いよいよ据付準備が整いました。

そして、すでに納品済みだった外柵材を料理していきます。

実物をしっかりと把握する

まず行うのは、検品作業です。

加工詳細図を手に、各部材の寸法を一本一本計測していきます。

部材詳細図と実物を照合しながら、寸法の誤差をチェック

図面には、分(ぶ:尺貫法で1分は約3㎜)単位で寸法が記載されています。

でも、実際に加工された石材は、図面通りぴったりということはありません。
必ず、微妙な伸び縮みがあります。

これは不良品という意味ではなく、
墓地の石材加工の世界では許容範囲内の誤差です。

でも、この微妙な違いを把握しておくことが重要なんですね。

全体で合わせるという考え方

例えば、3本の石材を並べて据え付ける場合。

1本目が1分(約3ミリ)伸びていても、
2本目と3本目が5厘(約1.5ミリ)ずつ縮んでいれば、
全体ではきれいに収まってきます。

こういう場合は、ほとんど問題ありません。

でも、3本とも5厘ずつ伸びていたらどうか。
全長では1.5分、つまり約4.5ミリも伸びてしまいます。

これは、納まりがつかなくなります。

検品して把握しておくことで、 目地で調整できるか、
1本だけ寸法を詰めておこうか、などと
いろいろなことを考える余裕ができます。

据付前に頭の中で把握しておけば、 現場で慌てることなく、
スムーズに据付作業を進められるわけです。

図面を書く意味

図面はすべて私が書きます。

お客さんへの提出図面、問屋への加工指示図、部品詳細図。
さらに社内に向けには配筋図や水抜き穴・改良マスの位置図、
アンカー穴加工の位置図まで。

図面を問屋に任せている石屋さんもあるようですが、
自分で書いておけば、据え付け時などに何かあったときでも
どこを手直しすればいいか、すぐに判断が付きます。

町石屋は加工を外注することが多くなってはいますが、
設計くらい自分でやらないと、
設計・施工○○石材店などと言いにくいです。

もちろん、検品のための時間と経費はかかります。

現場で梱包を解いてそのまま据付すれば、
その分のコストは削減できるでしょう。

でも、不確定要素を抱えたまま作業を始めるのは、リスクが大きい。

現場で初めて寸法の誤差に気づいたり、
石の表情を見て配置を考え直したり。

そうした手間や判断のロスを考えれば、
トータルで考えることこそ、大事だと思っています。

極力、事前に検品して、すべて把握しておく。
それが、吉澤石材店のやり方です。

(※現場の事情で、100%とはいきませんが、
できる限りこの形を心がけています)

石の表情を読む

寸法だけではありません。

石の表面に欠けがないか、細かい傷はないか。
そして、石の表情も見ていきます。

御影石には、黒玉や白玉と呼ばれる模様が入ることがあります。
これは天然石である証で、強度には全く関係ありません。

でも、できれば目につかない場所に配置したい。

据付前にこうした「顔」を確認しておけば、
正面から見える面には黒玉が少ない石を使うとか、
左右を入れ替えたり、といった判断ができます。

重量のある石材ですから、一度据えてから
「やっぱりこっち向きで」というのは、大変な労力です。

M8からM10。わずか2mm、その意味

検品が終わったら、次はアンカー穴あけです。

石とコンクリート基礎、あるいは石同士をつなぐ補強金具を固定する
ステンレス製のアンカー。

これを差し込むための穴を、ドリルで開けていきます。

アンカー用の穴を、図面通りの位置に、深さ・角度に注意してあける

以前は、8㎜径のアンカーを使っていました。
しかし今では、10㎜径のアンカーへと変更しています。

たった2ミリの違いですが、強度ははるかに上がります。
地震の際のエネルギーの凄さを考えると、
より強いアンカーを使用するのが望ましい。

ただ、径が太くなれば、穴あけに時間がかかります。
ドリルの刃も高価になりますし、 アンカーそのものも高価です。

施工する側からすれば、8ミリの方が楽ですし、コストも抑えられます。

でも、何が大切かを考えれば、おのずから答えは一つです。
結果としてお墓が丈夫になるのなら、それはお施主さんのためになりますから。

今日もドリルで一カ所一カ所、丁寧に穴を開けました。

社内用の基礎構造図。配筋・水抜き・改良マス・アンカー位置を一図に集約

効果的で、そして相互に干渉しあわない個所をイメージしながら
作製した図面に沿って、位置、深さ、角度。

粉塵が舞う環境下で、すべて正確に行うのは結構手間がかかる作業です。

見えないところにこそ

寸法の微妙な違い、 石の表情、そしてアンカーの太さ。
今日の作業は据付作業が終われば、ほとんど見えなくなる部分です。
お墓参りに来た人が気づくことは、まずないでしょう。

でも、見えないそうした部分にこそ、仕事の本質があると
私は思っています。

お墓の工事は見えない工程こそが、10年後・20年後の
お墓の状態を左右します。

価格や見た目だけでなく、こうした“下ごしらえ”の違いが
将来の安心やトラブル回避につながる──
そんな想いで日々、ひと手間を惜しまぬ仕事を続けています。

図面と実物の微妙な違いを読み取り、
石の表情を見極め、 強度を優先してコストをかける。

そうした積み重ねが、長く安心して使えるお墓になると信じます。

今日からは、いよいよ外柵の据え付けです。
一本一本、しっかりと確認をしながら据えつけてこようと思います。

また続報をお伝えしますね。

では。


【関連記事|狛江市の寺院墓地で外柵リフォームシリーズ】

狛江市の寺院墓地で外柵リフォーム①|御影石の外柵へ
狛江市の寺院墓地で外柵リフォーム②|基礎づくり
狛江市の寺院墓地で外柵リフォーム③|コンクリート打設
狛江市の寺院墓地で外柵リフォーム④|丈夫なお墓づくりは下ごしらえから

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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