緑ヶ丘霊園4㎡墓所工事③|納骨室の据え付けと外柵の仕上げ

2025年10月27日(月)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

うちのあたりでは、今日も朝のうちに雨が落ちてきました。それでもその後は上がったので緑ヶ丘霊園の工事を進めることができました。

前回の②で外柵の根石の据え付けまで完了した緑ヶ丘霊園4㎡区画ですが、次の工程として、納骨室・敷石・羽目石の据え付けに取りかかりました。

本来なら、納骨室と支え石の据え付け+入口側の敷石で1日、翌日に補強金具のアンカー締め付けと上側の敷石・羽目石の据え付け――という流れで進めていく工程です。

ところがここ数日の雨に足止めされ、養生と乾燥待ちを繰り返しながらの作業となりました。

石が濡れてしまうと、接着剤はしっかりと付きません。施工不良を起こさないためにも、雨天時の施工は控えなければなりません。

ただし、モルタルを使う工程だけは別。

雨が降り出す前の金曜は午前中に納骨室、そして土曜は雨が上がったひと時に現場にテントを張り、入口敷石と支え石の施工だけは行っておきました。

納骨室の据え付け

まず取りかかったのは納骨室の据え付けです。外柵と同様に、よく練った樹脂モルタルを使い、周りの石と高さを揃えてしっかりと据え付けていきます。

根石と納骨室の間の、隠れるスペースにはステンレス製金具で緊結して補強します(写真①・②)。

写真①:納骨室内部の補強金具

写真②:納骨室内部の補強金具

ただし、この日は金具の設置と仮留めまでで、アンカーの本締めは次の日に行います。据えたその日に金具を締めてしまうと、万一石が動いてしまったときに修正がきかなくなるからです。

うちでは、最低でも一日は置いてから締め付けを行っています。(写真は翌日の工程で金具のボルトを本締めした写真です)

もどかしい思いはありますが、こうした一手間が確実な仕上がりにつながります。

この後、納骨室が落ち着いた状態になったところで、支え石を据え、手前側入り口の敷石を据え付けました。しかし残念ながらここから雨が落ちてきて、この日はここまでで作業を終了しました。

翌日以降の作業で、墓所全体の「基準」が完成します。この基準がしっかりしていれば、後の作業は自然とリズムに乗っていきます。

敷石と羽目石の据え付け

翌日、まず行うのは前日に設置した補強金具のアンカーボルトの本締めから。石が一晩置いて完全に固まり、座りが安定したことを確認してから、ねじを締めこんでいきます。

その際には、必ず最後にトルクレンチを使ってトルク管理をします。アンカーボルトのねじも締めればいいんだろとばかり、強く締め過ぎるのはよくありません。

石や材料に過剰なストレスをかけないことが大事なのですね。

金具は敷石の真下に配置されるため、据え付け後は見えなくなる箇所です。だからこそ、お施主様には写真でご確認いただくことになりますが、手を抜かずしっかりと施工していきます。

ここのお墓では補強金具の個数は35個前後。石に穴をあける箇所はその倍の数になるので70か所です。事前の検品と穴加工も結構手間がかかりますが、それが私たちの仕事の価値だと思って行っています。

金具の締め付けが終わったら、上側の敷石の据え付けです。ここまでくると、前日までの作業が基準になるので、石が自然と収まるような感じで作業もだいぶはかどりますね。上の段に敷石が据わるとだいぶ完成に近くなった感じになります。

さらに羽目石の据え付けへと進みます。

外柵内に水がとどまらないように、羽目の下側には水切りを付けています。目地処理では指が入りにくくなるため、事前にマスキングテープを貼ってラインを決め、そこにコーキングを置いてから作業を進めています(写真③)。

写真③:マスキングテープ貼りの様子

マスキングテープを使った養生は、一つの目安です。でもこの一手間で、石がくる場所が分かり、余分な接着剤が石の表面に付着することもなくなります。そして可能な限り据え付け前にマスキングすることにより、その後の作業がスムーズに運びます。この「下準備の手間」を省かないことが、後になって施工性を良くしてくれることになるのです。

今日据えた敷石には直接負荷がかからないため、羽目石の据え付けが可能になります。羽目石はつまり囲障のこと、隣地との境界に設けられる囲いみたいなものですね。石の組み方や納骨室との取り合い、この後据える石塔とのバランスなどを考えて設計してあります。

接着剤が付く面をきれいに清掃してから据え付けることが大事ですね。

雨の現場は、判断の連続

ところでこの数日、関東地方は秋の長雨に見舞われました。雨の現場は判断の連続です。

本来なら2日間で気持ちよく進められる工程が、一日多くかかりました。

濡れた面での接着を避けるため、乾燥待ちや温風での水分飛ばしを挟みながらの作業となりました。「今日は無理だな」と判断した日は、潔く養生を優先。

天気予報とにらめっこしながら、「この時間帯なら作業できる」「ここから先は明日に回す」と、刻一刻と変わる空模様に合わせて判断を重ねる日々でした。せっかく加速度がついてきたところで足踏みするのは歯がゆい気持ちもありますが、石は嘘をつきません。

結果として工程は伸びましたが、ここでの遠回りは必ず施工品質の向上につながります。焦って妥協せず、きちんとした仕事を心がけるのが吉澤石材店としての在り方だと決めています。

外柵が仕上がりました

納骨室・敷石・羽目石が収まり、墓所全体の姿が見えてきました(写真④)。

写真④:工事の進捗状況

周りのお墓と高さも揃って立派に仕上がったと思います。入口の段差を低めにした、お参りしやすいお墓になっています。すべてのパーツが取り付けられると締まって見えるものですね。

ここまでくると工事はもう一息。

明日には洋型石塔の芝台と納骨室の縁石を据え付けます。一気にすべて据え付けてしまいたい気もしますが、完成は石塔の文字彫刻が仕上がってからになります。とても楽しみです(笑)

言葉で安心を売らない。
仕事で安心を残す石屋でありたい。

そんな想いを胸に、次の工程も行っていきます。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

似顔絵現地確認。お見積り・ご提案はすべて無料です。

(有)吉澤石材店 吉澤光宏

ご相談・お問合せは、お気軽にどうぞ。
電話 044-911-2552 (携帯転送なので外出先でもつながります)
メール お問い合わせフォーム

トップページはこちら
お問い合わせフォームはこちら