2つのお墓をどうしよう――あの相談から、納骨の日まで

2025年8月17日(日)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

本日までお盆のお休み期間。でも今日は納骨の予定が2件あり、行ってまいりました。

そのうちのひとつは、以前に別の建墓でお世話になったお宅の納骨。最初は気がつきませんでしたが、ご主人と思しき方が「以前、墓じまいのことでご相談しました」と話してくださって。それを聞いて一瞬考えたものの、奥さんらしき方から「実家の墓もお宅にお世話になりました」と言われて、ようやく思い出しました。

数年前のことなので細部までは覚えていませんが、確かこんなご相談でした。

奥様のご実家のお墓は、こちらのお寺の境内にあります。親御さんが数年前に亡くなり、その後、お墓を管理されていくはずだったお兄様も不幸にしてお亡くなりに…。つまりこちらのお宅の苗字を名乗る人がいなくなってしまいました。

また、ご主人の家のお墓は遠方にあり、なかなかお参りや管理が難しい。できれば住まいから近い、同じお寺の境内に引越しをしてきたい。もし新しく建墓する場合にはどのくらい費用がかかるのだろうか。

そんなお話をされていたかと思います。

「身近なお墓と遠方のお墓――その両方に向き合ったご相談」

先日の記事にも書きましたが、お墓じまいに関するご相談は本当にケースバイケース。ご家庭ごとに背景も事情も異なるため「これが正解」とは一概に言えません。

この時も、単純に考えれば、

  • ご主人の家のお墓を整理・解体

  • 奥さんの実家のお墓を整理・解体

  • 同じお寺に新しくお墓を建てる

という流れになってもおかしくない内容でした。実際、施主さんの話からもそのような流れを検討されていたように思います。

もちろんお客さんの希望を尊重すればそれでもいい、というより石屋としてはお仕事になってありがたい話でもあります。でも本当にそれでいいのかな、という思いが私にはありました。

偶然なのですが、奥さんのご実家のお墓があるお寺は浄土真宗のお寺です。

浄土真宗では、お墓の正面に『南無阿彌陀佛』と彫ることが多いのですが、こちらのお寺では例外的に『○○家之墓』とすることも多く、どちらが主流というわけではありません。

平成20年にこのお墓を建てさせていただく際、私は真宗ならば『南無阿彌陀佛』がいいですよと提案し、施主様にもご納得いただいて彫刻いたしました。またその際、ご長男のあとにお墓を継ぐ人がいないかもしれないとお聞きしていたので、墓所の管理が娘さんに引き継がれる可能性も踏まえて、墓石に家名を刻まないこともお勧めしました。

そうした経緯があったため、ご相談をいただいた際に苗字こそ変わるものの、今のご実家のお墓をそのまま引き継ぐのに何の不便もありませんとお伝えしたのを思い出しました。墓所が建てられてまだ15年と比較的新しいこと。さらには親戚のお墓と外柵の境を共有しており、分離するには大きな手間と費用がかかること。そういったことなどもお伝えしました。

ちなみにこのケースの場合、仮にお墓を新たに建て直すとなるとかかる費用は次の4つが考えられます。

  1. 新しい墓地を取得する費用

  2. そこに建墓する費用

  3. 奥さん実家のお墓の解体撤去費用

  4. 遠方にあるご主人の家のお墓の解体撤去費用

それに対して、遠方にあるご主人の家のお墓の解体費用だけで済み、既にある奥さん実家のお墓を活かせるのなら、それが一番現実的で理にかなった選択です。あとは遠方の墓所に納めてあるお骨を、同じお寺の永代供養墓に納める(別途その費用は掛かりますが)か、あるいは今後引き継いでいく奥さん実家のお墓に移す際の実費くらいの話ですね。


あれから2年ほどの歳月が流れ、はからずも今日、そのご家族の永代供養墓への納骨をお手伝いすることになりました。

この2年の間に、どんなことがあったのかはわかりません。ただ、いろいろと考え、話し合って結論を出されて今日という日を迎えられたのだと思います。

ご夫婦それぞれのご実家のお骨が同じお寺の境内にあるというのは、お参りや管理の面でこれから先の安心感が全く違います。きっと、よかったなと感じていただける選択になったのではないでしょうか。

もし私の話したことが、ほんの少しでも施主様のお役に立てていたとしたら、石材業に携わる者としてこれほど嬉しいことはありません。

ああ、よかったな――そう思える一日になりました。

ありがとうございました。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

ご相談・お問合せは、お気軽にどうぞ。
電話 044-911-2552 (携帯転送なので外出先でもつながります)
メール お問い合わせフォーム

トップページはこちら
お問い合わせフォームはこちら