お墓を残す、ということ ――急いで決めないための、ひとつの考え方

2026年1月15日(木)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

「墓じまい」という言葉は、
いつの間にか当たり前になりました。

記事も広告も、SNSも。
いまや「当たり前の選択肢」として
語られることが増えました。

墓じまいを決めた方を
責めたいわけではありません。

むしろ事情があって、どうしてもそうせざるを
得ない方がいることも、よく知っています。

本当は簡単なことじゃありません。
そして、ものすごく重い決断をされている方もいる。

だから、私は石屋として、
簡単に墓じまいを語られることに、
少し違和感を覚えてしまうのです。

これまで墓じまいのお手伝いをしてきた中でも、
ふと思うことがあります。

あの時、急ぎすぎていなかっただろうか、と。


「残せるお墓は、なるべく残してほしい」
私の言いたいことは、そこに尽きます。

もう少しいえば、
無責任に残せと言っているのではない。

いつが適切かは、その人によって違う。
残せる間は残し、本当にそうすべきときが
来たら、区切りをつける。

そういう意味です。

気持ちはある。でも、残しにくい現実

少し前に、若者の結婚についての
記事を読みました。

面白かったのは
「結婚したくなくなった」
のではなく、
「結婚したい気持ちはあっても、
結婚に至りにくい構造が増えた」
と見ていた点です。

墓じまいも、どこか似ている気がします。

お墓を大事に思う気持ちがなくなったから、
墓じまいが増えた。

そう片づけるのは簡単です。

でも実際は、大事にしたい気持ちはある。
粗末にしたいわけでもない。
それでも、残しにくい現実がある。

この「気持ち」と「現実」が噛み合わなくなる。
ここに、いまの墓じまいの増え方の
「根」があると、私は考えます。

供養は、答えを出す「作業」ではない

つまり、わかりやすい正解を求める
ものではない、ということです。

手を合わせて思い出す。
泣く日もあれば、何も感じない日もある。
その繰り返しの中で、
心は少しずつ変化していきます。

亡くなって10年後、20年後に、
ふと気づくこともあるでしょう。

生前は許せなかったことが、
ある日少し違って見えたり、
言えなかった一言が、
口にできるようになったり。

まさに理屈では説明できません。

お墓は、そうした気持ちの変化を
待ってくれる場所です。

だから私は、今の不安だけで急いで結論を出し、
「待ってくれる場所」まで消してしまうことを
心配しています。

なぜお墓を残しにくくなったのか

昔は、お墓のことが「個人の宿題」に
なり過ぎていない環境がありました。

兄弟もいた。親族も近くにいた。
地域のつながりがあった。
菩提寺との関係もあった。

だから、困ったら相談することができました。
誰か一人が全部背負う前に、分担や調整も可能でした。

残念ながら、いまは、そこが薄くなりました。

暮らす場所は分かれ、親族も遠い。
家族の形も多様。
お寺も檀家も、それぞれ事情がある。

その結果、お墓の問題が
「相談しながら続ける話」から、
「自分一人で片づける話」になりやすいのかなと。

そうなると、結論を出すのも速くなるでしょう。
急ぐ気持ちも出てきます。

そして、こんな便利な言葉が出てきます。

「子供に迷惑をかけたくない」

もちろん、その気持ちは尊いです。
ただ、ときどきその言葉が、相談や分担、
工夫を飛ばして、いきなり答えを求めてしまう。

だからこそ、
急いで決めてほしくはないのです。

本来は残せるはずのお墓まで、
流れで失くしてしまうことを、
少しでも減らしたい。

そのために今日は、具体的な手順ではなく、
「決め方」の話だけに絞ります。

残すにしても、閉じるにしても

その前に、一度だけ、
問いかけてほしいことがあります。

それは「必然性」か、
それとも「不安の処理」か。

お寺や霊園と、
きちんと話ができているか。

「迷惑をかけない」という思いが、
相談や分担を飛ばしていないか。

私は、墓じまいを”悪”だとは思いません。
ただ、場当たりの結論だけは増えてほしくない。

残せるお墓は、なるべく残してほしい。
そのために、決める前に一度、
立ち止まって考えてほしい。

いま、お墓は「管理の負担」として
語られがちです。
負の遺産と位置付けられたりもします。

でも、本当はそれだけでは語りきれない場所
でもあります。

今回は、そんな思いを文にしてみました。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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