より高いお墓工事の品質を考えるとき、あえて施工を見送ることもあります。
2025年8月5日(火)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
本日は関東でも40℃を越える地域が多発、身の危険を感じさせられるような暑さですね。異常気象というより、もはやこれがデフォルトになってきているのかという感じもします。
さて、10時過ぎに今度建立する石塔の文字彫刻が終わり、彫刻屋さんから弊社に戻ってきました。すぐさま施工途中の現場に行って据付けを行いたいと考えていましたが…

石を積み込んで明日の建立に備えます
思うところがあって‥今日は止めにしました!
…もしかして、昼どきの暑さにやられて人間が参ってしまうから?と思う人もいらっしゃるでしょう。
もちろんそれもあります…ありますが、それは理由の1/4程度です。じゃあ3/4はなんなのよ?と言われてしまいそうですね。
まあ、勿体付けずあっさりとお話ししちゃいます。今日仕事を取りやめた一番の理由は『施工不良』を起こしてしまう可能性があったから。あ、ここでいう施工不良とは接着剤関係の話なんです。
日中の太陽光に照らされて、石塔の石(グレー系)も相当に熱を持っています。ずっと手を当てていると熱くてたまらなく…というより、まず熱すぎて触り続けることができません。
そんな状態のところに接着剤を置いてしまえば下から石の熱、そして上からは太陽光線を浴びているため、じきに接着剤の表面に膜ができてしまいます。その状態で上に石を重ねても接着剤と石がよく密着しなくなってしまうんですよね。
つまり薄皮一枚挟んでしまうと、どんな性能に優れた接着剤でもその効果を完全に発揮できなくなるということです。
だから一日置いて、石表面の温度がいくらかでも下がっている朝一番に施工したほうが良いと考え、接着剤での施工を延期をしたというわけなのです。
明日は現場に行く際にも直射日光を浴びないようシートをかけ、施工直前まで毛布を掛けておくなどの配慮をして極力施工不良を起こさないよう気を付けて施工してきます。
夏のこの時期は外で仕事する人間の身体にとって、過酷できつい時期です。それと同時に施工する石や副資材などにも充分に気を配って仕事を行う必要がありますよ。
そうだ、もう一つ忘れてました!石の据付け作業に使うバールや水平器・サシガネなど各道具の据付けに使う各道具も直射日光にさらさないよう注意ですね。これも熱くて触れなくなるので(汗)
とにかく少しでもよい条件で、よい施工ができるように心配りをして夏を乗り切っていきたいものです。
あ!あと使用する石材用弾性接着剤も、より質の高い施工を行う上では追求していかなくてはならないことのひとつ。

作製:プラスダイヤ株式会社(山梨県中央市)
これはプラスダイヤさんという山梨の石材工具を扱う会社で作ってくれた弾性接着剤の比較表。見てわかる通りたくさんの種類の弾性接着剤が出回っていますね。どれも同じようなカートリッジに入っていて、コーキングガンに装着して押し出して使います。
一見するとどれも同じに見えますでしょう?
でも硬化速度の速さや硬化後の硬さなどはみなそれぞれ異なります。当然色味も違いますし、施工の際の押出しの硬さだって異なるんです。それぞれ異なる商品ですからそれも当たり前と言えば当たりまえ。その上、卸価格だってけっこう違いがあるんですよ。石屋さんはみな、施工のしやすさとか職人さんの使用感や好み、そして金額面などを考慮してそれぞれよかろうと思うものを使っているのだと思います。
もちろんそれでいいのでしょうが、一つだけ大事なことがあります。それはどれも同じように見えてもどれもが同じ接着性能や耐久性、耐候性を持っているとは限らないこと。それが何を指し示すかといえば各接着剤がどんな主剤・可塑剤・添加剤などを使っているのかという部分。
安価なものは高価なものとの金額差ってわりとあります。一本買うだけなら気になりませんが、施工店はそれなりに多く購入します。ですからその差は仕入れれば仕入れるほど、どんどん大きくなるわけですね。安いものが皆悪いとは私はここで言い切りません。
でも経費削減で安いものばかりを選んでいけばどうなるか・・・まさにそこは推して知るべしといったところではないでしょうか。
弊社では今まで施工したお墓を解体した時の接着剤の様子を確認したり、福島方面での地震被害の確認、現地の石屋仲間との情報交換などを通じて、金額面ではなく現状で一番問題のなさそうな接着剤をメインとして使用することにしています。
当然、施工前の清掃などもしっかり行って施工不良を起こしにくい工事を心掛けるのはいうまでもありません。

2022福島の地震被害調査時の様子
いずれにしましても・・・
より良い施工を追求していくとき、ここまで気候が変化してくると同じ作業を行うのでも時間がかかるようになり、作業効率もだいぶ悪化してしまいます。このまま夏の暑さが増すようだと、先々はもしかしたら夏場は作業ができないとか、あるいは夏季割増料金!なんていう日が来てしまうのかもしれませんね(汗)
そんな必要がないよう、異常気象が徐々に収まってくれるのを祈りたいです。
明日、石塔の施工が無事に終われますように。では
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております
(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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