地震に強い基礎工事 トップベース工法も行っています。川崎市内の寺院墓地での建墓工事

2025年8月11日(月)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

2年弱ほど前に行った基礎工事を題材に今日のブログを書いてみます。

こちらのお墓は通常通りの基礎工事を行うとお墓の自重で不同沈下を起こしてしまいがちな立地。間地石を積んだ裏側は間違いなく埋め戻した土なのでしょう。

そうした立地の場合、通常は山側ではなく谷側に傾きやすいのですが、写真では山側に傾斜が。これはお墓の左側が間地の部分にかかっているためこのような傾きになったのだと思います。

※画像を加工してわかりにくくしてあります

該当のお墓はこのすぐ近く。細長い敷地なので、傾斜する可能性のある敷地ではよけいに不安になりますね。比較的新しく建てているはずの左隣りのお墓に水平器を当てて確認してみると、既に少し谷側に向かって微妙な傾斜が。正直、やっぱり厳しい場所だなという思いを持ちました。なお基礎コンクリートがこれほどこちらに入っているのもちょっと想定外・・・。

いずれにしても、このままいつも通りの基礎工事を行っても不同沈下を起こす可能性が非常に高いのがわかります。そこで一度地盤調査を行うことにしました。スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)という試験です。

この試験で目では見えない土の中の様子を探ります。結果は支持層が通路から8m下にあるというデータが出ました。よく行っている小口径の鋼管を打設してもこれほど下では成果が期待できません。(5メートル程度までは打設経験もありますが、土との摩擦でそれ以上は思うように貫入ができない)

そこで地盤のデータを基にしてこの時はトップベースという工法を採用することにしました。コンクリート製の独楽を並べて荷重を分散させ、かつ地震の際などの揺れを軽減させる工法です。

このやり方では普通の基礎工事と違い地盤を深く掘削する必要があります。細かいことまでは書きませんが、少なくとも独楽の高さ分はよけいに掘らなくてはならないということは理解してもらえると思います。

狭い墓域なので掘削もかなり苦労します。一番小さなユンボを借り、周りのお墓を傷めないようよく注意しての作業が続きます。何とか規定通りの深さを掘り切りました。手掘りじゃとても難しい深さですね汗

そこから砕石を入れて少しずつ転圧。今度は高さを砕石で上げていきます。規定まで高さを上げたらそこから独楽を据えますが、これがなかなか繊細な作業。不慣れな作業、しかも先端が尖っているため据えるのも一苦労です。

独楽の高さがある程度の誤差内に収まっていなければ、せっかく作業をしても意味をなさなくなります。だから慎重に行うものの不慣れでなかなかはかどりません。幾度もやり返して…。

四苦八苦しながらなんとか独楽を据えられました。ここからまた砕石を独楽の周囲に充填させて更にランマーで締め固めます。ようやく通常の基礎工事のコンクリート打設前と同じ高さに地盤が上がってきましたね。いやー思い出してもここまで長い道のりでした(笑)

あとはここから、いつもと同じように鉄筋を入れての基礎コンクリート打設作業。そこから丁寧に据付け作業を行ってお墓の完成したところが下の写真。両隣のお墓と一緒に何事もなかったように並んでいますね。

しかし出来上がれば何もわからなくなるものの、地面の中はまったく違います。トップベース基礎、そして基礎コンクリートの厚さも近い時期に完成したお隣りのお墓とは比較になりません。不遜に思われるかもしれないですが、客観的に見てもかけた手間がまったく違うわけですので。

この時に初めてトップベース工法を導入したお墓の基礎工事を行いました。この工法を行っている石材店さんは日本全国でも本当に限られたお店だけでしょう。理論の上では今おこなう墓地の基礎工事では最高のものと思います。ただ高い施工精度を要求されることや、施工手間が増すことでお墓工事の金額が上がってしまうことなどもあって、良いことがわかっていてもなかなか全てに行うことが難しい側面があります。

正直なところ、残念ながら弊社ではすべて標準施工でという感じにはできていません。しかしこの時のように鋼管杭打ちなどでは対応できない場所の時などには、何とか施工をして慣れていきたいと考えています。

お墓は普通に建ててもしっかりと施工すれば長い間にわたり丈夫にそこにあり続けます。普通の地震で急に傷むことも少ないでしょう。ただ、施工現場によっては普通の施工では対応しきれないこともあるわけで。

施工から2年近く経過しての紹介になりましたが、こんな工事も必要に応じて行って丈夫なお墓づくりを追求していきたいと思っています。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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