北木石の石塔を建ててきました。横浜市緑区の共同墓地
2019年3月26日(火)
川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
横浜市緑区の共同墓地で仕事をする機会に恵まれました。
そんなに遠いわけではないですが、こちらに来るのはそれほど多くありません。嬉しいことに、ホームページをご覧くださってのご縁です。
今回はすでに建墓してあった吉相墓に、先祖代々の石塔と墓誌を建立するお仕事。
吉相墓と言えば供養塔としての五輪塔と夫婦ごとに一つの石塔を建てるのが一般的です。ご相談を受け墓地を確認したところ、石塔と五輪塔が通常より大きめだなというところに気が付きました。そして昔の石塔が左側に建っていることも。
吉相墓は何度か見かける程度ではありましたが、昨年これについての講義を受ける機会がありました。そのため、少し様子が異なるかなと気が付いたというところです。
ご相談の内容としてはこのような感じです。
- 次に石塔一基を建てるとお墓の敷地がいっぱいになってしまう。以後は一つの石塔にしたい。
- 納骨室を作りたい。
- 墓誌を建てたい。
といったところです。
吉相墓には基本的な考え方があります。
この敷地内に納骨室を作り先祖代々の石塔を建てるということは、その考え方の枠を外して考えるということでもあります。そこについては、お施主様にきちんとお伝えしておかないといけませんね。
お話ししてしっかりと理解していただいた上で、どんな形がふさわしいのかを考えてみました。
吉相墓の枠を外れるとはいえ、いきなり通常の大きさの石塔を建てればお墓の調和がめちゃくちゃになります。
結果、吉相墓の雰囲気を取り入れつつ、不同沈下や転倒を防ぐ意味で基礎工事や接着剤施工などを行った『いいとこどり』の考えで行ってみようということになりました。
新規の石塔・墓誌に使うのは岡山の北木島産の北木石瀬戸赤。この石を四国高松の庵治産地にある協力会社で加工してもらいました。
現状の石塔は北木石瀬戸白(せとしろ)という石ですが、現在採掘されていたいために瀬戸赤(せとあか)。吉相墓にもよく用いられているそうです。
納骨に関しては骨壷ではなく納骨袋に入れ、土に還す方法を取り入れました。ただし石塔の沈下を防ぐために基礎工事は行います。
また、納骨室の部材はいつも通りの施工方法。接着剤+補強金具を入れます。中央の開口部は大きめにとってあります。広い納骨室ですが、石塔全体を支える構造材としての役目もあります。
ここに芝台と呼ぶ納骨室の屋根になる石を取り付けます。ここも接着剤施工。
吉相墓では大入れ(おおいれ)と言って石の表面を削り込み、そこに上の石をはめ込むスタイルですが、ここは現在もっとも良しとされる弾性接着剤を使いました。
ここで、この芝台には『信頼棺Ⓡ』という、納骨室に水が入らないつくりの構造を初めて取り入れてみました。昨秋より正規加盟店となって以来、初めての施工例です。(※この信頼棺Ⓡは特許取得済みなので正規加盟店以外は使用することができません)
完成してこんな雰囲気になりました。新規の石塔の高さは五輪塔の高さを下回りつつ、後ろの石塔よりも少し高めになるよう調整しました。
既存の五輪塔・石塔は水アカを落とし、文字部分に色を入れなおしたためにとてもきれいになったと思います。
新しい石塔や墓誌も、雰囲気にうまく馴染んでくれたのではないでしょうか。
こちらのお墓は月末が法事と納骨になります。少しでも良い天候に恵まれることを祈ります。
このたびは吉澤石材店にご下命くださり、本当にありがとうございました。とても良い経験をさせていただきました。
2019年3月30日(土)
雨予報で心配していましたが、本日の横浜はくもり。時々薄日がさす空になりました。
本当にありがたいです。
新しく出来上がった瀬戸赤の石塔。お施主様にもとても気に入ってもらえたようです。
『赤』といっても言葉の上でのことで、実際には淡い暖色。梵字に入れた金もよく映えてくれています。仏花越しに写してみましたが、とても良い雰囲気ですね。
今回は石塔・墓誌の文字は既存の石塔に倣ってつや消しの黒を入れてあります。てかてか光っていると落ち着きがなく感じます。
実際に黒を入れる事例はそう多くはありません。近郊では入れるとすると白ラッカーがほとんどなのですが、これはこれで違和感もなく自然に収まっていると思えます。
周囲の景観との調和、あるいは浮いたりせずに自然にそこにあること。私はお墓にとって大切な要素のひとつであると思っています。
なので、こちらのお墓が思い描いたとおりにうまく納まってくれたこと。そしてお施主様にも喜んでいただけたことがとても嬉しいです。
また、こうした思いができるよう、頑張っていきたいと思います。
ありがとうございます。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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