「墓じまいが正解」だと決める前に。
2026年1月9日(金)

こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
ネットで吉川美津子さんの書籍
『墓じまい 何をすればいいのか、教えてください!』
の抜粋記事を読みました。
厚生労働省のデータによると、
2023年度の改葬件数は
過去最高の16万6886件に達したとのこと。
改葬件数というのは遺骨を
別の場所に移した数ですから、
墓じまいの件数とイコールではありませんが、
増加傾向にあることは間違いないようです。
増えている背景
記事では、墓じまいが増えている背景として、
少子化や核家族化、都市部への人口集中などが
挙げられていました。
後継者がいない、遠方で管理が難しい、
子どもに負担をかけたくない。
こうした理由は、石材店で仕事をしている私も
日々の相談でよく耳にします。
データとして示されると、改めて社会全体の
構造的な問題なのだと実感します。
「やってよかった」の声が多い
記事の中には、「墓じまいを経験した人からは
『やってよかった』という意見が
多く寄せられている」という部分がありました。
管理の負担が軽くなった。
子どもの負担を減らせた。
確かに、そうした前向きな声があることは
理解できます。
ただ、この記事を読んだ人の中には、
つい自分の状況をよく確かめないまま、
「やっぱり墓じまいが正解なんだ」と
受け取る人もいるかもしれません。
そんなことを思いました。
「やってよかった」という声が
多く聞こえてくるのには、
理由があると思います。
墓じまいは、親族との調整、
寺院や霊園との手続き、費用の工面など、
大きな負担を伴います。
それをやり切った人は、
「一区切りついた」
「肩の荷が下りた」
という達成感を感じやすいものです。
そして、その気持ちを言葉にして発信しやすい。
後悔の声は表に出にくい
一方で、「やらなければよかった」という
後悔の声は、表に出にくい。
親族間でトラブルになった、
思ったより費用がかかった、
遺骨の扱いで心が痛んだ。
こうした失敗や後悔は、
そもそも公に語りづらいものです。
つまり、
「やってよかった」の声が多く聞こえるのは、
声として出やすい構造があるからであって、
それが全体像を表しているとは限りません。
やむを得ない場合と、急がなくていい場合
私が区別して考えたいのは、
「やむを得ない墓じまい」と、
「急いで決めなくてもいい墓じまい」です。
本当に後継者がいない、物理的に管理が不可能、
家族で話し合って納得した。
こうした「やむを得ない墓じまい」であれば、
判断の責任を引き受けた結果として、
「やってよかった」という
納得も生まれやすいでしょう。
しかし、
「みんなやっているから」
「面倒だから」
「今の流れに乗っておいた方がいい」
といった理由で、深く考えずに
墓じまいを選んでしまったらどうでしょうか。
後になって、
「お参りする場所がなくなって寂しい」
「親や祖父母の気持ちを考えれば、
もう少し別の方法があったのではないか」
と感じることもあるかもしれません。
お墓は一度閉じてしまえば、
元に戻すことはできません。
この一度きりの重さは、
じっくり考えたいところです。
今の負担だけで決めていないか
現場で相談を受けていて感じるのは、
「今の負担」だけで判断しよう
としている人が多いということです。
確かに、今は大変かもしれません。
でも、10年後、20年後はどうでしょうか。
子どもや孫の世代は、どう感じるでしょうか。
お墓は、短期的な損得だけで決められる
問題ではありません。
「参る場所」「家の納まり」をどう残すか。
そこまで含めて考えることが大切だと思います。
別のかたちで有縁にするという視点
吉川さんの記事の最後には、
「無縁にするのではなく、
別のかたちで有縁にするためにどうするか」
という言葉がありました。
この視点は、とても重要だと思います。
ただ、その「別のかたち」は一つではなく、
家の事情に合わせて考える必要があるでしょう。
私は、頭ごなしに墓じまいが悪いとは言いません。
やむを得ない事情があれば、
それは一つの選択肢です。
一方で、記事がどうこうではなく、
数字に流され、声の多さに安心して、
「流れに乗るように」決めてしまうのは、
少し心配です。
大切なのは、自分の家の事情をしっかり見つめ、
家族で話し合い、納得できる形を
見つけることではないでしょうか。
やむを得ない墓じまいに関しては、
やってよかったという人も多いでしょう。
しかし、急いで決めなくてもいいのに、
流れに乗るように墓じまいしたら、
後に後悔することもあるような気がします。
吉川さんの記事を読んで、
私はこんなふうに思いました。
では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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