分家の墓に“先祖代々之霊”を刻むのはおかしい?──石屋の考え

2025年10月6日(月)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

昨日の日曜は納骨に行ってきました。その時の待ち時間にふと思ったことがあるので、書いてみます。

時々なんですが、お墓を建てようと検討されているお客様から、こんな言葉を聞くことがあります。「うちは先祖がいないんですよ」と。分家で新しく独立した家だから、ということなんですね。長男じゃなくて次男や三男だから、という理由です。

「あぁ、そうなんですか」と返事はするものの、よく考えると少し変な話ですよね。先祖がいないって、じゃああなたは一体どこから生まれてきたの?という話になっちゃいます。親がいれば、その前におじいさんおばあさんもいる。先祖もいるんですよ、本当は。

確かに分家で新しくお墓を建てたときに、墓石や石塔に刻む戒名はないかもしれません。でも先祖はちゃんといるんです。納骨はされてないかもしれないけど、その家の先祖はきちんといらっしゃいます。

では、ご分家のお墓を建てる際、いらっしゃるご先祖様の扱いをどうするか。ここが大切なポイントです。

一つはご本家のお墓があって、そちらでお祀りをしているのだから、分家のお墓は新たにどなたかが亡くなってからその人の戒名から刻む。これが多くの場合です。

いま一つの方法もあります。それはご分家の墓にもご先祖様を刻むというやり方。下に説明します。

「えっ!どうやるの?」と言われるかもしれませんね。はい、別に戒名を刻みなさいと言っているわけではないんです。

墓誌や石塔の一番最初に、ご先祖様を表す文字を刻んでおけばいいということなんです。よくある形をいくつかご紹介しますね。

「◯◯家先祖代々之霊」
一般的な形です。その家の先祖すべてを表します。

「◯◯家先祖代々」
上の一般的な形のうち、浄土真宗では「霊」という字を使わないことが多いので、このような刻み方になります。宗派によって考え方が違うんですね。

「◯◯家先祖代々有縁無縁諸精之霊」
より広く、縁のある方々を含める刻み方です。ここで言う「無縁」は、一般的に言う無縁仏の意味ではありません。跡を取らなかった方々、つまり結婚しなかったり子供がいなかったりで、直系の跡継ぎとはならなかった親戚の方々も含めて供養するという意味です。うちではこう刻むことが一番多いです。

この前ブログにも書いた犬島石の五輪塔のお墓でも、一行目に「◯◯家先祖代々之霊」と刻みました。写真は建墓直後の様子です。その後、施主さんがお亡くなりになって納骨したのでお戒名も刻みました。

 

あ、それと…「元気なうちに墓を建てると呼ばれちゃうから嫌だ」なんて言う人もいますね。

そうした場合にも、この先祖代々之霊と刻むのはアリだと思います。お骨は入っていなくとも、先祖もあわせてお祀りするという考えのもと、お墓として建てるわけですから。これなら何にも心配は要りませんよね。こういう考え方もできるんです。

そもそも、お墓を建てたり改修したり、つまりお墓をいじるときって、基本的にいつでもいいんです。人が亡くなった時でもいいし、元気な時だって構わない。なぜかというと、それは絶対的に良いことをするわけなので、悪いことが起きるはずがないんです。悪いことが入り込む余地がありません。

供養のため、ご先祖様のためにお墓を建てる、改修する、手入れする。今を生きる私たちよりもずっと悟りを開いていらっしゃる仏様やご先祖様が、そんな行いに文句を言うはずがないですよね。

お墓を建てるのは、いつでもいいんです。それはご先祖様を大切にする、絶対的に良いことなのですから。

どうか、胸を張ってください。縁起も悪くありません。ぜひ安心してくださいね。

では。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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