お墓は幸せの交換の場
2025年9月25日(木)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
お墓とは何でしょうか。石を積み上げた構造物? 故人の眠る場所? それとも家族が集う聖域でしょうか。長年この仕事をしてきて思うのは、お墓の本当の姿は目に見えるものだけでは語れない、ということです。
お墓の前に立つとき、人は誰と話しているのでしょうか。もうこの世にいない人に、なぜ語りかけるのでしょう。なぜ手を合わせ、心の中で言葉を紡ぐのでしょうか。
私は、それは想いが時間を超えるものだからだと思います。お墓は、見える世界と見えない世界をつなぐ扉。生と死の境界にある、静かな対話の場なのです。
私たちが刻む文字は、ただの字ではありません。そこには想いが込められています。「○○家之墓」という家名でも、思い入れのある文字でも。その家の歴史と、ここで眠る人々の物語を背負った、大切な刻字なのです。
私たちが磨く石も、ただの物質ではありません。そこに記憶が宿り、祈りが息づいています。「ありがとう」と言えなかった想い。「さようなら」を告げられなかった悲しみ。「また会えるね」という希望。すべてがお墓という形を通して、永遠の姿を得るのです。
お墓は、まず亡き人を弔い、供養するための場所です。そこが第一義であることは間違いありません。そして、その場に立つことで、残された私たちの心も少しずつ癒やされていきます。悲しい日も、うれしい日も、そこに行けば語り合える。お墓は変わらずそこに在り、私たちを迎えてくれます。
先祖を弔うことで、私たちの気持ちも救われる。生者である私たちが先祖の成仏を願い、死者である先祖は子孫に安寧な気持ちを贈ってくれる。お墓は、そんな「幸せの交換の場」なのです。
お墓参りという習慣の中に、人間らしさが宿っています。祖父母の話を子どもに伝える。家族の歴史を次の世代へとつなぐ。感謝の心を育む。お墓の前で、私たちは自分がどこから来て、どこへ向かうのかを知るのです。
石は風化します。文字は薄れます。しかし、そこに込められた想いは消えません。お墓が教えてくれるのは、物質としての永遠ではなく、想いは続いていくということ。形あるものはいずれ失われますが、心に刻まれた祈りや感謝は、世代を超えて生き続けます。
それが石屋として、私が信じていることです。
では。
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