川崎市多摩区の寺院墓地で、明るい色合いの洋型石塔を建立しました。
2025年11月28日(金)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
今日は、地元多摩区の寺院墓地で行った洋型石塔
の据え付けについてご紹介します。
今回据えたのは、プレイクピンクという
ベトナム産の御影石。
桜色にも似た柔らかい色合いが特徴で、
洋型石塔と組み合わせると、明るさを感じさせて
くれる石です。

※天然石なので色の濃さ、石目の大きさなどにはばらつきがあります
境内で出会った石と、選ばれた理由
このプレイクピンクを選ばれた背景には、
同じ境内にすでに建っていた洋型石塔の存在が
ありました。
石は、カタログや小さなサンプルだけでは、
どうしても全体の雰囲気や質感、そして
色の広がりがつかみにくいものです。
実際に建っている姿を見ると、石目の表情や
天気による見え方の違い、そして周囲との調和
の具合まで一度にわかります。
今回、たまたま同じ石種の石塔を、実際に
ご覧いただけたことで、「この雰囲気なら、
この墓所にも自然に合いそうだ」とイメージ
を固めてもらえたように思います。
石材選びでは、やはり“実物を見る”という体験が
大きな後押しになります。
明るいピンクが、この墓所に馴染むわけ
うちでよく仕事に行く、この界隈の墓地では、
昔から万成(まんなり)石が使われており、
明るいピンク色の石塔がいくつか建っています。
万成石は岡山県産の銘石で、淡い桜色の石目が
特徴です。建墓してから年月が経ったお墓も
多く、墓所の風景にすっかり馴染んでいます。
そのため、同じピンク系統であるプレイクピンク
を据えるにあたっても、周囲との調和がとれやす
い環境といえます。
ピンク系の石は、写真で見ると派手に映ること
がありますが、実際にはそれほど自己主張が強く
なく、むしろ落ち着いた印象を与えてくれます。
いつも通りの据付作業を、丁寧に
施工に移ります。
今回は既存外柵のコンクリート製納骨室の上に
据える形でしたので、まず芝台は増強剤入りの
モルタルでしっかりと据え付けました。
コンクリートとの相性や強度を考慮すると、
ここを丁寧に行うことが長い目で見て重要になります。
芝台天端に接着剤を配した場面がこちらです。

変成シリコン系の弾性接着剤とブチル系接着剤を併用。
上台(じょうだい)や棹石(さおいし)を据える
際には、弾性接着剤とブチル系接着剤の二種類を
併用しています。
それぞれ役割が違い、弾性接着剤は石材の接着力
と微細な動きへの追従性が高く、ブチル系接着剤
は粘着力と耐候性が高く、劣化に強いため、
これらを組み合わせることで、長く安定した施工
ができます。
接着剤は点で置くのではなく、施工後に
石が“面”でしっかり密着するように、量と位置を
調整しています。
この工程は外からは見えません。
しかし石同士の合口(あいくち)に、
どんな接着剤を、どのくらいの量で置くか。
これは、石塔の安定性を左右する大切な部分です。
据付後の全景はこちらです。

正面からの完成写真。和型9寸角石塔と並んで。
斜めから見ると石塔のバランスやプレイクピンク
特有の石目がよく分かります。
(※石塔の文字は消しています)

明るく優しい雰囲気に。施工後に少し雨が降ったため、石が濡れて多少色濃くなっています
正面からの姿を見ると、左隣には和型の9寸石塔
が建っています。
和型と洋型では構造が違うため、どうしても背丈
には差が出ます。
洋型は全体として高さを抑えた形になりますが、
棹石に十分な幅があり、正面に刻む家名あるいは
「和」「慈」などといった文字も大きめに入ります。
そのため、数字の上では和型より低く見えても、
実際にはしっかりとした存在感があります。
つまり、石塔は「背が高いか低いか」という
単純な話ではなく、棹石の幅や形、正面文字の
大きさといった要素が合わさって、全体の
見え方が決まります。
今回も、周囲の雰囲気に自然に馴染みながら、
洋型らしい落ち着いた存在感を出していました。
棹石裏面に刻む、洋型ならではの彫刻方法
今回の石塔では、墓誌を設置せず、棹石の裏面に
戒名を刻む方法を選択しました。洋型石塔は棹石
に十分な幅があるため、裏面を墓誌代わりに使う
ことが可能です。
一行目は今後、ご主人の戒名を刻むために空け、
今回刻む分を、二行目に配置しました。
もちろん墓誌を建てるのは何の問題もありません。
しかし、敷地に余裕がない場合には、棹石の裏側
というのは有効な方法ですよね。
こちらが裏面の様子です。

全体として、プレイクピンクの柔らかな色合いが
墓所の雰囲気に自然と溶け込み、明るさと
落ち着きを兼ね備えた仕上がりになりました。
石材選びから据付まで、それぞれの判断が
積み重なって形になるのが、お墓づくりの面白いところです。
今回の工事は無事に完了し、あとはお施主さんに
ご報告をさせていただく予定です。
では。
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