供養の形は、入口より「出口」で選ぶ ――知っておきたい3つの視点
2025年12月30日(火)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
最近は、供養の形が本当に多様になりました。
従来のお墓。
永代供養。
合祀。
樹木葬。
どれが正しい、間違い、ということではなく、
それぞれに、合うご家庭があります。
ただ、石材店として、ひとつだけ
お伝えしておきたい視点があります。
今日は、具体的な形の話というより、
ものの考え方として書きます。
※ここでいう「出口」は、数十年後にどう残るか――参る場所の数や、お骨の収まり方まで含めた話です。
なぜ今、この話をしたいのか
新しい供養の形が広がるとき、
「入口の言葉」はどうしても魅力的に見えます。
「管理が楽」
「費用が抑えられる」
「子どもに負担を残さない」
もちろん、そういう選択が必要な方もいます。
ただ、入口の言葉だけで決めてしまうと、
あとから「こんなはずじゃなかった」
となることがあります。
それは、選んだ形が悪いというより、
「その先のこと」
が見えにくいまま決めてしまうからです。
私が言う「出口」とは、何を指すのか
ここで言う「入口」と「出口」は、
難しい話ではありません。
入口は、決めるときの条件。
(値段、近さ、管理の軽さ など)
出口は、その先どうなるか。
(数十年先のことを、一度だけ想像してみること)
要するに、こういう確認です。
・その代で完結するのか、次の代までつなぐ前提なのか
・参る場所は増えていかないか(将来の拠点数)
・途中で調整できる余白があるか(お骨のまとめ直しがきくか)
この3つをまとめて、
とりあえず「出口」と呼びましょう。
入口の条件だけでなく、
これから先の時間に耐えるかを一度確認する。
それが、今日の話です。
参る先が「複数」になるという現実
「墓じまい」が増えている、
という話をよく聞きます。
価値観の変化。
跡継ぎ問題。
もちろん、それもあります。
でも、実際には、気持ちとは別に、負担に感じられるときが出てきます。
親のお墓がある。
祖父母のお墓もある。
しかも場所が離れている。
だんだん体力が落ちてくる。
仕事もある。
子育てもある。
そうなると、行ききれなくなります。
「誰か一人が背負う形」になって、
最後は「やむを得ず」…。
墓じまいには、
「お墓が不要になった」ではなく、
参る先が複数になって、ひとりでは抱えきれない、
という事情も、実は少なくありません。
参ることだけではありません。
掃除や草取りもある。
管理料も、それぞれにかかる。
ひとつなら、続けられる。
でも、それが三つ、四つとなると、
暮らしの中で、現実として重たくなってきます。
参る先が増えるときに起きること
出口を考えるとき、いちばん分かりやすいのが、30年後の「孫世代」で起きることです。
たとえば、夫婦がそれぞれ別の場所を選ぶ。
あるいは、親世代が夫婦だけで完結する形を選ぶ。
その代では、きれいに収まって見えます。
でも、30年後。
孫世代になったとき。
「親の場所」
「祖父母の場所」
「配偶者側の祖父母・父母の場所」
気づけば、お参り先が二つ、三つ、
場合によっては四つ、ということが起きます。
たとえば、父方と母方に加えて、配偶者側もあると、数字は簡単に増えていきます。
もちろん、いつもすべてに足を運べるわけではないでしょう。
ただ。
行けない場所が増えると、
不思議と心に残るものがあります。
「行けていない」
「申し訳ない」
「気になる」
この心の負担が積み重なって、
結局、また「やむを得ず」が出てくるかもしれない。
樹木葬は増える。家ごとの「出口」に合うかは別の話
樹木葬は、これからも増えると思います。
形はそれぞれ、少しずつ変わりながら。
ただ、本当の意味で定着するかどうかは、
別問題ではないかと私は思います。
理由はシンプルで、方式によっては
お骨を「収蔵できる量」が限られます。
2人用より、4人用の方が費用がかかるのと同じで、
収蔵量に余裕を持たせた区画にしようとすると、費用は上がりやすくなります。
そうなると、費用だけを入口の条件にすると、選択肢から外れやすくなります。
そして、夫婦だけで完結する形は、
次の世代で参る先が増えやすい。
ここは、「入口」の言葉だけだと
見えにくいところです。
否定したいのではなく、“出口”の見立ての話です。
数十年後の
「こんなはずじゃなかった」を増やしたくない。
その一点で、今日は考え方の話を書いています。
従来のお墓にも限界はある。でも「余白」が違う
もちろん、従来型のお墓だって、
納骨できるお骨の数は無限ではありません。
ただ、従来のお墓は、
器としての物理的なスペースに余裕がある場合が多い。
また、粉骨という手段もあります。
とはいえ、ここは誤解してほしくないのですが、
完成したお墓に「あとから手を入れる」のは、
簡単な話ではありません。
手間もかかるし、場合によっては
大きな工事になり費用もかかります。
区画や構造次第では、
物理的に難しいこともあります。
それでも、
最初から量が決まっていて、増やせない形と比べると、
状況に合わせて「選べる幅」が残りやすい。
その「余地」が、従来型の懐の広さです。
供養は、入口より「出口」
最後に、まとめとして。
供養の形は、どれでもいい。
でも、選ぶ前に。
・その代で完結か、次の代までつなぐ前提なのか
・参る場所は増えていかないか
・途中で調整できる「余白」があるか
この3つだけは、
一度だけ想像してみてください。
答えはひとつではありません。
それでも、この3つを一度だけ想像しておくと、
選ぶときの軸がぶれにくくなります。
すでに別の形を選ばれている方も、その時点での精一杯の判断だったはずです。
もし今、迷いが深くなってしまったら、
「出口」という観点だけでも、
一度整理してみるといいと思います。
今日は、そんな話でした。
では。
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