形には理由がなければならない
2025年10月16日(木)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
最近、さまざまな形のお墓を目にするようになりました。
個人墓、樹木葬、合同墓、永代供養墓──。
人の生き方が変われば、祈りの形も変わっていく。それはごく自然な流れかもしれません。
けれども、私はいつも心の中で問いかけます。「なぜ、その形でなければならないのか」と。
形は出発点ではなく、結論である
お墓の形とは、本来、長い時間をかけて受け継がれてきた祈りの結晶です。
五輪塔、神道の墓標、宗派ごとの墓石──それぞれの背景には信仰や思想が息づき、秩序があり、その積み重ねの中で形が定まってきました。
たとえば五輪塔の場合、それを建てることで死者への供養となり、そこへお参りすることで建墓者や家族にも幸せが訪れるとされています。
つまり、形そのものに“祈りの働き”が備わっているのです。
だからこそ、石屋である私たちは、その思想の筋をきちんと理解し、そこから逸れないように形を整えることが大切です。
そうしてこそ、その形が本来の祈りとして働き、供養になります。
形は出発点ではなく、祈りの理にかなうよう整えられた「結論」だと、私は思います。
もっとも、それを誰かに強いて押し付けるつもりはありません。
それぞれの祈りや事情があっても、せめて“形にこめられた理由”だけは忘れないでいてほしいと思います。
石は時間に耐え、祈りをつなぐ
お墓は流行で建てるものではありません。
形が本物かどうかは、建てた瞬間ではなく、十年、五十年、百年という時間の中で確かめられていくことでしょう。
石は残ります。けれども、理由のない形は、やがて時間とともに意味を失っていくかもしれない。だからこそ、祈りの意味がきちんと通っている形でありたいと思います。
表面の美しさだけでなく、そこに込められた思いが永く続く。
それが、石屋として私が何より大切にしていることです。
「なぜこの形なのか」を問う姿勢
時代が変わり、供養の形も多様になっていく。それ自体は悪いことではありません。
けれども、どんな変化の中にあっても「なぜこの形なのか」という問いを忘れてはいけない。
形には理由がなければならない。
それが、私が石屋として守り続けたい原理原則です。
では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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