お墓は歴史の架け橋 ──カジポンさんと仲間たちから学んだ墓参の心
2025年9月29日(月)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
年に二回ほど、友人のカジポン・マルコ・残月さんや世界墓マイラー同盟の仲間たちと「巡礼」と称して、都営霊園や著名人の墓所を訪ね歩いています。納骨で行けなかった一回を除けば、ほぼ毎回参加しているほど楽しみにしている時間です。

「墓マイラー」という言葉の生みの親、カジポン・マルコ・残月さん
石屋とは違う視点から見るお墓
私は石屋ということもあり、お墓は日常の中で当たり前にある場所です。けれど、彼らは商売とは無縁。純粋に偉人の墓参を目的に集まり、その知識量には本当に驚かされます。
誰それの墓所はどこにある、どんな人生を歩んだ人なのかを深く理解していて、聞いているだけで一つの物語を追体験している気持ちになります。もちろん私も、興味あるジャンルの偉人についてはそれなりに知識があるつもりですが、それでも毎回新しい発見があり、感心させられます。時には石屋として墓石のことで意見を求められることもあり、それもまた嬉しいものです。
特にカジポンさんの解説はいつも面白く、興味深いものです。毎回この日のために膨大な文字数の手製資料を作って臨んでくれていて、巡礼の道中はまるで講談を聞いているかのよう。最近では知名度も少しずつ上がり、関西方面のテレビに出演したり、時にはNHKラジオでも取り上げられたりしています。墓マイラーという言葉や活動が、少しずつ世の中に浸透してきているのを感じます。
墓参の心とマナー
そして何より素晴らしいのは、カジポンさんたちが真摯な心で墓前に立ち、亡き人との交流をしていることです。カジポンはこれを「ソウルトーク」と呼んでいます。これは単なる観光や物見遊山ではなく、心を込めた行為だと感じます。
お墓は誰でも訪れることができる開かれた場である一方で、やはり手を合わせる気持ちが伴わないと、観光地化してしまい、故人への敬意が失われてしまう危うさもあります。
有名人の墓を訪れると、つい気持ちも高揚して、お参りするだけではなく映える写真なども撮りたくなるものです。でもお墓は故人が眠る場。写した画像を個人レベルで眺めるのはよくても、SNSなどで大々的に発信することには賛否両論があります。

二百三高地で有名な乃木大将と奥様のお墓。墓前に案内の石碑があります
もちろん、歴史上の大人物ならある程度公人という側面もあり許されるでしょう。しかし今でも子孫の方がいらっしゃって墓地を管理していたりするケースもあります。その線引きがどこにあるのかは非常に難しい。私自身、そうした人物の墓所を写真に撮ってブログに掲載したこともあるので、偉そうなことは言えません。
ただ、いつもそうしたデリケートな部分があることを理解した上で、偉人のお墓参りをするべきなのだろうと思います。敬意を欠いた訪れ方をする人たちとの線引きは難しいところですが、訪れる側のマナーや配慮は欠かせません。
偉人の墓を取り巻く現実
最近では、偉人の墓にも無縁墓となる旨の公告が出されているのを目にします。
管理料が滞納されると無縁墓とされ、最終的には墓じまいになってしまう現実があります。さらに寺院墓地では、管理上の理由から縁者やお檀家以外の立ち入りを制限するところも出てきました。夢中になって隣の墓に足を踏み入れたり、ズカズカと墓域に立ち入ったりするなど、よその墓地に迷惑をかけたり、参拝者に不快に思われたりする事例もあるようです。
だからこそ、私たちのような訪問者が故人と墓に敬意を持って接することが、ますます重要になっていると感じます。
仕事とは違う学び
石屋ではない人たちがこれほどお墓を好きでいてくれること。
それは、私にとってとても心強いことです。こうした仲間と共に巡る体験は、何物にも代えがたい時間であり、もっと多くの石屋仲間にも知ってほしいところです。カジポンさんの活動を応援したいとも思います。
仕事としてお墓に向き合うのとはまた違う学びがあり、気持ちが引き締まります。そして何より、お墓があることで、自分とは何の接点もない歴史の人物との距離を縮められる。管理の問題など課題は多くありますが、それでもできうる限りお墓を残していきたい。
歴史上の人物と今を生きる私たちをつなぐ架け橋であるお墓。
こうした巡礼の機会を通じて、石屋としての使命を改めて感じると同時に、これからもお墓の持つ意味を考え続けていきたいと思います。
皆さんも機会があれば、気になる偉人のお墓を訪ねてみませんか?
では。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております
(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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