緑ヶ丘霊園4㎡墓所工事①|基礎工事と現場を見る力

2025年10月11日(土)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

昨日は川崎市営・緑ヶ丘霊園で、4㎡墓所の基礎コンクリート打設工事を行いました。

おそらくですが、お施主さんは数社で比較検討されていたのではないかと思います。はっきりと伺ってはいませんが、そういうことは珍しくありません。その中で弊社を選んでいただいたのですから、しっかりとした工事をしたいと思います。

基礎工事着工前の様子

1㎡墓所と4㎡墓所の違い

以前、同じ緑ヶ丘霊園で1㎡墓所の基礎工事をご紹介しました。今回の4㎡は、単純に面積が4倍というだけではなく、基礎工事の考え方そのものが変わってきます。

まず、コンクリートの量。計算上、1㎡では0.15㎥程度に対して4㎡では約0.6㎥。面積どおりに約4倍です。その分、受け止める荷重も大きくなりますが、広さの分だけ荷重は分散します。しかしその一方で、広い分だけ四隅がたわみやすくなります。

鉄筋の配筋も、1㎡墓所とは考え方が変わりますが、これについては後ほど説明します。

荷重をしっかり受け止める

基礎の役割は、上に乗る荷重をしっかりと受け止めることです。

今回の墓所では、石塔と外柵を合わせた石の総重量がおおよそ3.6トン弱になります。白御影石は1切(1尺角の立方体)あたり約75キロ、黒御影石なら約80キロで換算します。そこに基礎コンクリート0.6㎥の荷重1470キロが加わりますから、地盤は合計で約5トンの重さを支えることになるわけです。

ですから、転圧をおろそかにはできません。40-0の砕石を数回にわたってよく転圧し、しっかりとした地盤を作ります。

ここは、基礎工事の中でも特に気を使う工程です。いつもこれで問題ないか、と考えながらの作業になります。

転圧機で砕石を締め固める

弊社ではここ数年の工事で、地盤を少し深めに掘削して砕石層を厚くしています。荷重をしっかり受け止めるために必要な分だけ掘る。こうした見えない部分の手間が、費用に反映されることもあります。

地盤を深めに掘削し、砕石層を厚くする

偏芯荷重を考えた配筋

転圧が終われば、次は鉄筋の配筋です。

4㎡や6㎡の墓地では、石塔が後ろ寄りに配置されます。1㎡墓地なら石塔は中央近くに据えられますが、広い墓地では参拝スペースを前に取るため、どうしても石塔は後方に寄ります。つまり、重さの重心が後方にずれてかかる「偏芯荷重」になるのです。

荷重が均等でなければ、鉄筋の組み方も考え方も変わってきます。墓所後ろ寄りの鉄筋量を増やしたり、たわみを防ぐため、それに対応した配筋が必要です。

構造的に力が集中しやすい四隅には、斜め方向の補強筋も入れています。うちの現場ではいつも行う施工で、ひび割れの発生を抑えるための基本と考えています。

偏芯荷重を考慮した鉄筋配筋

コンクリート打設と養生

配筋が終われば、コンクリートの打設です。

天気の具合や気温など、自然の条件も毎回違います。その時の条件に合わせて、コンクリート打設前に水打ちしたり、コンクリートの配合を調整したりしての作業です。

コンクリート打設作業

コンクリート打設後の養生期間は、1㎡墓所の時と同様です。建築物では28日養生が基準ですが、お墓は静加重ですから7〜10日程度で十分な強度が得られます。

コンクリート打設完了。養生期間に入ります

現場を見て決めること

毎回同じような作業の繰り返しにみえますが、実際に工事をしていると、「現場を見てみないと分からないな」と思うことが本当に多いです。

基礎工事では、地盤の状態を見て掘削の深さを決めました。同じように、石塔のサイズや高さも現場を見て決めていきます。

今回の石塔は、洋型ですが弊社でよく提案するよりも、少し大きめのサイズです。通常、洋型の竿石幅は2尺ですが、今回は2.2尺。高さも周囲に合わせて決めました。

なぜかというと、人の目は周囲にあるお墓の大きさを基準にして見るからです。いくら標準的な大きさであっても、周囲に大きめのお墓が並んでいると小さく感じてしまいます。逆もまた同様です。

基礎の深さ、石塔のサイズ、高さの調整。どれも現場を見なければ判断できません。そうしたことをお客様としっかり打ち合わせして決めていきます。

下見をしない工事が招くこと

ときどきですが、お墓がずらりと並ぶ中で、ひときわ低いお墓を見ることがあります。

お客様も納得の上でそう建てられているなら、もちろん何も問題ありません。金額的な理由であったり、あえて低めにしたいという思いがあったり、それぞれのご事情があるでしょう。

ただ最近では、ネット上でお墓を販売する業者も見かけるようになりました。現場を確認せずに、お客様ご自身に採寸をお願いするような形もあると聞きます。

けれど実際の墓地には、傾斜や段差、隣との関係など、一般の方には気が付きにくい条件が少なくありません。そうした確認を省いてしまうと、階段の高さが合わなかったり、基礎が露出してしまったりと、思わぬ不具合につながることがあるのです。

お墓は一度建てたら、そう簡単にやり直せるものではありません。だからこそ最初の現場確認がとても大事だと、私はいつも感じています。

やはりプロが現場を見て判断し、その土地の条件に合わせて設計しなければいけません。

そうした基本を大切にしながら、お客様と相談して最善の形を決めていきたいと、私は思っています。

現場を見る力

現場を見るというのは、寸法を測ることだけではありません。その場の状態をよく見て、建てる方の思いに沿った形を考えることだと思います。

見えなくなる基礎も、目に見える石塔も、現場をしっかり見て、お客様と打ち合わせして決めていく。それが良いお墓につながると思っています。

次回は、この基礎の上に据える外柵工事の様子をご紹介します。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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