流行り(はやり)より重いもの——お墓選びが次世代に残すこと

2025年10月30日(木)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

先日、ある記事を読みました。家族血縁を必要としない墓、年会費を払い続け、一定期間支払いが途絶えると自動的に合葬される「期限付きの墓」の話です。

単身世帯化が進む現代社会において、こうした選択肢は確かに必要なことだよなぁ、と素直に感じました。

それと同時に、この記事を読みながら、石材店として考えさせられることもありました。

流行に流されてはいけない

こうした記事は注目を浴びます。

「これからはこういう墓が増える」「時代はこちらに向かっている」——そんな論調で語られることも多いでしょう。

確かに長期的に人口減少が続くわが国では、そう考える向きがあるのも理解できます。

私もお墓にかかわる仕事をしていなかったら、きっともろ手をあげて賛同してしまうだろうなぁ、って思います。

だって、人口減少で家が途絶えていく時代なんですから。わざわざ、たくさんのお金をかけて、従来型のお墓を建てなくたっていいじゃないか。お墓がなくても、心で偲んで思い出せばいい。それこそが賢い選択だよね。

そう考えてしまいがちですよね。

けれども、ちょっと待ってください!

すべてを鵜呑みにして「世の流れがこうなったから、自分もこれにしよう」と安易に選んでしまうことには、大きな危険があると私は断言します。

お墓は、家のように引っ越すことも、簡単に形を変えることもできません。
だからこそ、その選択は一代限りでは終わらない。

つまり、今お墓をどう考えるかの選択が、一代、二代後の子孫たちまで影響を及ぼすともいえる。

そんなふうには思えませんか?

先代が選んでくれたから、今がある

考えてみてください。

今、ご先祖のお墓を持っている方の多くは、
何の迷いもなく、極端に言えば何も考えずに、
先祖が選んでくれた墓を使っているはずです。

家族が亡くなればそこに納骨し、自然に手を合わせている。

これは大きいことです。

お墓をどこにするか、どんな形にするか、どの石材店に頼むか——
こうした悩みを、今の世代は抱えなくていい。
なぜなら、先代がしっかりと選んで整えてくれたから。

つまり、当代でしっかりと選んで整えておけば、次の代、その次の代の人たちは本当に楽なのです。

きちんと合ったお墓を建てることで、後の人たちは苦労をせずにお墓を使っていける。

「お墓を持つと子どもに迷惑をかける」と考える方もいますが、実際にはそうとばかりは言えません。

今、しっかりと考えて選ぶことが、次の世代への配慮になるのです。

選ぶ側と提供する側、両方の責任

もちろん、お墓を選ぶのは簡単なことではありません。

選ぶ側は、流行に流されず、自分の環境や背景をしっかりと考えなければいけない。

提供する側は、選ぶ側の価値観を操作できるわけではありませんし、すべきでもない。

だからこそ、最終判断は選ぶ側自身の考えに委ねられます。

一方で、提供する側にも責任があります。

お客様が来たから売る、お金になるから勧める——そうではなく、まず理念や背景をしっかり説明する。

メリットと留意点の両方を、選ぶ人が理解できる形で伝える。

それが、提供者のやるべきことと私は考えます。

それぞれの環境に合わせて

お墓の選択には、お墓を選ぶ人が抱えるいろいろな状況、そして、それぞれが持つ環境や背景があります。

身寄りがない方には、期限付きの墓は良い選択肢でしょう。

家族がいて、子や孫に継いでもらいたい方には、別の形が合っているはずです。

土地を持っている方、持っていない方、地域とのつながりの深さ——すべて違います。

目に見えた世の流れに安易に流されることは、選ぶ本人にとって決して良くありません。

流行ではなく、自分に合ったカタチを

私は石屋としてはっきりと言います。

お墓は流行で選ぶものではありません。

自分の環境、家族の状況、これからの生き方。
そして、次の世代のことも考えた上で、自分に合ったお墓のかたちを選ぶことが大切です。

そして、もう一つ。お墓を建てるということは、故人に対して精一杯のことをしてあげられた
という思いを持つことでもあります。

その「良かった」という実感が、巡り巡って残された人たちの心を支えてくれる。
私はそう思っています。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

似顔絵現地確認。お見積り・ご提案はすべて無料です。

(有)吉澤石材店 吉澤光宏

ご相談・お問合せは、お気軽にどうぞ。
電話 044-911-2552 (携帯転送なので外出先でもつながります)
メール お問い合わせフォーム

トップページはこちら
お問い合わせフォームはこちら