心に残るご縁と五輪塔のこと

2025年8月24日(日)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

今年の初め、川崎市内の寺院墓地で犬島石の五輪塔を建立させていただいたことを、このブログでご紹介しました。サビ石のやわらかな縞模様が印象的で、薬研彫りの梵字も光を受けて映える、私にとっても思い出に残るお仕事でした。

静かに佇む犬島石の五輪塔。ご縁の証としてそこにあります

そのお施主様が、先日残念ながらご逝去されました。奥様からは、ご本人もその自覚はあったようだと伺い、当時のお話が思い返されます。お仏壇やお墓をきちんと整えておきたい――そうしたお気持ちを持っておられたのだと思います。

商談の場では私の話をよく聞いてくださり、ご自宅に伺えばいつも穏やかな笑顔で迎えていただいた。その姿が自然と胸に浮かんできます。

もちろん、どのお施主様とのご縁も大切であり、区別するものではありません。ただ、あのときのやり取りや表情が、どうしても思い出されてしまうのです。

そしてこのお墓は、距離的には決して遠くはないのですが、私どもが普段しょっちゅう足を運ぶ場所ではない墓地にあります。そんな中でわざわざ当店を選んでくださったことは、石屋としてとてもありがたく思っていました。

加えて、当店のホームページやこのブログにも目を通してくださっていたと伺いました。自分の発信がご縁につながったのだと思うと、本当にありがたいことです。その信頼に応えるべく、丁寧に建立させていただいたことをあらためて思い返します。

亡くなったお施主様ご自身も生前に「とても気に入っている」とお話しくださっていたことを、奥様から改めて伺いました。そして奥様も「この五輪塔で良かった」と思ってくださっています。お子さんからも「ご夫婦らしいね」と言っていただき、お坊さんからも「いい五輪塔ですね」とお言葉をいただいたそうです。

石を扱う者として、これほど嬉しいことはありません。お墓や石塔は単なる石の組み合わせではなく、そこに込められた思いや願い、その方らしさを宿すものだと私は感じています。今回もまた、そのことを強く思わせていただきました。

今回、その五輪塔にご本人が入られることになりました。石屋としては身の引き締まる思いがあります。お墓は建てて終わりではなく、そこからご家族の祈りとともに年月を重ねていくもの。その最初の一歩にご一緒できたことに、心から感謝しています。

お墓を建てるというのは、ご先祖様を敬うと同時に、今を生きる私たちの思いを形に残すことでもある――今回のご縁を通じて、そのことをあらためて感じました。

来月末の納骨の時には、そうした気持ちを胸に務めてまいります。

では。


※五輪塔建立の時の様子は、こちらの記事にもまとめています → 犬島石の五輪塔建立について

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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