墓じまいを止めてくれた一言

2025年10月18日(土)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

先日、お寺から「お墓じまいの相談があるので一度見てもらえますか」と連絡をいただきました。

現地に行ってみると、昭和57年建立。外柵は栃木県産の芦野石、石塔はインド産の黒御影石のお墓。

40年以上経っていますが、石に傷みもなく、据え付けもしっかりしています。私の目にも、まだまだ何十年と使えるお墓だと映りました。

お寺さんの話によると、施主の方が「自分が元気なうちに、きちんとしておきたい」と少し焦っていたそうです。

お墓じまいは誰もが心のどこかで迷うものです。事情があってのご相談だろうと思い、急ぎ見積を進めていたところ、今朝になってお寺から再び連絡が入りました。

「この話はなくなりました。ご子息に”お墓を壊してしまうなんて“と叱られてしまったそうです」

思わずほっとしました。

仕事としては見積もりを出すつもりでいましたが、壊す必要のないお墓を壊すことになっていたかもしれないと思うと、とにかく一安心です。

ご家族の細かな事情までは存じません。でも、後継ぎがいれば墓じまいなど必要はありませんよね。

むしろ、お墓をどうするかという大事な話こそ、家族でしっかりと話し合うことが大切だと改めて思います。どんな事情があるにせよ、一人の判断だけで進むのは、あとあとトラブルのもとになりかねません。

もし工事を始めてから「そんなつもりじゃなかった」と発覚したら、取り返しがつきません。今回のように早い段階で話が止まったのは、本当に良かったと思います。

お墓じまいのご相談をいただくこともありますが、私は“どんなお墓でも壊します”という姿勢ではありません。石に刻まれた年月や、そこに込められた思いを無視してしまうのは、石屋として少し寂しいことですから。

お墓じまいのご相談を受けるたびに思うのですが、石を壊す前に一度立ち止まって、誰のためのお墓なのか、そしてこれから誰がその思いを受け継ぐのかを考えてほしい。そして後継ぎがいるのなら、その人が手を合わせる場を奪ってしまわないでほしい。

焦る必要なんてありません。時間をかけて、家族で納得のいく形を探してほしい。

お墓は”なくすもの”ではなく、”つないでいくもの”だと私は思います。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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