何でもかんでも本磨き?――磨く場所と、磨かない場所

2026年1月7日(水)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

最近のお墓は、ほとんどが本磨き仕上げです。

ツヤがのって、景色が映り込むような仕上げ。
見た目も美しく、汚れもつきにくい。
今では標準といってもいいでしょう。

昔は石塔づくりはすべて手作業でしたから、
本磨きは非常に手のかかる仕上げでした。

現在では機械で切断できるようになり、
石を平らにする作業が省力化されました。

そのため本磨き仕上げが身近になったのです。

ただ、そのためもあるのか、
見える部分は何でもかんでも磨いてしまうという
状態になっているような気がします。

正直、少し行き過ぎなんじゃないかと
思うこともあります。

磨くべき場所、磨く必要のない場所

場所によっては、本磨き仕上げにする
合理的な理由があります。

例えば水皿と呼ばれる部分。

水鉢の上にある、水をあげる場所です。
ここは比較的汚れが付きやすいところです。

平成の初め頃までは、
ここは暗黙の了解で磨かない場所でした。

でも、いつしか、
ここは磨く部分へと変わりました。

きっと、汚れが付着しやすい部分
だからでしょう。
磨いてあれば汚れは落としやすいです。

これには合理性がありますね。

逆に、拝石という板状の石。
(※お墓の部材名についてはこちらの記事で解説しています)

この石は通常、本磨きの仕上げにしても、
石塔に合わさる側や下側は磨きません。

底面のがたつきがないよう、
削って調整する程度で仕上げていました。

ところがこの部分、発注の段階で
磨きの指示をしていないにもかかわらず、
時々、本磨きされていることがあります。

特に、中国加工の場合にそれが多い。

中国加工では、
職人が、部材の詳細図だけ見て作るので、
その石がどこに使われるかまでは分からない。

日本の職人なら、当然理解していることでも、
図面に書いてなければ伝わらない。

だからこそ発注側が明確に指示するわけです。

それでも磨かれているのは、
「見えない部分まで磨け」
という指示を出している石屋があるのでしょう。

磨かない方が良い理由

ここで一つだけ断っておきますが、
見えないところだから「手を抜いて」磨かない
ということではありません。

磨かない方が良い合理的な理由があるから、
納得がいかないのです。

拝石は納骨のたびに開閉します。

その時に下側も上側も磨いてあれば、
思った以上に滑り、ぶつける可能性があります。
石の間に水でも溜まっていればなおさらです。

石同士がぶつかれば破損するでしょう。

このあたりでは、拝石には必ず目地をしますが、
磨きではセメントも付着しづらく取れやすい。

また開けるとき、気を付けて作業しても
石は欠けやすいもの。

そんな時でも、磨きでなければ
面を少しだけ大きく取り直すことにより、
まったく気にならなくなります。

今でも時々、拝石の裏や、芝台にくっつく部分を
磨かれてしまうことがあります。
磨く必然性がないですし、
化粧目地をする関係上、本当に困ります。

香炉の穴(ステンレスの灰皿がある部分)も
同じです。

ここは機械が入らずに、
とても磨きにくいところです。

無理に磨こうとして、面が凸凹になったり、
ツヤのムラも出やすい。

中途半端なものになるのなら、
最初から磨かない方がよほど上品だし、
出来が良く見えると、私は思うんです。

なぜ見えないところまで磨くのか

また、香炉穴の中の磨きの質がよくなかろうと、
磨こうとすれば、その分だけ
余計な手間がかかるはずです。

それならば、そんな要求せず、
その分をほかに振り向けたり、
コストを落としたりだってできるでしょう。

そんなところに手をかけるのは、
ナンセンスだと思います。

余計な部分に手間をかけないというと、
なんだか、がっかりする人もいるかもしれない。

だけど、手をかけるべきところに、
集中して手をかければ、よりよくなるはず。

手抜きではなく、どこに手をかけるのか、
ではないでしょうか。

昔は、中国の人件費がもっと安かったので、
何でもかんでも、とんでもない形のものまで作らせ、
磨かせて…。

そんな時代がありました。
今はだいぶ変わってはいますが、
その名残りが、こうした磨きの部分にも
出ているんじゃないかと思います。

どこで加工をするにしても、
職人の手間を考えれば、
意味のない作業を要求すべきではない。
私はそう考えます。

注力すべきは精度や品質であって、
合理性のない磨き作業ではないはずです。

磨かれたままでは納めたくはないので、
事前にすりおろして磨きを取ったり、
香炉の穴はサンドブラストで吹いて磨きを
落としたこともありました。

磨くのも余計、磨きを取るのも余計。
手間かかって、
ばかばかしいなと思わずにいられない。

こんな意味のないことは、
やらなくていいと思います。

むすびに

どうでしょう。
ほんの一例ですが、本磨きの仕上げでも
磨かなくていい場所があるということが、
何となくおわかりいただけたでしょうか。

実はこういった箇所は、まだ他にもあります。
でも、それはまた別の機会にしましょう。

合理性のない本磨き。
これは既に、事の本質を外しており、
決して最高の仕上げなどではないと思います。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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