子どもが独身でも安心。元気なうちに考える「お墓じまい」
2025年8月14日(木)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
お盆の時期ということもあって、テレビやネットなどで「お墓じまい」という言葉をよく目にします。昨日も神奈川新聞でこんな記事が出ておりました。
私のところでもお墓じまいで墓所の解体を考える方から連絡をいただくことが多くなっています。それぞれに事情があるので一概に言い切れませんが、皆さんやっぱりお墓について心配でどうすればいいか迷っている、そんなことを強く感じます。
察するにお墓じまいを検討すべき理由とタイミングって以下のような感じでしょうか。
- 維持管理が難しくなった(高齢化や墓地が遠方でお参りにいけない)
- 承継者がいない(子どもがいない、あるいはいても独身)
- 費用面での負担が大きい(管理費や修繕・改修費が払えない)
- その他の理由(天災により墓所が被害を受けたなど)
また一つの理由ではなく、いくつか理由が重なっているというケースもあることでしょう。ウチでわりと聞いているのは1と2が多くて、あとはその複合。例えば自分も年をとってしまい息子(娘)がいるけれども独身でその後(後嗣)がいないなどの理由です。
今日はそうした時にいつも私が思う事、つまり後嗣がいなくとも親も子どもも安心できる、そんなお墓じまいの考え方を書いてみようと思います。
近年では子どもが独身で家族を構成する人数が少ない家庭が増えてきています。そのような中で「お墓」をどうしようかと悩む方も少なくありません。でも私は思うんです。親が元気なうちに焦って解体する必要って本当にあるのかと。
確かにお墓を片付けることで親御さんはどこか安心することもあるでしょう。ただむしろ大切なのは、将来の選択肢を残しつつ、子どもの負担を減らす準備をしておくことではないかなとも思っています。石材店に見積もり依頼をしてお墓の解体費用を把握、少し余裕を持った資金を用意しておくことで、子どもが高齢になった時に安心して判断できるようにしておく。そうした環境を整えることが本当は必要なのではないでしょうか。
- お墓じまいは「急ぐ必要はありません」
まず親が元気なうちに今すぐお墓を解体する必要はないと思います。報道などに影響され焦ってしまう事で、あとになって後悔する事例もあります。また善意からの行為でも、お墓を片付けることは、子どもがこれから先の数十年にわたりお墓参りをする時間を奪ってしまうことにもつながります。
大切なことは親子にとって何がいい選択なのかを考えること。お墓のことについてよく話し合い、共通の認識を持つことです。親は子どもが心配ですが、子どもの中には親のお墓参りをしたいと考える人は決して少なくありません。(というより大多数じゃないかと)
とにかく将来の選択肢を残すこと、元気なうちに準備をしておくことで後悔しない結論を出すことが可能になります。
- 子どもの負担を減らす準備
親であるあなたが亡くなった後、子どもが将来お墓じまいを決めたときのことを想定して準備を進めましょう。今のお墓を片付けるのにいくらくらいの費用が掛かるのか。これの見積もりを出しておくことで墓所解体のにかかる金額の目安がわかります。時代や物価が変わることで多少の増額はあるでしょうが、見積金額にいくらかの余裕をもった資金を用意しておくことで、子どもに資金的な負担をかけることは心配にならなくなるはずです。
また、それを親子で共有しておけば子どもは将来も安心してお墓参りをしつつ、しかるべき時にお墓じまいを含めた判断をすることができるでしょう。あわせて墓じまい後のお骨の行き先についてもお寺の合葬墓なのか、別の場所なのかについてよく話し合っておくことも必須だと思います。
もちろん、今のお墓がある墓地の管理者(例えばお寺の住職など)には近い将来ではなく先々に、そうした予定があるということを相談、伝えておくのも忘れてはいけません。その際には極力親子が揃って相談に上がるべきだと思います。(話のはき違えや誤解も防げます。)
- 焦らずタイミングをはかるメリット
お墓をすぐに解体せず、将来の選択肢を残しておくことで、子どもは親が亡くなった後も長くお墓参りをすることができます。今は親がやっているお墓の管理やお寺との付き合いを子どもにやらせるのは大変、そう思う人もいるかもしれません。でも考えてみてください。親の思いとは別に子どもの考えは必ずあるはずです。そうしたことを負担に思うかどうかは、親であるあなたが決めることではなく、子供が考えることです。繰り返しますが親のお墓参りをしたいと考える子どもは決して少数派ではありません。
また親が元気なころには伝えられなかった思いや近況の報告。それらを胸に墓前で手を合わせることは、たとえいくつになっても間違いなく子のこころを豊かにしてくれます。たとえ生前に折り合いがよくなかった親子であってもお墓を通じて心が通じ合う、そんなことだってあるのではないでしょうか。
いずれにしてもです。
事前に充分な話し合いと準備をしておくことで今すぐお墓を壊さずとも、子ども自身が高齢になってから自分たちでお墓の整理を行うという選択肢も出てくるわけです。親が焦って決めるより、皆がより納得のいく判断が可能になるのではないかと考えます。また、時代や家族の状況に合わせて柔軟に対応できることも大きなメリットになりますよね。
- まとめ
最初に書いたようにお墓じまいの理由は人それぞれです。例えば身寄りがいなくなり高齢の自分が最後の承継者、そうした場合もあるでしょう。なのでいつお墓じまいを決断するのが正解かはそのケースによって変わります。
今回はある程度、承継者(子)はいるものの独身という事例に絞って話をしてみました。
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親が元気なうちは焦ってお墓じまいをする必要はない
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子どもの負担を減らすためには、情報を共有し費用や情報の準備をしておく
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将来の選択肢を残すことで、子どもも安心してその時を判断できる
日々お客さんと相対し、墓じまいの作業を行う石屋だからこそこんなふうに感じます。
お墓じまいは「急ぐこと」よりも「納得して判断すること」がなにより大切。親が元気なうちに準備を整えることで、親子がともに安心できるお墓の未来をつくることができると思います。
お墓じまいをせざるを得ない場合でも、それをいつやるか。どなたにとっても最良のタイミングを計るべきということを忘れないでおいてください。
では今日はこのあたりで!
自分の代でお墓を管理する人がいなくなってしまう。そうした方のためには、お墓じまいの生前予約サービス『お墓のみとり®』というものがあります。墓地をお持ちの方が亡くなった後、一定期間にわたりお墓を維持管理して契約の満了後、お墓じまいを行うというサービスです。
- 守る者がいなくなるけど、家族と一緒のお墓に入りたい
- 高齢になってはいるが、生きている間は手を合わせる場所を維持したい
- もしもの時(死後)に、無縁墓にはしたくない
そんなふうに思われる方はぜひ一度ご検討ください。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております
(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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