墓前灯籠がぐらつく・倒れそうと思ったら──年末のお墓参り前の安全確認
2025年12月23日(火)
こんにちは。川崎登戸の町石屋、吉澤石材店です。
ここ数日、建墓工事でお寺にお邪魔しています。
年末ということもあってか、お参りやお掃除に
みえる方の姿が増えてきました。
さて、今日は年末年始を前に、
ぜひ知っておいていただきたい話をします。
お墓でこんな形をした灯籠を見かけたことはありませんか?
これは庭に置く灯籠と違い、
墓前に供する灯籠で通称『墓前灯籠』と
言います。
墓前灯籠にも種類はいくつかありますが、
一番見かけるのは上の写真のような『丸墓前』
と呼ばれる形かもしれません。
写真に番号を振りましたが、
この灯籠は①から⑥までの別々の部材を
積み重ねて、一つの形になっています。
身体がぶつかって倒れてしまった墓前灯籠
以前、こんなご相談をいただいたことがあります。
お墓参りをして草むしりをしていたところ、
身体が墓前灯籠にぶつかってしまい、
倒れてしまったというものです。

現場を確認すると、
他社施工ですが立派なお墓でした。
一対になっていた灯籠のうち、
左側のものが倒れて火袋(写真の③の部材)が
完全に砕けていました。
石の塊が倒れたわけですから、もっと他にも
被害が及んでいるのではないかと心配しました。
ただ敷石上に倒れたようで、不思議なほど被害は
周囲に及んでいませんでした。
もちろん、お施主様ご自身にも
怪我はまったくなかったということで、
その点は一安心です。
なぜ墓前灯籠は倒れやすいのか
実は墓前灯籠は、身体がぶつかったりすると
倒れてしまうことがあるので要注意です。
特に、建立から年数が経っているものは注意が
必要です。
古めの灯籠では、部材同士を固定する材料として
セメントを用いていることが多いのですが、
セメントは強い衝撃を受けると『縁切れ』を
起こしやすい性質があります。
また衝撃を受けなくとも、経年劣化で縁切れに
なってしまうこともあります。
更に、灯籠の部材が接している部分は
断面積としても、決して広くありません。
この部分にしっかりセメントがついていても、
体の接触などによる衝撃を受けると
剥がれてしまうことがあるんです。
特に火袋の上下(②と③、③と④の継ぎ目)
は構造上、接合面積がごく僅か。
つまり、縁切れを起こしやすい傾向があります。
また、上の部分がしっかりついていたとすれば、
今度は④と⑤あるいは⑤と⑥の継ぎ目に負担が
かかります。(先ほどの事例では⑤と⑥の
部分から外れての転倒でした。)
この灯籠が既に縁切れになっていたのか、
ぶつかった衝撃で縁切れになったのかは
わかりません。
ただ建立された当時は、セメント工法が標準的な
工法であったことは間違いありません。
客観的に見て、
特に施工不良というようにも思えませんでした。
年末のお墓参り前に、一度確認を
お宅のお墓に灯籠が建っているのであれば、
お参りやお掃除でお墓を訪れたおり、
一度注意深く灯籠を確認してみてください。
ガタ付きがあったり、中心から石がずれていると
感じる場合には、間違いなく縁切れを
起こしています。
つまり既に固定されておらず、
ただ乗っているだけの状態です。
倒れる危険があるので、
手で押したり動かしたりせず、
そのまま石材店にご相談ください。
怪しいと思う時や微妙だなという時にも
ご連絡いただければと思います。
被害が起きる前に対処して、安全で気持ちの良い
お墓参りをしていただきたいと思います。
現在の工法について
上記のようなセメントの弱点を踏まえ、最近灯籠
を建てる場合には、接合部にセメントではなく
変成シリコン系接着剤や、ブチル系接着剤を
使用します。
多少衝撃が加わっても、セメント工法よりも
耐性は高くなります。
(ただし過度な負担が加わればやはり限界は
ありますが)
年末年始は、お墓参りに行かれる方が増える
季節です。
お掃除に夢中になることもあるでしょう。
ただ、どうか安全第一で、気持ちの良いお墓参り
をしていただければと思います。
お墓は、大切な方と向き合う場所です。
その場所が安全であることが、
何よりも大切だと考えています。
では。
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