お墓の石は滑ります~雨の日や冬のお墓参りで気をつけたいこと
2025年10月22日(水)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
少し前のことになりますが、お墓の階段部分が滑りやすくて困っている、というご相談をいただきました。お話を聞くと、お墓参りの際に階段で足を滑らせ、転倒されたとのこと。
幸い、大きな怪我にはならなかったそうですが、かなりの衝撃だったとうかがいました。
お墓参りに来て、そんな思いをされるのはあまりに悲しい。そう思いながら、お話を聞いていました。
昔のお墓は全面が本磨き仕上げだった
ご相談いただいたお墓は、施工年が少し古いもので、階段の踏面や敷石も含めて全面が本磨き仕上げでした。昔のお墓は、こうした仕上げが一般的でした。
本磨きの石は見た目も美しく、汚れも付きにくい。ただ、雨や雪が降った後は、とても滑りやすくなるんです。

階段や敷石まで本磨き仕上げのお墓。雨の日は特に滑りやすくなります。
最近のお墓では、足が乗る部分については叩き仕上げにしたり、ブラスト加工で磨きを落として、摩擦係数を高めるようにしています。時代とともに、安全への配慮が進んできたということでしょう。
特に危ないのがサンダル履き
本磨きの石の上で特に滑りやすいのが、ゴム製のサンダルです。今回転倒されたお施主様も、実はこうしたサンダルを履いていて階段部分で足を滑らせたそうです。革靴なども滑りやすいですが、ゴム製サンダルはかなり危険です。
石が濡れていればツルッ!っと滑ります。

濡れた石の上ではサンダルは特に危険です。履き物にも注意しましょう。
お墓参りに行かれる際には、できるだけ滑りにくい履物を選んでいただきたいと思います。
対策はできるが、それでも
このときのご相談については、サンドブラストで踏面の磨きを取ってしまうことを提案しました。
以前、市の施設のエントランスで同様のご相談を受けた際にも、この方法で対応したことがあります。

市施設のエントランスでも同様のご相談を受けました。濡れるとツルツル滑ります。

サンドブラスト施工の様子。磨きを落とすことで摩擦を高め、滑りにくくします。
磨きを落とせば摩擦力が増すので、転倒のリスクは確かに減ります。この時も、作業後に、実際に水を流して試してみたところ、格段の違いがありました。
ただし、です。
誤解してほしくないのは、「滑り止め加工をしたから絶対に安全」ではないということです。いくら摩擦係数を高めても、滑るときは滑ります。特に雪が降った時や、凍結した時。「対策したから大丈夫」という油断が、一番危険なのです。
ブラスト加工などの処置も大切ですが、それ以上に大切なのは「気をつけよう」という心構えです。
お墓は安心して手を合わせる場所であってほしい――私はそんな思いがあります。濡れた石の上は滑りやすいものだということを、ぜひ心に留めておいてください。
まだ季節は少し早いですが、これから冷え込みが増えてくると、霜や凍結で思わぬ危険も出てきます。
お墓参りの際には、足元に気をつけていただく。雨の日や雪の日は、焦らずゆっくりとです。
それが、何よりの安全対策だと思います。
安全にお墓参りをしていただくこと。それが、私たち石屋の願いです。
では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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